本日10月14日正午に、講談社による一迅社の完全子会社化が発表された。本件について講談社と一迅社の共同記者会見が本日都内にて行われ、講談社の野間省伸代表取締役社長、森武文専務取締役、一迅社の原田修代表取締役会長、杉野庸介代表取締役社長が会見に応じた。
野間社長は「一迅社は、コミック作品、マンガ雑誌、ライトノベルを主に刊行する出版社です。とりわけコミックにおいては独自の地位を確立し、数多くのファンを獲得してこられました。主力であるコミックでは『ヲタクに恋は難しい』1・2巻合計で210万部を発行。7月よりスタートした『腐男子高校生活』をはじめアニメ化作品も多く、いわゆるオタク系コンテンツを得意としています」と一迅社の特徴を紹介。そして「講談社はさまざまなジャンルのコミックを刊行していますが、一迅社を子会社化することで、コンテンツのさらなる強化、充実を図ることが可能になると考えております」と語った。
また一迅社がこれまで資本面や人材面のリソース不足から展開しきれずにいた電子書籍事業と海外事業について、講談社のインフラを活用することで課題が解消されると説明。「講談社はこれまで積極的に電子書籍やライツ事業、海外展開のインフラ整備に取り組んできて、ノウハウも蓄積できた。一迅社さんにはこれらをどんどん活用していただき、世界に飛び出してほしい」と展望を述べた。
原田会長は「私の会社(スタジオディー・エヌ・エー)と杉野の会社(一賽舎)が合併して、一迅社として発足してから10年あまり。この間にいろんなコミックや本を出してきましたが、ある種エッジの効いた出版社という認識をいただいているかと思います。一方で、“変な本を出している一迅社”とも言われております」と語り、刊行物の例として女装ハウツー本「オンナノコになりたい!」や女性経験のない男性向け恋愛指南本「30歳の保健体育」などを挙げる。
続けて「ある程度実績を作ってきた。今後業績が伸びそうな分野は、電子(書籍)と海外。事業として考えると、残念ながらうち(一迅社)の規模だと厳しい。大きなビジネスインフラを持つところに協業を申し出るしかないというのが結論」と分析。「講談社さんであれば、うちの事業内容に関していい補完関係に入れるのではないかとダメ元で資本提携を申し込んでみたところ、あっさり『いいよ』と」と軽快なトークで出席者たちを笑わせた。
また「一迅社が出している雑誌に関し、講談社がなんらかの判断を下すことはあるのか」という記者からの質問に対して、杉野社長は「そういうことは考えておりません。一迅社の独自性は保持するという講談社さんとの共通理解がある」と答えた。森専務は「一迅社の財務体系はこの子会社化で強化される。もっと編集力を拡大していってほしい。いままで以上に一迅社は一迅社らしい輝きを、このコミック業界で光り放ってくれる」と補足した。
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講談社と一迅社の共同会見、「いい補完関係に入れる」 - コミックナタリー
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