「闇金ウシジマくん」の
本イベントは岩井監督の最新作「
「リップヴァンウィンクルの花嫁」は黒木華演じる主人公・皆川七海が、日常で起こる事件や不条理に向き合いながら成長していく物語。「七海のキャラクターは主体性がないという意見も聞くが、人間の主体性なんて自分が思っているほどはないもので、みんな何かに影響されて生きているのでは。大企業の社長や会長であっても、自己判断に疲れていると霊媒師に頼るとか、そういう話ってあるじゃないですか。 だから七海に限らず、そういう弱さは誰でも持っていると思う」と岩井監督。真鍋も深くうなずきながら「自分も占い師に『もっと運気を上げるために白いタキシードを着て花を使って書道をしろ』と言われてやりましたもん」と驚きのエピソードを明かした。
真鍋はトーク番組「トップランナー」に岩井監督が出演していた際に、「SLAM DUNK」を熱心に読んでいたことを指摘。大のマンガ読みなのではないかと言われた岩井監督は、「マンガ家を目指していたことがあり、少年マガジン編集部に持ち込んだことがある。雨の日に小学生の男の子と女の子が留守番してるだけの地味な内容だけど、月例賞の佳作か何かに入って。ネームで挫折して絵もあまりうまくなかったから実写(の世界)へ行ったんです」と打ち明けた。
続けて、能條純一「哭きの竜」に話が及ぶ。「闇金ウシジマくん」と同じ外道マンガの系譜と語る岩井監督は、「人物の顔にストロボをたいたときのシャドウが必ず入っている。麻雀と任侠の人生をこういうふうに描けるのかと驚いた。美学がすごいし発明だと思う」と考察。「絵と背景をどういうコンポジションで描くかということにマンガで最初に踏み込んだのは、上條淳士の『SEX』ではないかな」と見解を述べた。さらに「『ジョジョの奇妙な冒険』は、シリアスものからコメディに平気で変わるし、名前が同じなら主人公を変えてもかまわない、その自由さがうらやましい」「『闇金ウシジマくん』に出てくる『ニギニギ』という擬音は街のイライラ感が伝わる、マンガならではの表現」とマンガの魅力を存分に語る。
そして「マンガ界がうらやましいのは人気があるマンガは面白いこと。映画はそこが違って、人がたくさん入っていてもその映画が面白いとは限らないですし」と心情を吐露。「作家性のある監督はどういう人だと思うか」と真鍋に問われた岩井監督は「自分で物語を考えているかどうかが大きい。でも『闇金ウシジマくん』のゲイが主人公のエピソードを愛してやまないので、丁寧に愛情を込めて映像化してみたいですね」とラブコールを贈った。真鍋は再び「サングラスの奥でまた泣いていますよ」と冗談交じりに感謝し、会場の笑いを誘っていた。
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浅野 智哉 @asnhpy
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