「The ART of Dien Bien Phu」では、2001年から現在に至るまでの「ディエンビエンフー」に関わる資料を網羅。これまでに執筆されたカラー原稿をはじめ、未発表のボツイラスト、スタジオ4℃によるアニメ化企画の画像といったイラストの類だけでなく、galaxxxyとのコラボウェアやファンが制作した海賊版Tシャツなどのグッズ、小冊子「DBPPress」全12号、物語の終わりまでを描いたストーリー年表と設定、Twitterアカウントまで寄せられた読者質問に答えるQ&Aなど幅広い情報がまとめられた。
ヤングエース(KADOKAWA)に掲載された4コマ「ディエンビエンフーくん」など、未単行本化のマンガも収録。また既刊12巻分の登場人物が描き下ろしカラーイラスト付きで紹介されており、まだ刊行されていない13巻以降のキャラクターについても言及している。作品の移籍先は未定だが、西島はやる気だ。
なお8月20日には、神奈川・リブロ横浜ジョイナス店でサイン会を開催。同店では画集を購入した人に先着順で参加整理券を配布しており、電話予約も受け付けている。8月21日には、東京ビッグサイトで開催されるCOMITIA117のグラフィック社ブースでもサイン会を実施予定。
西島大介サイン会
日時:2016年8月20日(土)14:00~
会場:リブロ横浜ジョイナス店
電話:045-328-1601
あとがきver.2(西島大介)
『The ART of Dien Bien Phu』をお届けします。
テト攻勢のことはその印象的なヴィジュアルとともに人々の記憶に強くのこっても、ピークを過ぎたベトナム戦争末期のことは忘れられがち。現在『ディエンビエンフー』は角川版に続き二度目の掲載誌休刊による打ち切りとなっています。雑誌がなくなることが作品にとってプラスになる部分はなく、それでもIKKI休刊から2年後にどうにか最終刊第12集を刊行しましたが、撤退戦のようなリリースに追い風が吹くわけでもなく、ふと気が付けば作品的にも漫画家としても戦争末期状態。この逆境下で「画集&設定資料集」が版元を変え、こうして商業出版としてリリースされたことは奇跡だと感じています。
ホー・チ・ミンは「ベトナムは負けない、なぜならば決して根をあげないからだ」と言って兵士たちを鼓舞したそうです。「気合い」「根性」にも似た精神論にしか思えない言葉ですが、しかし、本書に収録された初期設定資料や10年前以上うから描き続けている作品の断片を眺めていると、ポップさと軽薄さが売りの本作『ディエンビエンフー』にも、バック・ホーの精神論にも似た「信念」が宿っている気がします。要は諦めが悪すぎるのです。
そんなわけで、この他国からの戦費援助のように舞い込んだ画集刊行の機会を素直に喜び、カバーを久しぶりに手彩色し、フルカラーでほぼ全登場キャラクターを描き起こし、第12集より先の物語までを収録、「続きを描く気は200パーセントあります」という計測不可能な気合いで制作されたのが本書です。
角川版より装丁を担当し結果的にどの編集者よりも付き合いの長いデザイナー柳谷志有さん、作品を高く評価してくれ刊行の企画を通し編集者として本書を導いてくれた坂本章さん、歴代担当編集者のみなさん、原稿の再録を許可いただいた仲俣暁生さん、さやわかさん、渡辺ペコさん、JOSEPH NOTHINGさん、宮本大人さん、ヤマダトモコさん、素材を提供してくれたみなさん、そして逆境にあっても『ディエンビエンフー』を心待ちにしてくれている読者の皆さんに感謝しています。カム・オン(ありがとう)!
第13集で再会できることを願って。
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今日はヒカル・ミナミの誕生日でもありますねー。