第61回小学館漫画賞の贈呈式が、去る3月3日に都内にて行われた。式には
児童向け部門を受賞した「ウソツキ!ゴクオーくん」の作者である吉もとは、小学校のときからマンガ家になりたかったことを振り返る。そして「賞をもらって一番うれしかったこと」として「落ちこぼれでもバカにされても、失敗してもパッとしなくても、好きなことを諦めないでがんばれば人生が楽しくなると、自信を持って読者の子どもたちに伝えることができると思った」とコメント。別冊コロコロコミックSpecialと月刊コロコロコミック(ともに小学館)にて連載中の吉もとは、最後に「コロコロ最高ー!!」と叫び笑顔を見せた。
少年向け部門を受賞したのは、週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載中の「ハイキュー!!」。作者の古舘は「今日この場に来てすごい賞をいただいてしまったなと実感しています。このような賞をいただけたのも、毎週徹夜に付き合ってくれるスタッフのみんなや、私が不機嫌なときも話を聞いてくれる担当さん、読んでくれる読者の皆さん、ほかにも『ハイキュー!!』に関わってくれているいろんな人たちのおかげだと思っています」と感謝を述べる。「これを機に気合いを入れ直して、読んでくれている皆さんが『バレーボール見てみたいな』とか『やってみたいな』と思える作品を作っていきたいと思います」と展望も語った。
少女向け部門には、別冊マーガレット(集英社)にて連載されている「俺物語!!」が選出。作画を担当しているアルコは「『俺物語!!』に関わってくださっているすべての皆さまに感謝を申し上げます」と語り、原作を務めている河原は「いろんな人に愛情を持って接していただいて、私も関わってくださった方々に愛情を持っていて。きっとそういうやりとりがこの作品を暖かくしてくれたんだと思います」とそれぞれ思いを口にした。
一般向け部門を受賞したのは月刊flowers(小学館)にて不定期連載中の吉田秋生「海街diary」と、月刊IKKI、月刊!スピリッツ(ともに小学館)にて連載されていた松本大洋「Sunny」。松本は「『Sunny』は自分の幼少期の体験を描いた作品なので、描くこと自体周りの人間に迷惑をかけるのではないかとか、それを描いてしまって自分がどういう気持ちになるのかということを悩んでいて、デビュー当時から(描くことを)先送りにしていたんです」と明かす。「ただ40歳を過ぎていつまでも描けるわけではないと悟り出し、ここでやろうと一大決心をして描き始めました。描く場所を与えてくれた小学館さんにも、選考していただいた委員の皆さまにも感謝しています」と胸中を語る。そして「僕と一緒に20年以上マンガを描いてる、共同制作者の奥さんにも御礼を言いたいです。ありがとうございました」と冬野さほにも感謝の意を表した。
吉田は「長いことこの仕事をさせていただいておりまして、そのこと自体大変光栄だと思っておりますし、このように仕事を評価していただけたことも幸福だと改めて思います」と述懐。また「海街diary」の執筆について「糸を染めてひと目ひと目模様を織り紡いでいくような、機織り機で布を織るような作業だなと感じております。鶴の恩返しのようなわけにはいきませんけれども、真摯に作品に向き合うことでお返し出来たらなと思っております」とメッセージを送った。
第61回小学館漫画賞受賞作品
児童向け部門
吉もと誠「ウソツキ!ゴクオーくん」
掲載誌:別冊コロコロコミックSpecial、月刊コロコロコミック(ともに小学館)
少年向け部門
掲載誌:週刊少年ジャンプ(集英社)
少女向け部門
原作/
掲載誌:別冊マーガレット(集英社)
一般向け部門
掲載誌:月刊flowers(小学館)
掲載誌:月刊IKKI、月刊!スピリッツ(ともに小学館)
関連記事
松本大洋のほかの記事
関連商品
リンク
- 小学館:第61回(平成27年度)小学館漫画賞 受賞作品発表
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
ヒロ/Hiro(ゴキンジョ) @hiro_gokinjyo
松本大洋さん、すてきだな https://t.co/LXMVMIzo03