編集者さん、オススメの手土産教えてください 第4回 [バックナンバー]
小学館ビッグコミックオリジナル編集部・生川遥さんのオススメ:リリエンベルグ
信頼のできるまっすぐなお菓子
2022年9月9日 15:00 4
マンガ好きなら「編集者は担当作家によく差し入れをしている」という印象を持っているのではないだろうか。実際に「担当編集者さんからこんな差し入れをもらった」と描かれているマンガのおまけページやSNSへの投稿を目にした人も多いだろう。
コミックナタリーでは、日常的に差し入れや手土産の情報を集めているであろうマンガ編集者という職種の人たちに、「作家に渡す手土産」を教えてもらうコラムを展開している。第4回に登場するのは、小学館・ビッグコミックオリジナル編集部の生川遥さん。紹介してもらったのは、行列必至の洋菓子店・リリエンベルグの焼き菓子だ。
構成・
あなたのオススメの手土産を教えてください。
小田急線新百合ヶ丘駅から徒歩15分ほど。行列必至の洋菓子店「リリエンベルグ」さんの焼き菓子です。
価格
写真のピノキオボックス(小)は税込4120円。
この手土産のオススメポイントはどんなところですか?
通勤圏内に伊勢丹新宿店があるので、普段はもっぱら地下の食品売り場で手土産を調達することが多いのですが、たまに本気を出したいとき(?)には、はるばるリリエンベルグさんまで足を伸ばします。
今年のバレンタインには1時間以上並び、両手に持ちきれないほどのお菓子を買い込んで(帰り道 袋の紐が指に食い込んで もげるかと思いました……)、日頃お世話になっている作家さんたちにお送りしました。
並んでいる間も交通整理に手慣れた警備員さんが話しかけてくれたりと、可愛いお店の外観どおりアットホームな雰囲気で、まさしく地元で長く愛されているお店、という感じです。
ケーキなどの洋生菓子も絶品なのですが、どうしても日持ちしづらいため、手土産としては焼き菓子のほうが重宝しがちです。とはいえ、焼き菓子だけでも選びきれないほどの数。しかも季節によって限定商品が変わるので、まだまだ食べたことのないものが山ほどあります。初夏に販売しているというレモンのクッキーをずっと食べたいと思っているのですが、タイミングが合わず、いまだ巡り会えたことがありません。
ビジュアルもパッケージもどこか懐かしいような人なつっこさがありながら、口に入れればそのたしかな美味しさに驚きます。なんというか、“信頼のできるまっすぐなお菓子”といった風格。流行りのスイーツを食べ慣れた作家さんたちも、こぞってしみじみと「美味しかった」と喜んでくださいます。
奇をてらったところがひとつもないのに、長年たくさんの人を魅了し続けるこのお店。ふらっと買いに行くにはちょっと遠いということもあり、本当に大事な相手にだけお渡ししたい、とっておきの手土産です。
手土産にまつわる担当作家さんとのエピソードを教えてください。
コロナ禍ということもあり、以前に比べ、会食や顔を合わせての打ち合わせの機会は減ったように思います。代わりといってはなんですが、郵送で差入れをお送りする機会がぐんと増えました。現在担当中の「卑弥呼」の作画・中村真理子さん宛にも、月に2回、ネームが上がりアシスタントさんたちと一緒に作画に入られるタイミングで、差入れをお送りするのが習慣になっています。
中村さんは「毎回送らなくていいのに」とおっしゃってくださるんですが、なんとなくこちらの腕の見せどころという気がして、もう50回近くになりますが、一度も同じ物はお送りしていない(はず)です。完全に自己満足です……。
アシスタントさんからも毎回差入れの感想をいただけるのが密かな楽しみとなっているんですが、一度だけリクエストをいただいたのが、意外なことに「駄菓子」。その時はドン・キホーテに行って、ケース入りのスルメやうまい棒のセットなどを大量に買い込みました(笑)。
マンガの現場はアシスタントさんたちの支えによって回っているところも大きいので、中村さんのお仕事場に限らず、差入れを通して、普段あまりやりとりをする機会のない皆さんともコミュニケーションを取れるのは大きなメリットかなと思います。
オススメの手土産にかかわらず、手土産を選ぶ際にはどんなところを重要視しますか?
当たり前ですが、お渡しする相手のことを考えること。
好きな物苦手なもの、前回お渡ししたものとのバランス、アシスタントさんがいらっしゃるか、いるとしたら何名か、ご家族と同居されているか、日持ちするほうがいいか、ダイエットなどはされているか、お酒は召し上がるか、もらって困らないか……等々。
最初にそういった条件面をきちんと精査してから、当てはまる候補の中で一番「もし自分がもらったらテンションが上がるもの」を選びます!
新しい手土産を開拓する際の探し方を教えてください。
雑誌やネットを参考にすることも多いですが、とにかく街をよく歩きます。生活圏内ということもあり、新宿・原宿・青山方面の手土産はぼちぼち買い尽くしたなあという感じだったのですが、最近麻布十番にある鍼に通い始めたので、そのついでに麻布十番の手土産店狩りを始めました(笑)。休日平日問わず、行く先々でいい手土産ないかな~と目の端で探しながら歩くのが日課になっていますね。
生川遥(オイカワハルカ)
2005年に小学館入社以来、週刊ビッグコミックスピリッツ編集部に15年間在籍。2020年、ビッグコミックオリジナル編集部に異動。スピリッツ時代の主な立ち上げ作に、浦沢直樹「あさドラ!」、ジョージ朝倉「ダンス・ダンス・ダンスール」、東村アキコ「雪花の虎」、真造圭伍「トーキョーエイリアンブラザーズ」など。
担当作や所属編集部についてのメッセージ
現在は、「卑弥呼」(作:リチャード・ウー、画:中村真理子)、「出かけ親」(吉田戦車)、「セシルの女王」(こざき亜衣)、「ホロウフィッシュ」(むつき潤・オリジナル増刊で連載中)を担当しています。
ビッグコミックオリジナルは実は青年誌で一番発行部数が多いはずなんですが、メイン読者の年齢層が高めなこともあり、Twitterなどで感想が拾いづらくて少し寂しく感じております……。「あさひなぐ」のこざき亜衣さんの新連載「セシルの女王」や、「バジーノイズ」のむつき潤さんの新連載「ホロウフィッシュ」も始まっていますので、普段オリジナルを手に取らない読者の方にも気付いていただけますように~!
リリエンベルグ
川崎市麻生区、新百合ヶ丘駅から徒歩15分、バスで5分ほどの場所にあるウィーン菓子工房。ケーキや焼き菓子を販売しており日々行列の絶えない店舗だ。「美味しんぼ」44巻には看板メニューのひとつであるザッハトルテなどが登場している。
店舗情報
住所:神奈川県川崎市麻生区上麻生4-18-17
営業時間:10:00~17:00(毎週月・火曜日定休)
電話:044-966-7511
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