6月に上演される新作歌舞伎「子連れ狼」に向けて昨日5月19日に東京都内で会見が行われ、
獅童は「このたび、舞台版『子連れ狼』におきまして、叔父(萬屋錦之介)の当たり役でもございました拝一刀を勤めさせていただく運びとなりました。また、大五郎役には夏幹が決まりまして、親子競演ということで、とてもありがたく思っております」と挨拶した。
獅童は子供の頃から「子連れ狼」を観ていたと話す。自分が演じてみたいと思ったのは大人になってからで、「クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』の撮影でアメリカに行っているときに、現地の映画スタッフが「ローンウルフ、ローンウルフ」としきりに話していたんですね。時代劇の、殺し屋の父親と子供の話だと言うんですが、何のことを言っているんだろうと思ったら、『子連れ狼』のことだったんです。コミックがすごく人気があるそうで、『子連れ狼』はアメリカでも人気があるのだなと知りました。その後仕事でドイツに行ったときに、ホテルでテレビをつけたら、叔父の『子連れ狼』がドイツ語吹き替え版で放送されていたんです。海外の人にも響く作品なんだな、海外に向けてのエンタテインメント時代劇として作れるなと思い、帰国後すぐ、上演に向けて動き始めました。でも上演権を取るのがなかなか難しいと言われて、ちょっと諦めかけていたんです。『子供が生まれてベビーカーを押して散歩しているから、もうそれで我慢しておこう』と思ったんですけど(笑)、昨年急に動きがあって、上演できそうだということになり、今に至ります」と上演の経緯を説明した。
また作品の内容について「第一報で『子連れ狼』初歌舞伎舞台化」と出たので、ファンの方は、これまで僕が手がけてきた超歌舞伎や『あらしのよるに』のように『全員白塗りで出てくるんじゃないか』とか『義太夫の音楽がどう入ってくるんだろう』と思われたようなのですが、今回は今までとは真逆の作り方で、義太夫も長唄も入らないんです。実は迷ったところではあるのですが(
「子連れ狼」の作品の魅力をどう感じているか、という質問には「親子愛というところが一番の魅力だと思いますね。妻が殺されたことによって、大五郎は母を失い、拝一刀は妻を失い、孤独の旅に出るわけですが、家族愛ということが背景にある。その一方で、時代劇にも関わらず箱車にミサイルがついていたりと(笑)、笑っちゃうところもあるのですが、何か普通に見られてしまう不思議なドラマだと思います」と語った。なお今回は、「子連れ狼」第一話をベースに市村光が脚本を手がけ、「『子連れ狼』に思い入れがある」と言う渥美博が殺陣を担う。さらに演出を担う映画監督の
自身が演じる役については「拝一刀は自分の感情を押し殺している人物。こんなに抑えた役っていうのは、初めてかもしれません。うちに秘めたものがあるんだけれど、喜怒哀楽を表に出さない。ポーカーフェイスっていうのかな。今回もそういうところを意識してやらせていただこうと思っています」と獅童。夏幹は「がんばりたいです」とはにかみながら述べ、そんな夏幹を、獅童は温かな表情で見つめた。
また「六月大歌舞伎」には、小川家の俳優たちが多数出演する。その点について「小川家は歌舞伎の世界で人数が一番多い。今はまだ小さい子供たちが、大きくなってもみんなで力を合わせて6月に公演できるような役者に育ってほしいなという僕なりの思いがあります。僕は(歌舞伎界に)父親がいなかったもんですから、今までは自分自分で突っ走ってきました。でも50を過ぎて何ができるかなと思ったときに、小川家や6月の公演を影で支えてきた祖母・小川ひなや、甥たちが歌舞伎役者としてやっていくために力を貸してくだすった錦之介の叔父、そして父や母のことが思い出されて。自分が今できることは、こういった企画を立てて、小川家が団結して公演をする機会を作るということかなと思うので、小川ひな、そして錦之介の叔父らが喜んでくれるような芝居になるようにしたいと思います」と言葉に力を込めた。
最後に、大五郎スタイルになることについて、「気に入っていますか?」と記者が夏幹に質問すると「気に入ってません」と即答。明快な夏幹の返答に大きな笑いが起きた。獅童は「補足させていただきますと……(笑)、このお話が決まる前から『子連れ狼』の映像を見せていて『子連れ狼』自体は何となくうちの子供たちは知っていたんです。それで舞台版が決まったときに『なっちゃん(夏幹)、大五郎やる?』と聞いたら『うん、やる。でもあの髪の毛だけは死んでも嫌だから』と(笑)。兄の陽喜の影響で、髪型にすごくこだわりがあって、最近は前髪もすごく伸ばしているくらいなので、『あの髪型にしたら、幼稚園に行けないでしょ』と逆に説得されました(笑)。なので今回はどうなるのか、本番を観てのお楽しみということで」と話し、会見を締めくくった。
「六月大歌舞伎」は6月3日から25日まで東京・歌舞伎座にて上演される。
「六月大歌舞伎」昼の部
開催日程・会場
2026年6月3日(水)〜25日(木)
東京都 歌舞伎座
スタッフ
三、「子連れ狼」
原作:小池一夫
作画:小島剛夕
脚本:市村光
演出:
出演
一、「祇園祭礼信仰記 金閣寺」
将監息女雪姫:中村時蔵
此下東吉後に真柴筑前守久吉:中村隼人
松永大膳久秀:中村獅童
狩野之介直信:中村米吉
松永鬼藤太:中村種之助
十河軍平実は佐藤正清:中村歌昇
慶寿院尼:中村錦之助
二、「戻駕色相肩」
吾妻の与四郎実は真柴久吉:中村萬壽
禿たより:中村梅枝
浪花の次郎作実は石川五右衛門:中村萬太郎
三、「子連れ狼」
拝一刀:中村獅童
拝大五郎:
杉戸監物:中村勘九郎
お浜:中村七之助
柳生軍兵衛:尾上松也
お千:中村米吉
振杖外記:澤村精四郎
松木十内:市川門之助
巴屋庄衛門:市村萬次郎
柳生烈堂:中村錦之助
関連記事
chunk @chunk990144
▶️【会見レポート】獅童が「子連れ狼」への思い語る、夏幹は大五郎スタイル「気に入ってません」 https://t.co/vQYPZd1b48