柄本明・花總まりが夫婦演じる「本日も休診」開幕、“アングラのレジェンド”再会に喜び

「本日も休診」が、昨日11月12日に東京・明治座で開幕した。

「本日も休診」は、地域医療に生涯を捧げた医師・見川鯛山のエッセイ「田舎医者」シリーズを原作に、水谷龍二が脚本、ラサール石井が演出を手がける新作喜劇。昭和40年代、栃木県那須にある診療所を舞台に、“山医者”こと見川鯛山（柄本明）と、その妻・テル子（花總まり）、そして個性豊かな村人たちの物語が描かれる。

初日後に行われた取材会には、出演の柄本、花總、渡辺大輔、中島早貴、佐藤B作、松金よね子、ベンガル、笹野高史、演出のラサールが登壇した。初日を終えて柄本は「お客さんがスタンディングオベーションしてくださり、非常にありがたい。とにかくほっとしています」、花總は「お客様の笑い声をたくさん聞くことができてうれしかった」とそれぞれ心境を語る。演出を手がけるラサールも2人のコメントを受け、「明治座で2.5次元や、ミュージカル以外のお芝居でお客様がスタンディングオベーションをなさることがあまりないと聞いていたので、感動いたしました」と述べた。

渡辺は「偉大な先輩方と板の上に立てて、本当に幸せ。役者冥利に尽きます」、中島は「私は能條愛未さんとWキャストなので、日が空くと毎回初日のような感覚になりそう。大縄跳びに入るような感覚で毎回芝居をしていますが、ついていけるように必死にがんばります」と意気込んだ。

ベンガルは「年寄りばっかりで同窓会みたいな面々ではありますが、芝居が日々変わっていくのが楽しみです」と期待を口にし、松金は「初日はいつも思いますが、幕が開いて良かった。お客様も温かくて、やっぱり生の舞台は良いなとつくづく感じました」と思いを口にした。

取材では柄本、笹野、佐藤が舞台で共演する喜びを語る場面も。柄本は「二十歳そこそこの、青春真っただ中のときにアングラ演劇で出会った自分たちが、こんなね！ 明治座ですよ！ 感無量です」と感慨を述べ、笹野は「楽しく楽しくてしょうがない。アングラのレジェンドみたいなものでしょ、私たちは。でも1人ひとりの稽古を見ていると、50年前の芸風と全然変わらない。みんな元気だなと思いました」と言う。また佐藤は「コツコツ真面目にやっていくのが私で、えもっちゃん（柄本）はゆっくりと大きく役柄を作っていく。笹野は相変わらずいい加減で、やっつけの稽古ばっかりやって本当に変わらない（笑）。本当に楽しかった」と稽古の充実ぶりをのぞかせた。

また「今までのキャリアの中で共演したことのない俳優たちと共演し、気付いたことはあるか」と問われた花總は「いろいろありすぎて！ とても勉強になりましたし、引き出しがたくさんできました」と話した。

最後に柄本が「商業舞台でこのような（キャストの）編成はあまりないと思います。ラサールさんの演出で稽古場はとても苦労しましたけど、自分たちも楽しんでやれる舞台になったと思います。ご来場をお待ち申し上げております」とメッセージを送り、取材を締めくくった。上演時間は休憩ありの約3時間5分。公演は11月28日まで行われる。