「彼女を笑う人がいても」ビジュアル公開、瀬戸康史「大事なメッセージが込められている」

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瀬戸康史が主演を務める「彼女を笑う人がいても」のビジュアルと、スタッフ・キャストからのコメントが公開された。

「彼女を笑う人がいても」ビジュアル(撮影:マチェイ・クーチャ)

「彼女を笑う人がいても」ビジュアル(撮影:マチェイ・クーチャ)

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「彼女を笑う人がいても」ビジュアル(撮影:マチェイ・クーチャ)

「彼女を笑う人がいても」ビジュアル(撮影:マチェイ・クーチャ)[拡大]

このたびお披露目されたのは、瀬戸をはじめ、出演者の木下晴香渡邊圭祐近藤公園阿岐之将一魏涼子吉見一豊大鷹明良が黒い傘を差して物憂げな表情を浮かべるビジュアルだ。

今作では、東日本大震災の被災者の取材を続けてきた新聞記者・伊知哉と、その祖父で、1960年の安保闘争を取材した新聞記者だった吾郎の過去が交錯する。演出を手がける栗山民也は「この支離滅裂で、痛ましいほどの政治の空白を前に、じっと『あのとき』のあの人たちの気持ちと行動を見つめたい」と思いを語り、作家の瀬戸山美咲は「60年安保闘争のあの若者たちの熱はどこから来て、そしてどこに消えてしまったのか。それを知ることは、自分や社会全体の『あきらめ』の根源を知ることにもならないか。そう思ってこの主題を選びました」「言葉の持つ可能性はまだある。そう信じて、この作品を届けたいと思います」とコメント。

また瀬戸は「この作品には人間にとって、今の時代にとって、大事なメッセージが込められているのではないかなと、感じています。安保闘争の時代を生きた人物の心情を体全体で演じることができればいいなと思います」と意気込んだ。

公演は12月4日から18日まで東京・世田谷パブリックシアター、22日に福岡・福岡市民会館 大ホール、25・26日に愛知・刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール、29・30日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールで行われる。チケットの一般販売は、東京公演分が10月10日、福岡公演分が10月1日、兵庫公演分が10月16日にスタート。愛知公演分については決定次第アナウンスされる。

栗山民也コメント

「あのとき」へ

世田谷パブリックシアターから新しい企画の話があった。いくつかの候補の中から、瀬戸山さんとの新作を、と答えた。早速お会いした。自由で熱い作者としての思いをたくさん聞けて、とても楽しい時間になった。

60年の「あのとき」とは、一体何だったのか。主題は「六十年安保」。

人それぞれ違った歴史があるように、その時代への密かな思いはそれぞれに違う。学生の時、当時書かれたものを漁るように読んだ。そして、その時の運動や言葉の断片を勝手に時代の光景として心に刻んだ。体のどこかに刺さった深い棘のように、一つのどうしようもない痛みになって残った。その痛みが何かの時に、ズキンと今に疼く。

この支離滅裂で、痛ましいほどの政治の空白を前に、じっと「あのとき」のあの人たちの気持ちと行動を見つめたい。

瀬戸山美咲コメント

その言葉を笑わない

60年の安保闘争のことがずっと気になっていました。デモのさなか、一人の女子学生が命を落とした。それが一体どういうことなのか想像できなかったからです。2000年代初頭、あることに抗議するために初めてデモに参加しました。でも、数回行ってやめてしまいました。自分の言葉が本当に届いているのかわからなくなってしまったのだと思います。90年代後半から日本社会全体に冷笑的な雰囲気が広がってきていました。その空気の中、何かに抗議するということにどこか居心地の悪さも感じていました。その後もたびたびデモや抗議行動に参加してきましたが、続けることの難しさを痛感するばかりでした。

60年安保闘争のあの若者たちの熱はどこから来て、そしてどこに消えてしまったのか。それを知ることは、自分や社会全体の「あきらめ」の根源を知ることにもならないか。そう思ってこの主題を選びました。そして、あらためて政治と民衆とメディアの間で行き交う「言葉」について考えたいと思いました。人と人はわかりあえないものだけれど、かつてはもう少し、言葉の意味自体は共有されていたように思います。でも、今は言葉が意味を失ってしまった。そこに思想はなく、ごまかしたり、だましたりするために言葉が使われています。そして、わかりあえない他者の言葉を冷ややかに笑うことしかできなくなってしまいました。

でも、だからといって、これからもずっとそうだとは思いたくありません。61年前に命を落とした彼女の言葉は今の私に届きました。共感できることもできないこともあるけれど、彼女の言葉には命が宿っています。その言葉を私は笑いたくない。言葉の持つ可能性はまだある。そう信じて、この作品を届けたいと思います。

瀬戸康史コメント

初めて栗山民也さんと瀬戸山美咲さんとご一緒させていただきます。栗山さんの作品は何作も見ていて、ぜひご一緒したいと思っていたので、本当に嬉しいです。瀬戸山さんはとても勢いのある劇作家さんだと思っていたので、今から稽古が楽しみです。安保闘争という難しいテーマではありますが、この作品には人間にとって、今の時代にとって、大事なメッセージが込められているのではないかなと、感じています。安保闘争の時代を生きた人物の心情を体全体で演じることができればいいなと思います。

木下晴香コメント

今回、初めてのストレートプレイに挑戦させていただく舞台になります。以前、栗山さんの演出された舞台を拝見し、本当に衝撃を受けました。栗山さんの演出を受けることが、今後の人生の糧に、宝物になるのではないかなと、とても光栄に、楽しみにしています。1960年代を生きた女性を演じるということで、今までに出会ったことのない壁にたくさんぶつかりながら、演じる覚悟、そして尊敬を持ってこの役に向き合っていきたいと思っています。

渡邊圭祐コメント

演出の栗山さん、劇作の瀬戸山さん、そして共演者の皆様とも初めてご一緒させて頂きます。そして、僕は舞台に出演することが初めてで、全てが初尽くしです。たくさんの初を前に、胸を躍らせ、誰よりも楽しみにしています。安保闘争という難しいテーマではありますが、舞台を通して、日本の社会や歴史について向き合っていけたらと思います。どうぞよろしくお願いします。

近藤公園コメント

いつか一緒にと念願に思っていた栗山さんとご一緒できること、大変楽しみで、嬉しいです。1960年代と現代を並行して描く作品ということで、共演者の皆さんと一緒に学びながら、その時代を感じることをとても楽しみにしています。

安保闘争の時代の、言葉の持つ力を信じて闘った人たちを演じることで、役者として改めて、言葉というものと向き合い、考える時間になるのかなと感じています。演劇の持つ力を信じて、誠心誠意、懸命に作りたいと思います。

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「彼女を笑う人がいても」

2021年12月4日(土)~18日(土)
東京都 世田谷パブリックシアター

2021年12月22日(水)
福岡県 福岡市民会館 大ホール

2021年12月25日(土)・26日(日)
愛知県 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール

2021年12月29日(水)・30日(木)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

作:瀬戸山美咲
演出:栗山民也
出演:瀬戸康史木下晴香渡邊圭祐近藤公園 / 阿岐之将一魏涼子 / 吉見一豊大鷹明良

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