宝塚星組、紅ゆずる＆綺咲愛里の退団公演が東京で開幕「最後は飾りなしで」

宝塚歌劇星組「ミュージカル・フルコース『GOD OF STARS-食聖-』」「スペース・レビュー・ファンタジア『Eclair Brillant（エクレール ブリアン）』」の東京公演が、本日9月6日に東京・東京宝塚劇場にて開幕。これに先駆け同日、公開舞台稽古と囲み取材が行われた。

本公演は星組トップスター・紅ゆずると星組トップ娘役・綺咲愛里の退団公演。小柳奈穂子が作・演出を手がける第1幕の「GOD OF STARS-食聖-」では、上海、マカオ、シンガポールなど現代アジアを舞台とした“アジアン・クッキング・コメディー”が展開する。

上海の総合料理チェーン“大金星（グランド・ゴールデン・スター）グループ”の総帥にして、天才料理人であるホン・シンシンは、弟子のリー・ロンロンに裏切られ、これまで築き上げてきた地位や財産を失ってしまう。シンガポールに流れ着いたホンを救ったのは、行方不明の父親に代わり、食堂を切り盛りするアイリーンとその仲間たちだった。自信家のホンと気の強いアイリーンは反発し合いながらも、料理に情熱を燃やす者同士次第に心を通わせ、店を繁盛させる。やがてホンとアイリーンは世界最高の料理人“食聖”を決定するコンテスト“ゴッド・オブ・スターズ”に参加する資格を得て……。

紅は天才的な料理の腕を持つあまり傲慢になり、ことあるごとに調子に乗ってしまうホンを、ときコミカルに、ときにスタイリッシュに表現。綺咲はケンカを繰り返しながらも、ホンに恋心を抱くアイリーンを愛らしく演じた。またホンにライバル心を燃やすリー役を次期星組トップスターの礼真琴、リーが一目惚れをするスーパーアーティストのクリスティーナ・チャン役を次期星組トップ娘役の舞空瞳が務めている。劇中ではヒャダインが作曲したアップテンポでアジアンテイストな楽曲に乗せ、ホンとアイリーン、2人を取り巻く人々が歌い踊り、東京宝塚劇場を華やかに彩った。

第2幕の「Eclair Brillant」は、酒井澄夫作・演出のレビュー。宇宙から地球に舞い降りた青年が世界各地を巡る本作では、紅を中心に星組が一丸となってエネルギッシュに躍動する。紅はソロの歌唱パートや黒燕尾服姿での群舞で、情熱的な表情とクールな表情を使い分け客席を魅了。綺咲はそんな紅に寄り添いながら、優しい微笑みを投げかけた。

舞台稽古終了後の囲み取材には、紅と綺咲が出席。紅は退団公演について、「精一杯、いつも以上に……いや、いつもと同じくらいだと思いますけど（笑）、がんばります！」と記者たちの笑いを誘い、「ひと場面ごとに“劇場”を感じながら、限られた時間を大切に過ごしたいです」と思いを語る。記者から「黒燕尾の衣装に装飾が付いていない理由は？」と尋ねられた紅は「最後は飾りなしでいきたかったんです」と笑顔で答えた。

続く綺咲は、「宝塚大劇場公演では、たくさんの幸せをいただきました。気持ちを新たにして、東京宝塚劇場公演を最後まで精一杯駆け抜けたいと思います」と真摯に述べる。

「お芝居とショーのギャップがすごい」と話す紅は、公演の見どころについて「お芝居はコメディですが、ハートフルな作品でもありますので、そのあたりも楽しんでいただきたいです。そしてショーは酒井澄夫先生が手がけられたロマンチックな作品ですが、いつもとちょっと違う現代的なシーンもありますので、そこも見どころでございます」とアピール。綺咲が「好きな場面はデュエットダンスです」と紅に視線を送ると、紅は「好きな場面は、『ボレロ』からの黒燕尾……からのデュエットダンスの流れですね」と綺咲に視線を送り返した。

上演時間は途中休憩を含む約3時間を予定。東京宝塚劇場公演は10月13日まで。