古坂大魔王が語る首都高と防災|非常時に必要なのは知識と勇気、何よりも体力

東京都とその周辺を結ぶ首都高速道路(通称「首都高」)の防災・災害対策への理解促進を目的とした公開授業が先日都内の青稜中学校・高等学校にて実施され、古坂大魔王が生徒代表としてゲスト出演した。

これは災害に備えた取り組みや緊急時の落ち着いた行動の重要性を一般の生徒たちと考える1時間。古坂は2025年12月に首都高の山手トンネル内で車両火災に遭遇した経験を持つ。果たして首都高では一体どんな防災・災害対策が行われているのか?

お笑いナタリーではこの授業の様子を伝えるほか、古坂へのインタビューも実施。授業の感想とともに、基本的に毎日利用しているという首都高への思い、防災意識、ドライバーに伝えたいことなどを語ってもらった。

取材・文 / 成田邦洋撮影 / 小林恵里取材協力 / 青稜中学校・高等学校

古坂大魔王が生徒代表!公開授業リポート

「首都高の防災・災害対策を学ぶ公開授業」が青稜中学校・高等学校で開催され、古坂大魔王がゲスト出演した。このイベントは首都高速道路株式会社が首都高の防災・災害対策への理解促進を目的に実施したもの。古坂は2025年12月、首都高での自動車走行中に車両火災に巻き込まれた経験があり、その体験談を公開授業で伝えた。

まずは同校の青田泰明校長がこの授業の趣旨を生徒たちに説明。「皆さんに、道路の裏にある工夫や社会課題、道路がただのインフラではなく未来の街作りや将来の社会作りにどう関わっているのか、などに意識を持ってもらいたくて、この授業をすることになりました」と頭出しした。

続いて首都高の広報課・井上拓也氏が首都高に関する基本的な解説を始め、1962年に作られて現在総延長が約327.2kmの長さになっていること、1日に約105万台の交通量があることなど数々の特徴を伝える。青稜中学校・高等学校の近くを通る山手トンネルの話も。首都高速道路株式会社は首都高を安全に、かつ安心して利用してもらえるよう、また何かが起きたときに社会への影響が最小限になるよう運営しているという。

生徒たちの前に現れた古坂は「僕もそんなに詳しくないので、一緒に勉強していきましょう!」と挨拶。そして昨年、自身が首都高で体験したことについて「テレビ番組の収録に向かう途中、山手トンネルの地下で、急に渋滞で止まったんです。トンネルの中にすごい爆音で『火事です! 今すぐ逃げてください!』というアナウンスが何度も流れた」と緊迫した状況を振り返った。

非常事態に遭遇した際の心理についても「人間って怖いよね。『嘘かな?』って思っちゃう。『正常性バイアス』という難しい言葉があるけれど、『私は大丈夫。私だけは生き残る』と思ってしまう」という古坂。「でも、すごく前のクルマが火を吹いていた。そのときに、とりあえず外に出て、非常口を探したのよ。非常口って、あるんだよ!」と親しみやすい口調で語った。さらに「非常口から逃げるには体力がいる。たとえば子供がいたら、抱っこしたまま階段を上らなきゃいけない。アナウンスを聞いて、その通りに動けば問題ないはず。まずは慌てないことが大事」と力説。生徒たちへ向けて「こういう場合にどうすればいいか、パパやママは知らないかもしれない。今日学んだことを家に帰ってから、“いばって”教えてあげてください。この授業はけっこうためになると思います」と呼びかけた。

授業では首都高職員の小川陽平、鈴木直人、竹中嶺巨の各氏による解説が行われ、古坂は聞き手となってその話を深掘りしていった。テーマは「トンネル火災への備え」「交通管制の取り組み」「地震への備え」の3つ。トンネル内には警報板や信号機などさまざまな情報提供設備があるほか、非常口も約350m間隔で設置されており、古坂は「最初は『出口がないんじゃないか』という恐怖心があるけど、必ずあるのでご安心を」とフォローした。

トンネル内で使用される避難指示の警報音声が教室内で実際に再生されると、古坂は「怖いでしょ? これ、実際は爆音で鳴るんですよ」と実体験にもとづいて生徒に伝える。また「トンネル内でどこに行けばいいかわからなくなったときは、アナウンスされたことが正解です。僕が非常口を出たら、みんながどんどんあとに続き始めた。みんなも(避難を先導する)1人目になってね」と語りかけた。

首都高の状況を交通管制室が24時間365日監視していることが紹介されると、古坂は「“トンネラー”がいるんですね(笑)」と独自のネーミングで交通管制のことを表現して会場を和ませる。その社員たちは事故や故障車、落下物などを監視しており、トラブルを発見した際には即時に黄色いパトロールカーが駆けつけるという。また機動力が高く、いち早く現場に急行するバイク、通称「黄バイ」が活用されていることも紹介された。なお首都高は大きな地震が起きた際、多くの人々の命を救う道になるそうだ。地震への備えについて、首都高の柱は耐震補強が100%完了していること、高架から地上へ退避するための非常階段が約300m間隔で設置されていることなどが説明された。

質疑応答のコーナーでは生徒から真面目な質問が飛び出す一方、自身の身長を聞かれた古坂が「186cmです」と答えたあと、わざと野太い声を出して“巨人”ぶりをアピールする場面も。最後に古坂は「AIの時代、興味がないことは聞き流されがちだけど、今日の話をほんの頭の片隅にでも置いてもらえれば」と訴えた。

古坂大魔王 インタビュー

日常の中の非日常な公開授業

──実際の学校で、生徒たちの前で公開授業という形でのイベントが行われました。終えられてのご感想は?

僕らは「avex class」といって、アーティスト・タレント・クリエイター・アスリートが一日講師として全国の教育機関に訪問し、自身の体験談を通じて子供たちに「才能や夢を信じる力」の大切さを伝える出張型のキャリア教育プログラムを年に数回、SDGsの観点から実施しているんですよ。だから学校に行くことはよくあるんですけれども、こうして首都高さんの授業で、メディアの方も来てくれる、ということが実はあまりなくて。今日は「ためになる」という感じが、すごくよかったです。

古坂大魔王

古坂大魔王

──生徒さんとも交流されていましたね。

そうなんですよ。自分に子供が生まれてから、あの年代の生徒たちを見ると、自分の子供たちの数年後に思えてワクワクするんです。

──古坂さんが今日の授業で学んだことで印象に残ったことは?

「高架」についてです。僕、3.11(東日本大震災)のときは高架下のスタジオで収録してたんですよ。高架が揺れ動いて、車が止まっているのを見たんです。「どうやって逃げるんだろう」と。すごく高いし、不思議だったんです。まさか、あんなに近い距離に高架から降りられる階段があるとは思わなかったです。

──約300m間隔で設置されているとのことです。

「高架で地震になったらどうしよう」とモヤモヤしていたんですけど、「あ、首都高は大丈夫なんだ」と思って1つ安心できました。子供が小さいと、どうしてもそういうことを考えちゃうんですよ。「首都高に乗っちゃえば、とりあえずどこからでも逃げられるんだな」とわかりました。あと、もし事故が起きた場合でも、「黄バイ」(=黄色のパトロールカー)が30分もかからないで来ることにも驚きました。それはすごいですよ。僕らは守られているんだなと感じました。

「首都高」さんの「愛」が伝わった

──これまで首都高に抱いていたイメージと、イベントを終えてからのイメージに変化はありますか?

首都高は「顔」が見えないように思えます。「首都高って、会社だったのか!」と驚きました。「首都高=道路」というイメージがあったのですが、頻繁に点検をしている人がいて、落下物などの回収をしている人もいるわけで。

──実際に人がやっているんだという。

また実際に会ってみると若い人が多い。着ている作業着もカッコいい。僕、首都高社員の方に「なんでこの仕事にしたの?」と聞いたら、「社会的な意義を感じる。人のためにやっている」のだと。

古坂大魔王

古坂大魔王

──なるほど。

首都高の人たちは、普段からきっちり細部まで考えてパトロールしていて、大変な仕事ですよ。ただ実際、僕もSDGsやUNEP(国連環境計画)の活動をやっていて、気持ちいい、というのはあります。うちの母親は、僕が子供の頃に「なんでも一等賞になって、二等賞からビリまでの人を救え」なんてことを言っていました。

──そんな教えがあったんですね。

僕も日頃からAIを使っていますけど、あくまでもデジタルの中のことです。「人が倒れた」となった場合には、人が救いに行かなきゃいけない。ロボットがやるとしても人間が管理する。そこは人間の「愛」ですよね。その部分が今日伝わってよかったです。首都高さんには愛がある。