yonigeが5月27日に4曲入りのEP「芽吹くとき」をリリースし、ソニー・ミュージックレーベルズより再メジャーデビューを果たす。
本作には4月よりTOKYO MX・BS11ほかにて放送されているテレビアニメ「上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花」のオープニング主題歌「芽吹くとき」、同アニメに書き下ろした挿入歌「Don't」と「Wet」、初期曲をリアレンジした「しがないふたり(re-arrange ver.)」が収録されている。2017年のメジャーデビューを経て一度インディーズに戻り、さらには事務所を離れて2人だけの独立期を経て再びのメジャー契約。なぜ今、彼女たちは“再デビュー”するのか? そしてアニメ作品も話題となっている新たな楽曲について、牛丸ありさ(Vo, G)、ごっきん(B, Cho)に話を聞いた。
取材・文 / 照沼健太撮影 / 津田寛斗
今だったらもう1回メジャーで戦える
──まず再メジャーデビューの経緯から伺えますか? 一度メジャーへ行ってインディーズに戻り、さらに事務所も辞めて完全自主からの再メジャー契約というキャリアはなかなかない流れだと思います。
牛丸ありさ(Vo, G) 最初のメジャーデビューのときは、自分のメンタルが全然伴ってなかったんです。ツアーを回りながらフルアルバムを作って……みたいな忙しさにけっこうやられてしまって。1回辞めて、そこから自分たちで立て直したことでメンタルが整って、「今だったらもう1回メジャーという土俵でちゃんと戦えそう」とチャレンジすることにしました。
──最初のメジャーのときも、スケジュール的な負担さえなければそのまま続けられそうでしたか?
牛丸 いや、そうでもなかったですね。自分がめちゃくちゃ未熟だった。器が小さくて、忙しくなくてもたぶんダメだったんだろうなと思います。
ごっきん(B, Cho) 人に優しくできなかった時間だったのかもしれないです。仕事を取ってきてくださる大人たちに本当の意味で敬意を持てなかったんですよね。自分たちの目の前にあるやらなきゃいけないことに向き合うことしかできてなくて、あのままやっても周りに嫌われていたんだろうなと。余裕がなくて、今とはメンタル面が全然違いました。
──それは、自分たちがやりたいことを邪魔する人のように見えていた?
ごっきん 敵視していたわけではないです。でも今は身内に好かれることが一番大事だと素直に思える。当時はそういうメンタリティではまったくなかったです。子供だったんだなと思います。
──どのあたりでそれが変わったのでしょうか?
牛丸 1回メジャーを辞めて、ずっと長い間所属していた事務所も辞めて、完全に私たち2人で会社を立ち上げたのが大きかったですね。1年間完全に自主でやってみたんですけど、それがもう本当に地獄で。大変すぎました(笑)。
ごっきん 「どちらかと言えば、(牛丸よりも)うちのほうがまだ勤勉だし向いているかも」という理由で経理とか全部やってたんですけど、もうわからなすぎて。その日その日のことをやっていくのに必死で作品を作る余裕もなかった。「とにかくライブをやって稼がなきゃ」って感じでした。そのときに周りの人たちがすごく助けてくれて。同時にお客さんのありがたみがめっちゃ染みてきて、そこからグッと成長した感があると思います。
──ディスコグラフィを見ても、自主時代は作品のリリースがあまりないですよね。それは時間がなかったから?
ごっきん それもありますけど、まとまったお金を作って独立したわけじゃなくて、「とにかく出るぞ」という感じだったので、とにかく「来月の給料どうしよう」って感じだったんです。
──以前の事務所を辞めたのは、どういう考えからだったのでしょうか?
牛丸 19、20歳の頃に入った事務所だったので、お金周りのこととか、本当に何もわからない状態だったんですよ。自分たちが今適正な対価をもらっているのかもわからないし、いくら入ってきて、いくら出ていっているのかも知らない。事務所側もそれを全部あけすけに私たちに言うわけにもいかなかったと思うんですけど、そこにもやもやしてて。お金周りのことの全部を知りたくて辞めました。
──辞めて自分たちの活動にまつわる動きを全部把握できるようになって、それはそれで大変だったと思うんですけど、そこでわかったことは?
ごっきん めちゃくちゃありました。でもうちらが一番調子がよかった時期にこれくらいお金のことをうるさく言ってたら、たぶんすごくかわいくないから、あんなに押し出してもらえなかったのかな、とも思ったりして。だから全部あけすけにわかるようになったのが今でよかったです。
──そんな中で再メジャーのオファーをもらったのは、いつ頃ですか?
牛丸 ちょうど1年くらい前かな。また新しい事務所に入ったんですけど、それと同時に「ソニーどう?」って感じになり「今だったらやりたいです」って。
ごっきん 「どう?」も何も「ソニー入れてくれるんですか、マジっすか」って感じでした(笑)。
──再びメジャーデビューしてまだ走り始めたばかりだと思いますが、1回目とは違うと感じていますか?
牛丸 はい。今はもっとクリアにいろいろ見えてますね。
「自分の城を持ってる感じ」。新たな制作体制
──楽曲の制作面では、何か変化はありましたか?
牛丸 メジャー1回目のときは、最初は変わらず私が主体で曲作りを進めていたんですけど、サポートギターで土器大洋(MO MOMA)さんが入ってくれるようになってからは、土器さんと一緒に曲を作っていくようになりました。それですごく世界観が広がりましたね。土器さんはちゃんと世間に届く、みんなの心に届くいい塩梅のアレンジを作るのもうまいし、でも私たちのエゴを出したもっとストイックなカッコいい方向の曲も作れる。そんな強い味方ができたこともあって、今だったらメジャーという土俵でありつつ好きなことができる自信があります。
──スタジオワークや音質という面では、近年はインディーズや個人でも、メジャーとそれほど遜色のないサウンドを作れるようになっている流れがあるじゃないですか。その点で考えると、yonigeの楽曲ってインディーズ時代も全然遜色ないというか、むしろパワーアップしているぐらいの素晴らしいサウンドだったと思うんですよ。そのあたりで感じることはありますか?
ごっきん 最初のメジャーデビューから今までいろんな人たちと一緒に仕事してきましたけど、レコーディングエンジニアとの出会いがすごく大きくて。今回のEPは土岐彩香さんにやってもらいました。土岐さんはもちろん技術がありますし、一緒にやりやすいんです。前のメジャーと今のメジャーとの間は、そういう人をゲットできた期間だったなと思います。音もどんどんよくなっていくし、進化できている実感があります。
──そういう方と出会うのは、もはやレコード会社とかは関係なく?
牛丸 最初の頃は事務所の人やレーベルの人に紹介された人、という感じだったんですけど、自分たちだけでやるようになってからは、紹介じゃなく自分たちから出会いに行くようになりました。だから信頼関係も築きやすいし、コミュニケーションが円滑に進むんです。土器さんもそうだし、エンジニアの土岐さんもそう。スタイリストやヘアメイクさんもそう。だから今は自分の城を持ってる感じ。安心できる環境です。
──ミュージシャンとは対バンとかで知り合っていくと思うんですけど、エンジニアやスタイリストはどうやって探していくんでしょうか?
牛丸 エンジニアだったら「この音源の音、めっちゃいいな」ってところから調べていったり。
ごっきん 土岐さんは土器さんの紹介でした。土器さんが前からお世話になっていた方で、「絶対合うと思うよ」とオススメしてくれて、最初から信頼できました。
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1年前の春に仕込んだ「芽吹くとき」





