coldrain×WOWOW特集|ジャンルや世代を超えてつながれた空間、3年ぶり主催フェス「BLARE FEST.」の軌跡を振り返る (3/3)

突き通す強さを後輩にも伝えたい

──バンドのキャリアも長くなり、メンバーの皆さんも年齢を重ねてきたこともすごく大きな要素ですよね。後輩を温かく見守るというよりも「もっと来いよ」と言えているのも、coldrainがキャリアを1つずつ更新していることの表れだと思うし。シーンの未来という意味で考えることはあります?

Y.K.C ラウドミュージックのシーンの未来を俺らが語るんじゃなくて、日頃からそのシーンで戦っているバンドを観に行くようにしているかな。そのたびに感じるのは、みんな俺らがバンドを始めた頃と変わらない熱量と野望を持って活動しているということで。そうやって若いバンドと接する中で「俺らもこんな感じだったんだな」と初心に戻る感覚もあるし、若いヤツらの言う“ヤバい”を感じ取れなくなったら俺らも終わりだな、と危惧する気持ちも生まれてくるんだけど……若いバンドと触れ合う中で感じることと言えば、若い頃はバンドという“体”の部分じゃなくて音楽的なところに意識が寄りがちだし、音楽性や作品性の部分に対して「自分たちが何者であるか」を込めたくなるということで。でも、徐々に意識がバンドそのものに寄っていくんじゃないかなと思っていて。今はインターネットで技術的なことをすぐインプットできるから、音楽的なアベレージはどんどん上がっていると思う。「あんたたちが俺と同じ年齢の頃、こんな曲作れなかっただろ」って思いながら上の世代を見ているヤツもいるだろうし。だけれども「じゃあステージでやってくれよ!」って思うんだよ。そういうヤツらがどんどん上がってきてくれれば、シーンがもっと活性化するはずだから。……ということを、老害にならないように伝える方法を考えています(笑)。

Masato ははははは。俺はもう、「その考え自体が古いっすよ」って言ってくるヤツの話を聞きたいくらいだけどね(笑)。だけど、そんなに甘いもんじゃないから。20代前半くらいで「先輩それ古いっすよ」っていう感じで出てきたヤツも、結局は丸くなっていくんだよ。なぜなら、思っていたより世間に通用しねえなと痛感する場面が増えていくから。今は「バズ」っていう言葉が当たり前のように使われてるし、1曲で何段飛べるかを考えるのが普通になっているけど、俺らは本当に一歩ずつやってきたバンドだから。そもそも「世界で活躍したい」みたいな大きな夢を抱いて始まったバンドではないけど、目標とするバンドの存在はめちゃくちゃデカかったというか。そこに行くまでを考えて丁寧に一歩ずつやってきたからこそ、自分たちの場所を強固なものにしてこられたと思うし。これは俺らだけじゃなくてSiMもHEY-SMITHもそうだけど、「負けねえ」とは言いつつ、誰も同じ戦い方をしてないからね。音楽的な個性はもちろん違うし、もっと精神性の部分で自分たちを突き通してきた自覚があるから。俺らはずっと、このラウドロックという音楽を認めさせたい!という気持ちでやってきたし、そのための場所を作りたいと思って歩んできたわけだけど、そういう精神性の部分、自分たちが何を大事にしているのかを突き通す強さが後輩にも伝わっていったらいいなと思う。

──もう1つ伺いたいのは、ラウドロックとして追随してくる後輩が少なかったところから、どんどん後続のバンドが出てくるようになったことについてです。これはどうしてだと思いますか?

Masato そうだな……俺らがスタートした頃を振り返ると、音楽がフィジカルからデジタルなものに移行していく変わり目だったと思うのね。1つ上の世代はCDにしろライブにしろフィジカルなものがすべてだったけど、俺らの世代はインターネットを使うのが普通になって、インターネット上でいかにビジネスマインドを持てるかが重要だったんだよね。じゃあ今がどうかと言うと、インターネット上の情報合戦も飽和してきたわけで。そうなると、今の世代にとっては「情報に左右されない」とか「いかに自分たちをブレさせずにいられるか」が大事な要素になってきている気がして。1周回って、俺らの上の世代の感覚に近い感じになってきたというか。そういうときに、よりフィジカルな表現を求めるとか、自分の衝動をそのまま吐き出せる音楽がリアルになってくるとか、そういう向きが確かにあると思うんだよね。芯をブレさせてくるものが多い時代だからこそ、信念を突き通すための音楽を選ぶヤツらが増えてきた。

──まさに。

Masato で、昔はそういう精神性がラウドロックとして受け継がれていくものだと思っていたし、もっと絶対的な存在が生まれてくるものだと予想してたんだけど、誰が絶対的というよりも、多様な形、多様なジャンルとしてちりばめられているのが今なんだろうね。個々が個々の形で信念をブレさせず、デカいものを作り上げようとしている。それが面白いし、そういうバンドたちに目を向けるきっかけにBLAREがなれているんだったらいいなと思う。で、俺ら自身もそういう世代の動きに影響されて成長していくものだと思ってるから。BLAREはいろんな意味で大事な場所だね。

独自のシーンを作り上げて、またBLAREという形で表現を

──coldrainは来年で結成20周年を迎えるわけですが、この先はどう進んでいくんですか?

Sugi 変わらず着実に自分たちの音楽をやって、現場主義で。それは変わらないですし、それをどれだけ下の世代に伝えていけるかですよね。それこそガラパゴスっていう話だけど、独自のシーンを作り上げて、それをまたBLAREという形で表現していけたらすごくいいですよね。

Sugi(G, Cho)(photo by nekozephoto)

Sugi(G, Cho)(photo by nekozephoto)

Katsuma 側から見ていて、そういう経験ができるのはうらやましいけどね。SugiはCVLTEでもギターを弾いたりしてるけど、若いバンドの現場でいろんなことを感じられるのは、すごく貴重な経験なんじゃないかと思う。

Sugi 確かにそうだよね。若い子が何を考えてるとか、お酒を飲みながら話すだけでもめちゃくちゃいい経験だから。「いろいろ溜まってるんだねえ」と思うこともあるし、「だったら音楽にもっと出しちゃいなよ」って言うこともあるし。話を聞いていて「すごく面白いな」ということばっかり。

Masato 昔は「先輩たちはどうしてこんなに話してくれるんだろう?」と思ってたけど、今になってわかるよね。普通に下の世代の考えていることに興味があるもん。

Sugi 「俺もっとMasatoさんやY.K.Cさんとも話したいんですけど、行ってもいいすか!」とか言うヤツもたくさんいるし。

Y.K.C ……まず来ないな。

Sugi ははははは!

Y.K.C 飲み仲間しか来ない(笑)。酒飲みながらじゃないと話せないって思われてるのかな?

Sugi 「絶対行くべきだよ!」って返してるけどね(笑)。

Y.K.C 気を使われてるのかな? それはどうなんだろうなあ。

Masato ほら、こんな話でワイワイしてるくらいだから、やっぱりまだまだ大御所でもなんでもないわけですよ。だから20周年とは言っても、確実に集大成にはならない(笑)。何かを成し遂げたわけではないし、もっと闇雲にがんばるべきことがある。昔TOSHI-LOW(BRAHMAN、OAU)さんが「歳をとると、登るよりも引き伸ばすことを考えるようになる」って言ってたけど、俺はまだその領域を感じてないんだよね。まだ登れると思ってる。じゃあどんな山を登るのかって話になるけど、「東名阪のアリーナツアーをやりたい」とかもありつつ、規模だけが目標になるわけじゃないから。やり方を変えてまで規模を上げたくはないし、やっぱり自分たちの感覚1つでどこまで進めるのかが大事なんだと思う。

──「BLARE FEST.」は3回目を終え、バンドとしても20周年を迎える。だけど精神状態としてはどんどんフレッシュになっていることがよくわかる話でした。

RxYxO 今年のBLAREが終わった直後から「まだいける」って話をしてたくらいだから、この調子でもっと上を目指していけたら。そこでどんな景色を見られるのかはそのときにならないとわからないけど、だからこそ楽しみだなって思う。20周年については、うーん、どうなるんだろうね?

RxYxO(B)(Photo by kawado)

RxYxO(B)(Photo by kawado)

──お祭り的にするかもわからない?

RxYxO まあ……するんじゃない?(笑)

Masato ははははは!

Y.K.C 20年前に「20年後、バンドを続けていたらこうなれているんじゃないか」と思っていたバンド像にはまったくたどり着けていないからね。だから理想のバンド像に向かってはずっと戦い続けなくちゃいけない。それがcoldrain自身の20年に対する考え方であり、だからこそ今までと変わらず一歩ずつ進んでいくしかないと思う。でも、お客さんに還元するための20周年っていうのはそれと分けて考えなくちゃいけないから。20年前から観てくれている人がいるとすれば、20年分の人生をともにしてきただけの何かを還元したいと思ってる。まあ、今はまだこれくらいしか言えない(笑)。

──Y.K.Cさんが思い描く理想のバンド像は、どういうところにあります?

Y.K.C このメンバーでバンドを組んだ当初は、俺らの思う「名古屋のオールスター」がcoldrainだったのね。じゃあ次はそれぞれが「日本のオールスター」を名乗れるくらいまで行こう!っていうのが今の理想かな。そこまで突き進みたいと思ってますね。

プロフィール

coldrain(コールドレイン)

2007年に名古屋で結成された、Masato(Vo)、Y.K.C(G)、Sugi(G, Cho)、RxYxO(B)、Katsuma(Dr)からなるラウドロックバンド。日米両国籍を持つMasatoによる英語詞、伸びやかな歌声と過激なスクリームを交えたボーカル、テクニカルでエモーショナルなツインギター、重低音でボトムを支えるベース&ドラムが絡み合うバンドサウンドが魅力。2008年11月にシングル「Fiction」でメジャーデビュー。2020年からは主催フェス「BLARE FEST.」を地元・名古屋にて不定期開催している。2025年には新たに立ち上げたマネジメント事務所に移籍して独立し、ドイツを拠点とするレーベル・Century Media Recordsとグローバル契約を結んだ。