全員の衝動と覚悟が同じでこそ、初めて“シーン”と呼べる
──ストリートとは何かと言ったら、ジャンルを超えて精神性一発でつながれる遊び場とも言えるじゃないですか。その中でジャンルも遊び方も混ざっていって、新しいものが生まれていく。それは「BLARE FEST.」初回から志しているところだとは思うんですが、coldrainがキャリアを重ねていく中で、より強く意識するようになったところもあるんですか?
Y.K.C 俺らもジジイになってきたからね(笑)。お客さんも含めて、下の世代につなげることを自然と意識するようになったかもしれない。それも俺らが大上段に構えて何かを教えるという意味じゃなくて、ルールで縛るよりも自分たちで考えて遊んでくれよということが伝わればいいなと。それこそストリートの自治の感覚であり、俺らのシーンの遊び方というか。
Masato 初回から、広い空間をポンと渡せば各々で自由に楽しめるでしょ?っていう気持ちは持ってるんだけどね。でもダルいくらい言わないと伝わらない部分もあるから、俺らのライブでは「柵なんていらない」って言い続けてきたんだけど。でもBLAREに関してはお客さん自身も「俺らに任せてくれよ」という気持ちで来てくれていると思うの。仮にTHUNDER STAGEのセキュリティさんを全員取っ払ったら、お客さんの中でセキュリティをやり始めるヤツが出てくるんじゃないかなってくらい。各々の自治の感覚に任せますよ、という気持ちは最初から今まで一貫している部分であり、それがこのフェスのストリート感につながっているんだと思う。
──でも勇気がいることですよね、各々の良識に任せるのは。昨今はクラウドサーフやモッシュに対して外野からああだこうだ言う人も増えていますし。俺ら自身がつないできたカルチャーなんだよと言っても、それを突き通すには世間がうるさすぎるし。
Masato それで言うと、例えばONE OK ROCKくらいの規模のバンドって、こういうフェスに出ることに対して怖い部分があると思うんですよ。日頃からライブハウスで遊んでいるお客さんたちが多いわけじゃないだろうし、そういう人たちとTHUNDER STAGEの遊び方が混ざると、小さい揉め事が起こる可能性もあるから。だからこそ俺はONE OK ROCKの真裏にKnosisをぶつけるしかねえと考えたんだけど、よかったなと思うのは、そのタイムテーブルにおける揉め事が一切なかったことで。
──というと?
Masato 「この時間はONE OK ROCKを観るべきだろ!」とか「いやいや、Knosisに決まってんだろ」とか、お互いのファンがぶつかるようなことがなくて。それぞれのお客さんが、純粋に観たものを讃えるだけだった。それがめちゃくちゃいいなと思ったし、両方観たかったであろうお客さんも「こっちを選択してよかった」と思ってもらえた気がする。そのうえで、最後に俺らのステージにTaka(ONE OK ROCK)とRyo(Knosis)を呼んで「The Revelation」をプレイして全回収できたのも最高だったしさ。なんか、そういうのが大事だと思うんだよ。自分で選択して、自分が観て感じたものを純粋に「最高だ」と言える気持ち。BLAREはまだ3回目なのにそういう姿勢を共有できているフェスなんだな、と実感できたのがうれしかった。
──一方、WATER STAGEとFIRE STAGEの出演者たちを観て、何か感じたことはありましたか?
Masato それもBLAREっぽいなあと感じたところなんだけど、WATERの出演者もFIREの出演者も、みんな勢いを出すことを意識しすぎてて。フェスでも自分たちのイベントでもライブをやりまくってきたLiSAやTHE ORAL CIGARETTESが、5分巻いて終わるんですよ(笑)。
──パンチを出すことを考えすぎて巻いてしまう(笑)。
Masato 俺らのタイムテーブルのほうが間違ってんのか?って思うくらい(笑)。冗談で「ギャラ減額するよ」って言ったけど。
RxYxO はははははは!
Katsuma すげえ巻いてるのにやりきった顔だったもんね(笑)。
Masato 例えば2024年に幕張メッセで「TRIPLE AXE」をやったときは、俺らもHEY-SMITHもSiMも気合いが入りすぎて押しちゃってたわけですよ。だけど後輩は気合いが入ると巻くんだ!という(笑)。それが面白かったし、みんな普段は出せないものを出しに来てくれてるんだと実感できたひと幕でした。特にLiSAなんて、全然しゃべらずにとにかく曲で押し切る!みたいなライブで、めちゃくちゃ気合いを感じたもんね。
──何よりcoldrainも、BLAREのステージでは普段のライブと違うスイッチが入っていますよね。それまでの型を全部ぶっ壊して、気持ち一発で爆走するようなライブになる。そういう各々の勢いを呼んでいるのは、当然ですが「BLARE FEST.」の磁場なわけですよね。その正体はなんだと思います?
Masato やっぱり、音楽をやっていくうえでの純粋な衝動をそれぞれが感じてくれているからなんじゃないかな。じゃあそれがどこから生まれているかと言ったら、各々が守り続けてきたものがこれだけのデカさまで来た!という誇りなんだと思う。それがお客さんにも伝染しているから、フェス全体が衝動的なものになっているんだよね。例えば今回SPYAIRに出演をオファーしたのはなぜかと言うと、「MEGA VEGAS」でSPYAIRを観たときに、俺らのシーンにも共通する衝動を持っているなと感じたからで。そのうえで、モッシュピットが獰猛なものになりやすいTHUNDER STAGEに呼ぶっていうね(笑)。それを承諾してくれるSPYAIRの姿を見て、俺もまたアガってさ。そういうふうに全員の衝動と覚悟が同じでこそ、初めてシーンと呼べると思うんだよね。
俺らは現場主義の中で壁を壊してきた
──2000年代後半まで日本になかったシーンを作るべく奮闘してきたcoldrainは、日本にない居場所を作るために異なるジャンルとも取っ組み合って、その中で仲間を作ってきた。そういう歩みだったからこそ、このフェスは単に「ラウド」という言葉でくくれない百花繚乱なラインナップを実現していますよね。そのミクスチャー感と、この日本でしか生まれなかった“音楽闇鍋”の独自性をどう感じていますか?
Katsuma そういう混ぜ方に関して言うと、そもそもは前身の「BLARE DOWN BARRIERS」の頃から俺らが志していたものだったんですよ。“BLARE DOWN”、つまり“壁を壊す”という言葉を掲げていたのも、ジャンルの壁を壊すことで自分たちの場所を作ろうという気持ちだったから。今でこそラウドとメロディックパンクが一緒にやるのは普通のことだけど、昔はその2ジャンルですらキッパリ分かれていたわけですよ。そんなすみ分けをしていても面白くないと思って始めたのが「BLARE DOWN BARRIERS」であり、「激しい音楽といったらメロコア一択」みたいなことになっていた当時のシーンに対するカウンターでもあった。で、今言ってくれた話はまさに「BLARE DOWN BARRIERS」を始めたときの理想が実現できているということだと思っていて。回を重ねるごとに「BLARE DOWN BARRIERS」の原点に近付いていってるのかもしれないし、最初からあった気持ちとも言えるんだろうし。
──原点に還っていっているだけなのか、あるいはストリーミングサービスが台頭してあらゆる音楽が横一線で聴かれるようになった現代においては、節操なくジャンルを混ぜてしまえる日本の音楽観が世界有数のオリジナリティになるんだという気持ちなのか。どういう感じなんですか?
Katsuma どうだろうな……でも、むしろ今のほうが「ジャンルの壁を壊す」ことが難しくなってる気がしますよね。SNSでバズを起こすような音楽とか、それもまた新しいシーンと言えば新しいシーンなわけだから、混ざらないものも増えているというか。だから、あくまで俺らは現場主義の中で壁を壊してきたということですよね。
Y.K.C うん。俺らのやり方は一貫していると思う。もちろんインターネット発のいろんな音楽が新しいストリートを生み出しているのもわかる。だけどあくまでライブ現場を見て、そこでカッコいいと思えるバンドしか呼ばないのが俺らだから。なんでもかんでも混ぜたり壊したりしたいわけじゃなくて、カッコいいと思うものを交錯させることで自分たち独自の場所を作りたいっていうのは変わらない。
──とはいえ、当日のタイムテーブルを一見するだけで、日本のロックシーンは「ガラパゴス」と揶揄されるものではなくて、世界に誇るユニークさを育んできたということがよくわかります。
Masato そうだね。なんにしても上の世代から勝手に続いていく1本の道があるのもわかるけど、今回は特に、なるべく先輩のバンドを呼びたくない気持ちがあったんだよね。実際に呼んだ先輩は10-FEET、マキシマム ザ ホルモン、ROTTENGRAFFTY、The Ravensくらい。その人たちにオファーしたのも、バンドのキャリアとしての後半戦にいる感じじゃなく、まだまだ一線で戦ってる人たちだからで。この前も「存在を意識してきたバンドはいるか」と聞かれたんだけど、俺が最初に「日本でラウドロックの道を作れる」と思わせてもらったのはホルモンで。あの人たちがあそこまでの支持を獲得していなかったら「ラウドの土壌を日本で作るのは無理だ、じゃあ世界を目指すしかないね」という選択肢しかなかった気がする。でもホルモンがいてくれたから、この音楽のすごさを日本で見せたいと思えたんだよね。
──ヘビーもポップも同時に食えると思えた。
Masato で、そういう気持ちが下の世代にも伝染しているのが今のような気がしていて。実際、違うジャンルの音楽をやっているバンドの中にも「昔coldrainのコピバンをやってました」って言ってくれるヤツがたくさんいるし、YOASOBIのAyaseのようにラウドを出自にしながら国民的なアーティストになるヤツもいる。何年か前は「ラウドに影響を受けたヤツがラウドロック以外の音楽を選ぶのはなぜなんだ?」と悔しかったんですよ。要は、ラウドロックをやる後輩がなかなか出てこなかった。でも最近は、気付いたら当たり前のように後輩が出てきている。そのことに対して「やっててよかったな」と思うことが増えてきたし、俺らがやってきたことをつなぐための「BLARE FEST.」なんだという感覚も強まってきて。昔JESSE(The BONEZ、RIZE)君に「誰にもケツを叩かれてねえな」と言われたこともあったけど、それはディスではなくてエールだったんだよね。俺らやSiMがシーンの一線に行き始めていたからこそ「もっと着火しろよ」とたきつけるメッセージだった。そういう意味でも、俺らが後輩に脅かされることこそが、俺らがやってきたことの証明になるんだと思う。
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突き通す強さを後輩にも伝えたい


