東京メルヘン倶楽部 特集|“世界厨二病化計画”を企む2人組がメジャーデビュー、新たな一手「MAJOR」

東京メルヘン倶楽部が7月22日にミニアルバム「MAJOR」でメジャーデビューを果たした。

東京メルヘン倶楽部は、厨二病とおゆうぎ会をコンセプトに掲げる“闇堕ち系おゆうぎバンド”。「世界厨二病化計画」なる怪しげな計画を遂行すべく活動するメンバー2人の奇抜なスタイルはSNSを中心に注目を浴び、2026年4月には事務所無所属ながら東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でのワンマンライブを成功させるなど、着実に支持者を増やし続けている。

そんな東京メルヘン倶楽部が、このたびキングレコードからメジャーデビュー。音楽ナタリーではこれが人生初インタビューという2人に、出会いのエピソードから「MAJOR」の手応え、そして“世界厨二病化計画”の次なる野望までたっぷりと話を聞いた。

取材・文 / フジジュン撮影 / はぎひさこ

半信半疑で初対面

──東京メルヘン倶楽部は7月22日にキングレコードからメジャー1stミニアルバム「MAJOR」をリリースします。まずメジャーデビューを控えて、率直な心境を聞かせてください。

ミラ(Vo) シンプルに背筋が伸びると言いますか。ここから新たにいろんな方が関わってくださるのもすごく楽しみだし、キングレコードさんが「気楽に一緒にやりましょう」と声をかけてくださったので、安心しつつも、身が引き締まります。大きな翼を借りた気持ちで、もっと高く飛んでいきたいなという気持ちです。

しずりん(Piano, Cho) 私はキングレコードさんからお声がけをいただく前、実はメジャーデビューというものに対して、前向きじゃない部分があって。自分たちはもともとYouTubeでふざけた動画を投稿するところから始まって、ここまで好き勝手やっていたバンドなので、人に迷惑をかけずにインディーズで暴れてるほうが合ってるのかな?と思ってたんです。でもある日のライブ終わり、声をかけてくださったキングレコードさんに「自由にやっていいですよ」とすごく寛大なお言葉をいただいて。「自由にやるだけじゃなくて、自分たちの活動をもっとたくさんの人に届けて、もっと大きく広げられたら、もっと楽しいことができるのかな?」と前向きになれたので、今はこの出会いがあったことを、本当にありがたいなと思ってます。

東京メルヘン倶楽部

東京メルヘン倶楽部

──では改めて、お2人の出会いと東京メルヘン倶楽部の結成に至る経緯を聞かせてください。

しずりん 私がInstagramでミラちゃんにDMをしたのが出会いだよね?

ミラ そう。めっちゃかわいい子から「ユニットのようなものをやりたいんですけど」ってご丁寧なDMが来て。「ホントか?」って思いながら恐る恐る返信をしたら、「じゃあ、1回会いましょう」となったのがきっかけですね。

しずりん ミラちゃんに惹かれたのは、顔と声なんですけど(笑)。自分は、ピアノは弾けるけど歌は得意なほうじゃなくて。やっぱり歌があったほうが面白いと思って歌い手を探していた中で、ミラちゃんを見つけたんです。「この顔でこんな歌がうまいことなんてあるの!?」と半信半疑で会ってみたら、画面越しに観ていたまんまのミラちゃんが来て、「本当にいるんだ!」って驚きました。

ミラ 「こんなかわいい子、本当にいるんだ!」と私も思ったよ(笑)。

──お互い実際に会ってみて、「この子とだったら、こんなことできそう」とか何かイメージは湧きました?

しずりん そのときはそこまではなくて。そのあと何回か一緒に遊んだ中で、カラオケに行って初めて生歌を聴いたときに「これは絶対、世の中に届けなきゃいけない!」と思ったんです。でも当時は事務所にも入ってなかったですし、届ける手段がわからなくて。「どうやったら、この歌を知ってもらえるんだろう!?」ってすごく考えました。

ミラ しずりんはピアノが上手なのはもちろんだけど、あれやこれやとできることがすごく多いことに私は驚いて。一番驚いたのは鉄棒ですね。

──え、鉄棒?

ミラ 鉄棒です。すごい回るんですよ! この華奢な体からは想像できないくらい。あと、カスタネットも上手だし、人が真似できないような絵を描くのも面白い。

しずりん イラストはミラちゃんもプロ級だよ。

ミラ だから、知れば知るほど「すごい不思議な子」って印象になっていって。それは今も変わらないですし、いつも予想外のことを投げてくるので驚きの連続です。

しずりん そこはミラちゃんだから提案できることも多くて。「これはちょっと無理」という制限もなく、自由に曲が作れることがありがたいです。

ミラ 私は歌詞の読解に苦戦してますけど(笑)。

ミラ(Vo)

ミラ(Vo)

しずりんの歌詞はどんなパズルよりも難しい

──東京メルヘン倶楽部の曲を聴いて、歌やピアノの技術的なところはもちろん、想像力や発想力がものすごいと思いました。

ミラ それが面白いから、長く続けられている部分はあると思います。私1人でやってたときは、「この音楽性で大丈夫かな?」って悩むことも多かったけど、しずりんとの活動では、それがまったくないんです。しずりんの作る曲には「これは世の中にウケるのか……?」みたいな悩みを跳ね除けてくれるパワーがあるので。

しずりん 自分が作った曲を一番に聴いてもらうのがミラちゃんなので、それを純粋に喜んでもらえるのがうれしいし、本当にいいメンバーだと思います。難解な歌詞でも「これはどういう意味で、どういう感情で歌うんだろう?」って真面目に考えてくれるのもすごくうれしいです。

ミラ すごく高難度な謎解き問題を出されてるような感じなんです。自分は謎解きゲームが大好きなので、たいていの問題は「あ、はいはい。このパターンですね」ってササッと解けちゃうけど、しずりんはそんな私でも解けないパズルを出してくる。自分なりに解釈して、「こういう感じだけど……合ってる?」って聞くと、「う~ん、ちょっと違う」って返ってきたりして。

──そんなに難解なパズルを出してくるんですね(笑)。そのうち、「東京メルヘン倶楽部研究家」みたいな考察系のYouTuberが現れるんじゃないか?と思います。「この曲で歌ってることが、実はこの歌詞につながってて。すなわち、それは世界中を厨二病に染める“世界厨二病化計画”の一端であって……」みたいな(笑)。

ミラ わぁ、怖くなってきた! オレもなんか洗脳されてるのかな!?

しずりん “東京メルヘン倶楽部”っていう、世界を裏で動かす巨大組織かも知れない(笑)。

眼帯を付けたくなった時期とかあります?

──では、そんな2人でバンド活動していくとなったとき、世界中を厨二病に染める「世界厨二病化計画」を企む“闇堕ち系おゆうぎバンド”というコンセプトに行き着いた経緯を聞かせてください。

ミラ 誰もが厨二病の心を持ってるのに、大半の人は大人になるにつれてそれを出せなくなると思っていて。だったら自分たちが代わりに厨二病の心を表に出すことで、みんなが自由に、解放的に楽しく過ごせるおゆうぎ会みたいな場所でありたいなと思ったんです。

しずりん 自分たちのブランディングを考えたとき……ブランディングとハッキリ言っちゃってますけど(笑)、ミラちゃんの“厨二病”という役割に対して、“お遊戯”の役割を担っているのが私なのかな?と思ってます。

しずりん(Piano, Cho)

しずりん(Piano, Cho)

──なるほど。それをガッチャンコしたのが“闇堕ち系おゆうぎバンド”というコンセプトであって、その総称が東京メルヘン倶楽部であると。みんながひた隠しにしている厨二病の精神をお遊戯で解放してあげるのが、東京メルヘン倶楽部に課せられた使命なんですね。

ミラ そうですね。あの……眼帯を付けたくなった時期とかあります? 自分は小さい頃、「怪我してるのがカッコいい」と思ってる時期があって。眼帯を付けたかったのに、母親に「目を怪我してないのに、なんで付けるの?」って止められたことがありました。

──あはは。でも、東京メルヘン倶楽部のライブに来るときは、眼帯を付けて来てくれてもいいし、それぞれ好きな格好をしてくれていいんですよね? なぜなら2人が率先して、こんな好きな格好をしているわけですから。

しずりん そうなんです。実際、お手紙をいただいたり、ファンの方とお話しをしていく中で、フリフリの洋服を着た女の子から「普段は着れなかったけど、東京メルヘン倶楽部のライブだから着てみました」「あまり外に出れなかったけど、東京メルヘン倶楽部のライブには来てみました」と言っていただけることが増えて。最初はふざけた動画を投稿していただけだったけど、自分たちがふざけていることで、お客さんもふざけやすくて気軽に一歩挑戦しやすくなるんだって感じました。それが今回のミニアルバムに収録される「えんぴつ!!!!!」という曲を書くきっかけにもなったんです。

──自分たちがやっていることが、誰かのためになっていることに気付いたと。「えんぴつ!!!!!」を聴いて、そのメッセージは受け取りましたよ。「好きな服着て 好きに叫んで 好きな趣味して なんか言われてもいいじゃん? 尖ってこ!」と、あなたの好きを全肯定して、「『はじめまして』東京メルヘン倶楽部と申します よろしくお願いします」と改めて挨拶するところに、2人の強い思いと意志を感じました。

ミラしずりん ありがとうございます。