2006年7月の“出現”以来、ほぼ毎年アルバムをリリースし、大規模な全国ツアーを行っているザ・クロマニヨンズ。そんな彼らのライブの熱狂を収めたアルバム「ザ・クロマニヨンズ ツアー JAMBO JAPAN 2025-2026」が7月22日にリリースされた。
本作には、昨年から今年にかけて行われたライブツアー「ザ・クロマニヨンズ ツアー JAMBO JAPAN 2025-2026」の音源を収録。シングル「キャブレターにひとしずく」を含む最新アルバム「JAMBO JAPAN」全収録曲をはじめ、「タリホー」「ギリギリガガンガン」「ナンバーワン野郎!」「イノチノマーチ」「生きる」などのヒットナンバーを含む全24曲が並んでいる。この記事ではツアーの神奈川公演を取材した音楽ライターの最込舜一がアルバムの魅力を深掘りする。
取材・文 / 最込舜一撮影 / 柴田恵理
名作ライブアルバムは「入門作」としても機能する
発売日は2026年7月22日。その翌日、ザ・クロマニヨンズは“出現”からちょうど20年を迎える。「ザ・クロマニヨンズ ツアー JAMBO JAPAN 2025-2026」は、その20年分のロックンロールを一夜に束ねた記録となった。
思えば、優れたライブアルバムは、ときにそれ自体がそのアーティストを知るための最初の1枚になる。特にロックンロールのライブ名盤は、スタジオ盤以上にそのバンドが何者なのかを伝えてきた。荒々しい巨大なサウンドを剥き出しにしたThe Who「Live at Leeds」、ライブならではの生々しい迫力を収めて実力を示したKiss「Alive!」、ノンストップで原初的な快楽が注ぎ込まれ続けるRamones「It's Alive」など、ライブ盤にバンドの最大の魅力が詰まっているケースも少なくない。
これらの名作ライブアルバムは「入門作」としても機能するものである。その意味で本作は、「クロマニヨンズってどこから聴けばいいの?」と感じてきた人にとっても格好の入門作になっていると思う。
過去曲が「今のクロマニヨンズ」の音として立ち上がる
全国47都道府県、全56公演に及んだツアーを作品タイトルに冠する本作には、1つの公演で演奏された全24曲が収められている。18枚目のオリジナルアルバム「JAMBO JAPAN」の全12曲を軸に、デビュー曲「タリホー」から各時代の代表曲、ライブの定番曲まで、新旧さまざまな楽曲を収録。本作が入り口として優れているのは、一夜の演奏の流れの中で「現在」と「これまで」を一度に聴けるからだ。20年分の楽曲を現在の4人が鳴らすことで、過去の代表曲も最新曲も、等しく「今のクロマニヨンズ」の音として立ち上がる。さらに、マーシーこと真島昌利が初めてリードボーカルを務めた楽曲も収められているのだ。
クロマニヨンズには「最新作が最高傑作」という常套句がついて回る。本作を聴くと、その言葉が意味するものが、新旧のレパートリーの並びから見えてくる。デビュー曲も最新曲も、同じ一夜の中で現在の曲として鳴っている。
迫力を生み出す演奏の緻密さ
そのエネルギーは、ライブの幕開けから惜しみなく放出される。「キャブレターにひとしずく」が鳴り始めると、真島のギターが場の空気を切り替え、甲本ヒロトの声が飛び込んでくる。聴き手を少しずつ温めるような助走はない。開始と同時にメーターを振り切り、「グルグル」「這う Part3」まで一気に畳みかける。
一見すれば、実に豪放磊落なロックンロールである。甲本は叫び、真島は歪んだギターを鳴らし、曲は余計な説明を置き去りにして数分で走り抜けていく。その大らかな迫力を支えているのが、4人の演奏の緻密さだ。小林勝のベースと桐田勝治のドラムが重心を定め、真島のギターがリフを刻み、そこで生まれた空白へ甲本の声とハーモニカが飛び込む。各パートが互いの出入りを読み取り、必要な瞬間に1つの音の塊を作り上げる。その精度があるからこそ、奔放な演奏が圧倒的な迫力を伴って迫ってくるのだ。
最新曲と過去曲が自然に接続
序盤には真島がリードボーカルを務める「チャンバラ」が置かれている。真島がリードボーカルを担当したのはクロマニヨンズ結成以来初めてのことだ。20周年を目前にしたタイミングで、これまでになかった真島の歌をライブ音源として聴ける。その新鮮さも、本作を最初の1枚として薦めたくなる大きな理由である。
続く「どんちゃんの歌」は、コミカルな語り口の奥に深い人間愛を忍ばせた1曲だ。誰でもすぐさま合唱できるような素朴な歌を、小林と桐田のリズムが力強く支える。2人の作るグルーヴに確かな説得力があるからこそ、冗談のような言葉の中でメッセージが光る。子供でも口ずさめるほど平易な歌と、成熟したバンドの演奏。その組み合わせが、彼らの音楽を世代や知識の有無を超えて届かせている。
「フルスイング」から「グリセリン・クイーン」を経て、「イノチノマーチ」「生きる」が続けざまに演奏される流れも印象深い。ただ生きることへの賛美を掲げた2曲が連なることで、その思いは単独で聴くとき以上の強さを帯び、クロマニヨンズが繰り返し歌ってきた生命への眼差しが、一層鮮明になる。その後に「JAMBO JAPAN」の「ロックンロールエレキギター」「シカト100万%」が続き、過去のレパートリーと最新曲がごく自然に結び付いていく。
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強烈な推進力を持つC面の6曲



