沖縄発の5人組ヒップホップクルーSugLawd Familiarが、メジャー1stアルバム「FURAAMAN ANTHEM」を配信リリースした。
2020年発表の「Longiness」が再生回数2億回を超えるヒットを記録し、一躍脚光を浴びたSugLawd Familiar。昨年10月に1stシングル「HOPE」でワーナーミュージック・ジャパンからメジャーデビューを果たし、翌11月には2ndシングル「DAMN」をリリースするなど精力的な活動を続けている。
音楽ナタリーでは、ついに完成したメジャー1stアルバムのリリースを記念してSugLawd Familiarにインタビュー。アルバムに込めた思いや、個性豊かなゲストミュージシャンとの制作エピソード、そして来年に控える東京・Zepp DiverCity(TOKYO)での初ワンマンライブ「FURAAMAN ANTHEM」への意気込みまで、たっぷり話を聞いた。
取材・文 / 渡辺志保撮影 / 雨宮透貴
俺たちにとっての“フェーズ2”
──メジャー1stアルバム「FURAAMAN ANTHEM」のリリース、おめでとうございます。
OHZKEY ありがとうございます。できあがるまで相当大変でしたね。
──どんなところが大変でした?
OHZKEY まず、やりたいジャンルがいっぱいあったし、今回はそれを全部やり切りました。でも、そのジャンルをやろうとすると僕たちのオリジナリティがなくなってしまうかもしれないという不安もあって。だから、いかにしてそこでオリジナリティを出すか……というのがとにかく大変でしたね。
──試行錯誤の結果なのか、アルバムを通して聴くと「これがSugLawd Familiarだ」と言える作品になってますよね。メンバーの中でも、自分たちの音がどんなものなのかがはっきり見えてきたのかなと思ったんですが、そのあたりはいかがですか?
Vanity.K ホントその通りですね。今回はプロデューサーのArt'Teckyxさんと一緒に、イチから音作りをやって、改めて音楽の楽しさを実感しながら、やりたい音楽が形になっていく面白さを感じながらの制作でした。
──アルバムの全曲をArt'Teckyxさんが手がけていますよね。
Vanity.K はい。「こういうのが好きなんでしょ」という自分たちの思いを汲み取ってくれるんですよ。
Oichi 「このキックでしょ?」「これで、こうでしょ?」みたいな。で、俺たちも「それそれ!」って。
──昨年のシングル「HOPE」とか「DAMN」のあたりから、すでにアルバムの全体像のようなものは見えていましたか?
Oichi そのときは全然見えてなかったですね。
Vanity.K やりたいことと、やりたい音楽を突き詰めていってたら、流れでこうしてまとまった作品になって。
OHZKEY というよりは、無理やりまとめたんじゃない?(笑)やりたいジャンルもありすぎるし、いろんな“カッコいい”があると思っていて。それを日本語ラップにどう落とし込むか、というところから逃げずにみんなでがんばったんです。だから、今は「音楽、めっちゃ好きだな」という気持ちです。
──これまでの制作とは雰囲気も違いましたか?
OHZKEY どう説明していいかわからないけど、実験みたいな感じでした。トラックやラップの中で、ジャンルとジャンルを融合させていくのがすごく面白かったです。
──フロウとかビートに対するアタックの仕方も、これまでより緩急もついて工夫している部分が多いのかな?と思いながら聴いていました。
XF MENEW 今回は自分でアプローチしてから、周りにも「これどう?」と意見を聞いて、「もっとこっちのほうがいいかも」とかアドバイスをもらいながら作っていったんです。自分でも知らない自分が出てきた、みたいなところはあるかもしれません。
Oichi 今までそんなことなかったじゃん。今まではヴァースができたら、それぞれカマし合うって感じだったけど、今回はその前に一度話し合ったほうがいいよね、みたいな流れになって。たぶん、昔のやり方のまま続けていたら揉めてたと思う。
OHZKEY そんなこと、今までやってこなかったよね。
Vanity.K 俺たちにとっての“フェーズ2”というか。これまではラップをするためにラップをしてきたけど、そうじゃなく、まずラップが前提にあって、さらにそこからテーマやメッセージを伝える、という意識になりました。「みんなで同じところを向いていこう」みたいな。
──アルバムのタイトル「FURAAMAN ANTHEM」や全体のコンセプトはどのようにして固めていったのでしょう?
OHZKEY もともと“享楽主義”というワードはあったんですけど、それをアルバムのテーマにしよう、とは思っていなくて。作っていく段階で、できあがった曲がバラバラだなと思っていたときに、「ほかにこういうアルバムないかな?」と探していたんです。そのときに、The Black Eyed Peasの「モンキー・ビジネス」を思い出して。で、そのアルバムのテーマを調べたら“享楽主義”というワードが出てきたんです。「これ、今の俺らにピッタリじゃん」みたいな。何よりも楽しむことを最優先事項にする、と。だから、このコンセプトが途中でハマって、そのあとの制作では「何やってもいいじゃん!」「俺らも楽しいことしようぜ」みたいなバイブスになったんです。
Vanity.K “FURAAMAN”のフラーって、沖縄の方言で“おバカさん”とか“アホ”みたいな意味合いなんです。まさに楽しくやるという、アルバムのイメージにも合ってるし、やっぱり沖縄をレペゼンする身としては方言を使いたいというのもあるし。結局、最後はOHZKEYのアイデアで決まったっすね。
アルバムを彩るゲストミュージシャンたち
──「FURAAMAN ANTHEM」は、参加しているゲストミュージシャンの顔ぶれもユニークですよね。「%」はXF MENEWさんのソロ曲で、CHICO CARLITOさんとDisryさんを招いています。
XF MENEW これは自分でビートも作って、いろいろ考える中で客演を入れたい、という話になったんです。この2人は自分の憧れで、ずっと夢だったんですよ。自分がラップを始めたての頃からずっと指針にしてきた存在なので。CHICOさんもDisryさんも、エッジが効いているというか。声もそうだし、フロウも巧みだし。本当に刀みたいな2人だなって思っています。曲を仕上げるにあたって、お叱りも受けたんですけど。
──本当ですか? 誰から叱られた?
XF MENEW CHICOさんから、元の自分のリリックの一部が「ちょっと攻撃的すぎるんじゃないか」と言われたんです。で、「それは本当の強さじゃないよ」と。「もっと平和的に着地する表現のほうがラップとしても聴きやすいし、1個上のレベルに行けるんじゃないか」と言っていただいて。
──CHICOさんならではの鋭い指摘ですね。
XF MENEW はい。それでDisryさんにも相談しました。正直、僕も腑に落ちない部分があったので。自分としては、この曲には「注意喚起」というテーマがあって、歌詞の中では柔らかな表現だったけど、正直に書いた歌詞だったんです。Disryさんは「MENEWの曲なんだから、そのまま行きたいんだったら、それでいい。でも、伝えたいならもっとちゃんと言い切ったほうがいいし、CHICOさんのアドバイス通り、もうちょっと考える余地はあるかも」と。そのアドバイスもすごくうれしかったですね。
──めちゃくちゃラッパー同士の対話という感じがしますね。「MAKENAI」には同郷のOZworldさんが参加しています。満を持して実現したコラボでは?
Vanity.K 曲を作った段階で、絶対にこれはOZworldさんしかいないという話になったんですよ。それが見事に実現しましたね。そしたらもう、期待を超えるヴァースを書いてくれて最高でした。イメージ通りに事が進んだ手応えはあります。
──グループ内にMCが4人いると、ゲストラッパーに誰を呼ぶかってだいぶ慎重になりませんか? 自分たちの世界観を保ったまま、誰をフィーチャーするか、という。
Vanity.K そうですね。だいぶ慎重に話し合いました。やっぱり4人でラップするからこそ唯一無二であるという自負は俺らにもあって。そこに客演を入れたらどうなるんだろう?と思う気持ちもあったけど、客演を入れるならメジャー1stアルバムのこのタイミングしかないなと。
Oichi 今呼ばないと、ずっと呼ばなさそうだしね。
Vanity.K 客演のアーティストを呼ぶこと自体が、挑戦でもありましたね。
MINMIや前川真悟(かりゆし58)も参加
──「Blue Jeans」にはMINMIさんが参加していることに意表を突かれました。ノスタルジックな淡い魅力のある曲に仕上がっています。
Vanity.K そうですね。MINMIさんとは1回、沖縄のイベントで一緒になったことがあったんですけど、パワーがめっちゃすごくて。
OHZKEY MINMIさんはLAに住んでいるので、ビデオ通話で何度かミーティングを重ねまして。そしたら「いつからラップ始めたの?」とか「どんな音楽が好きなの?」というところから話を広げてくれて。「最近の悩みとかないの?」という話から、このテーマになりました。僕が「ちょっと社会に溶けちゃいそうな感じなんです」って表現をしたんですよ。大人になるにつれて、自分が削られて丸くなっちゃうみたいな。そしたら「それ、めっちゃいいね。クリームソーダみたいな感じじゃん」と言ってくれて。でもそこで「歳を重ねることは悪いことだけじゃない。ジーンズみたいに味が出て深みが増すこともあるよね」って話になったんです。青春の青とブルージーンズの青、そこから味が出ていく……みたいな曲にしよう、と。この制作のプロセス自体、めっちゃ勉強になりました。すごく好きな曲ですね。
──「ノスタルジックなDestination」には、かりゆし58から前川真悟さんが参加されてますね。地元の大先輩を招いた感想は?
OHZKEY 真悟さんとはもともと親交があって、一緒に飲みに行ったり、沖縄のフェスで共演したり、一緒に遊んできたんです。真悟さんはずっと音楽で遊んでいて、かつ仕事をしていて、まさに音楽と一緒に生きているというか。僕からしたら“本物”って人なんです。人間としてもアーティストとしてもめちゃくちゃリスペクトしているので、ぜひ迎え入れたいなって。
──そうだったんですね。
OHZKEY 真悟さんの感性はすごく新しいし、若い感じがして。なので、「ノスタルジックなDestination」にピッタリかなと。
──真悟さん、曲の最後のほうではしっかりラップもしていらっしゃいますよね。
OHZKEY めっちゃライムしてきてますよね!(笑) やっぱり、この人すごいなと思いましたね。できあがった曲を聴いて「これだよ、これ!」と感動しました。真悟さんと一緒にスタジオに入ったときに、「子供の頃はどんな曲を聴いてた?」という話題になって。僕が「3歳くらいのときにお父さんが車で德永英明さんの『壊れかけのRadio』を流していた」と話したら「すごくいいじゃん」と言ってくださって、それをちょっと匂わせるようなフレーズを入れてくれました。
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何度も悩み、こだわり抜いたトラックリスト




