ナタリー PowerPush - SILLYTHING

メッキを剥がせよ! 参加メンバー座談会

「はーい、怒りまーす!(はーと)」

──大致くんが小林さんに声をかけたのはどういう意図があったんですか?

小林ゆう

大致 いやあ、小林さんのことがずっと好きで、「夏の魔物」にも出てもらいたくて毎年アプローチしたりしてたんですけど……。

小林 ありがとうございます! スケジュールが合わず、いつも申し訳ありません!

大致 で、今回マーヤさんにスクリームで参加してもらって、そしたら小林さんもあの……「絶望先生」のライブのときとか超ぶっ飛んでるじゃないですか。

小林 そうですね。失神してしまいました。うふふ(笑)。

大致 それで小林さんとマーヤさんがぶつかりあったらどうなるんだろうっていう。いちファンの感覚ですよね。

小林 このような素晴らしい場所に、今回自分が参加させていただけるなんてなんかもう夢のようで。本当にありがとうございました!

大致 こちらこそ本当にありがとうございます。

──実際のレコーディングはどんな感じで?

アントーニオ本多

本多 あの、自分が歌詞を書いたもんですから、レコーディングブースでそのイメージを伝えてですね。例えば「メッキを剥がせよ」っていう歌詞のところで「小林さん、ここは怒りです」みたいな。

小林 はい、そうなんです。怒りです!

本多 「怒ってください」って伝えたんですけど、そしたら「はーい、怒りまーす!(はーと)」みたいな。おかしなコミュニケーションでしたよね(笑)。

一同 あはは(笑)。

小林 こういうレコーディングは初めてだったんですけれども、皆さんがすごくパワーを送ってくださったのでもう全く不安はなく、全力でやらせていただくことができました。

ギターを入れる必要がないと思った

──和嶋さんは最後にギターをレコーディングしたそうですが。

和嶋 はい。僕は大致くんには「夏の魔物」でお世話になってるし、同じ青森県出身の後輩なので、頼まれたときに曲も聴かずに「全然OKです」って引き受けたんですよ。で、そのあと音源聴いて……「これにどうギター入れればいいんだ?」って最初は思った(笑)。隙間なく出来上がってたんですよね。「これ入れる必要ないんじゃないかな」ってくらい。だから、ある意味クールダウンさせる役割をしたっていうのかな。

大致 和嶋さんのギターをこの曲に入れたら絶対ハマるしカッコよすぎるだろうって思ってオファーしたんです。

和嶋慎治

和嶋 僕は新しい挑戦ができてすごく良かったです。

本多 自分は、和嶋さんのギターが入った完成形を聴いたときにやっとバランスが取れたと思いました。我々がこうちょっと、イケイケすぎて。それをなんかこう……和嶋さんの禍々しいものがですね……。

和嶋 いや、禍々しくないでしょ(笑)。

スクリーム界の2大巨頭

──あとこの曲のキモになるのはやはりマーヤさんのスクリームだと思うんですが、大致くんがマーヤさんにオファーした理由は?

大致 いや、とにかくマーヤさんのスクリームから始まりたかったんです。「レッツゴー!」って言ってもらいたくて。

──スクリームの内容はどういうイメージで?

マーヤ はい。レコーディング当日はスタジオに着いてまず「本多さんのDVD観よう」っていうことになって……。

マーヤ

──レコーディングの前にまず試合のDVDを?

マーヤ 観るまではなんで観る必要があるのか全くわからなかったんです。でもね、それをみんなで観て、この曲の歌詞の意味っていうのが初めてわかりまして。これは考え直さなあかんぞと。その場で練り直したんですよね。即興の部分も多いんですけど、一応キーワードだけは決めてあって、でもそのキーワードを丸ごと変えたんです。それをやれて良かったなと思って。

小林 あ、私も観させていただいて。マーヤさんがずっとその横で作詞をしていらっしゃったんです。

本多 小林さんが「ああ! はあ!」みたいなものすごくいいリアクションをされていて(笑)。その横でマーヤさんがウォークマンで曲を聴きながらもうなんか鬼神のような顔になってるという。

小林 うるさくてすみませんでした。でももう血がたくさん流れてて!

──マーヤさんは本多さんの試合のDVDを観て、何を感じてどう変えなきゃと思ったんですか?

マーヤ 僕のスクリームが欲しいっていう連絡をもらって、最初はよくわからなかったんです。「これに俺の声入れるんか?」って(笑)。でもあの映像観て、本多さんの人生というか生き様というか、そういうのを深く感じて、同時にその、なんかライバルとの絆っていうか、敵なんだけど仲間だとか。そういう感覚も感じ取れたんですね。自分的には、限られた時間の中で最高のものを出せたと思ってます。

──それにしてもスクリームが2人っていうこの組み合わせは普通思いつかないですよね。

小林ゆう

大致 ただ単に自分が見たいだけっていうか(笑)。だってマーヤさんと小林さんが絡むってめっちゃ興奮するじゃないですか。スクリーム界の2大巨頭みたいな……。

小林 あ、いえ。とんでもないです。もう私なんて!

マーヤ いやいや、すごかったです。あんな声出るんですね。びっくりしました。

小林 なんと申しますか……すごく皆さんに導いていただいたので。マーヤさんのスクリームは本当にすごくて、本場のスクリームと言いますか……。

一同 (笑)。

小林 もう本物のスクリームっていうのはこういったものなんだっていうことを体感させていただきまして。私がプロレスのDVDを観てるすぐそばで、マーヤさんがずーっと書いてらっしゃって。そのときも、本当に、見ちゃいけないと思ったんですけど、少しだけ見させていただいたら、いろんな言葉がいっぱい書かれていて……。これからどうなるんだろうってドキドキしてたら、そのあとレコーディングで即興でバーッて叫ばれていて……もう神業でした。

1stアルバム「cross wizard」 / 2012年9月19日発売 / 2500円 / GARURU RECORDS

収録曲
  1. 前口上ッッ
  2. SUNSET HEART ATTACK
  3. サマーロマンサー
  4. 僕らのブロークンハードディスク
  5. SOSガール
  6. ☆☆☆チャンバラン
  7. ゾンビデジュネ
  8. ロールプレイング未来
  9. 21世紀のラヴァーズ
  10. People move on
  11. Rock'nRoll Can Never Die(オリジナル:QUASI)
SILLYTHING(しりーしんぐ)

元THE WAYBARKのボーカルで「AOMORI ROCK FESTIVAL '12~夏の魔物~」主催者である成田大致(Vo)を中心に2012年結成。メンバーは成田大致、三浦あずさ(B)、小橋慧太(G)、X(G)の4名。「世界中の音楽とリンクし、エンターテイメントしたい」という志を掲げて活動を開始し、ミュージシャンのみならず、マンガ家や声優、プロレスラーなど多数のゲストを迎えて制作した1stアルバム「cross wizard」を2012年9月にリリース。