SCANDAL「ECHO」インタビュー|6人のクリエイターと作り上げた 懐かしくも新しい9曲を響かせて

8月に結成20周年を迎えるSCANDALが5月27日に12枚目のアルバム「ECHO」をリリースした。

昨年3月にSCANDALは「LOVE SURVIVE」や「夜明けの流星群」を提供した田中秀典、「瞬間センチメンタル」や「SCANDAL BABY」を提供した田鹿ゆういちといった、SCANDALの人気曲を手がけた作家陣を迎え、EP「LOVE, SPARK, JOY!」を発表。楽曲制作を信頼の置ける作家に委ねることで、純粋に音楽を楽しんでいた原点へ立ち返りながらも、変わらぬメンバーで築き上げてきたSCANDAL印のサウンドを示してみせた。

今回の「ECHO」も「LOVE, SPARK, JOY!」からの流れを汲み、これまでにSCANDALに楽曲を提供してきた面々や同じ事務所に所属するクボタカイといった新顔を迎えて制作された1枚。田中、田鹿に加え、今回はシライシ紗トリ、大久保友裕らも参加し、作家それぞれがSCANDALへの愛を込めた9曲がそろった。

今回の特集では、HARUNA(Vo, G)とRINA(Dr, Vo)、MAMI(G, Vo)とTOMOMI(B, Vo)という2組に分けてインタビュー。「ECHO」を制作する中で感じた手応えや8月に控える5年ぶりの大阪・大阪城ホール公演「SCANDAL 20th Anniversary Live "Chapter 20"」への思いなどを語ってもらった。

取材・文 / もりひでゆき撮影 / 葛川栄蔵

HARUNARINA Interview

初期の頃にやっていた手法をグレードアップできた

──約2年2カ月ぶりのアルバムとなる「ECHO」は、SCANDALになじみのあるクリエイター陣からの提供曲で構成されています。成り立ち的に言えば、昨年3月リリースのEP「LOVE, SPARK, JOY!」と同じ流れを汲んでいますね。

HARUNA(Vo, G) そうですね。ただ、前回よりもさらに幅を広げたところはあって。お願いする作家さんの数も増えたし、同じ事務所のクボタカイに依頼したりもして、これまでやっていないことに新たにチャレンジしてみようという気持ちがありました。自分たちで作詞作曲をしないからこそできることがきっとあるし、今まであまり見せたことのないSCANDALを、結成20周年というタイミングで見せられたら面白いんじゃないかなと。

RINA(Dr, Vo) 20周年目前のタイミングでアルバムを出すなら、今の自分たちが外からどう見えているかを知りたい気持ちもあったんですよね。今のSCANDALに演奏させるなら、どんな楽曲が面白いのか。それをクリエイターの方たちと一緒に考えながら1枚のアルバムを作ってみたかったんです。

──他者の視点が入ることで面白い化学反応が生まれることは、「LOVE, SPARK, JOY!」で、改めて証明されましたしね。

RINA そうそう。自分たちだけで作る音楽は、距離の近い4人だからこそ、その時々で感じている生々しい思いが注がれて、それが自分たちにとっても刺激的で、バンドとしての魅力になってきたと思うんです。でも一方で、クリエイターの方にお願いすると、そこにあるいい距離感や外からの目線が加わることで、自分たちだけでは気付けない自分たちのよさが楽曲に入り込んでくる。そのワクワク感は、共作するからこそ生まれる楽しさだと改めて思いました。

RINA(Dr, Vo)

RINA(Dr, Vo)

──提供曲を歌っていたという過去があるからこそ、外部の血を入れることで、SCANDALらしさがより色濃くなるところもあるなと、今回のアルバムを聴いて強く感じました。

HARUNA 初期の頃にやっていた手法を、さらにグレードアップさせることができた感覚もありました。ずっと応援してくれている人たちにとっては、ちょっとエモい気持ちになる部分もきっとある。もちろん新しいファンの方も含め、聴く人みんなが楽しめる作品になったと思います。

今作で初めてトライしたこと

──クリエイターの方々に楽曲を依頼するにあたって、SCANDALサイドから何かオーダーは投げたんですか?

RINA 制作の前にそれぞれの方とミーティングをする時間を作ってもらったんです。そこで、SCANDALが今年で結成20周年を迎えることや、今の私たちが感じていること、それぞれの作家さんが持つテイストで私たちが好きだと感じている部分とかを改めて伝えさせていただきました。なので、単純に楽曲提供を受けたということではなく、私たち4人が自分たちでプロデュースして作ったアルバムだと感じる部分もあるんです。

HARUNA そういったミーティングを経て、何曲も書いてきてくれる方もいたんですよ。その中から、自分たちがよりその人らしいと感じるものをチョイスして収録できたのもすごくよかったなって思います。

RINA 作っていただいたけど、アルバムに収録していない曲もあるもんね。

HARUNA そうそう。すごくぜいたくだなと思いつつ、ファンの方がより喜んでくれそうなものを考えながらバランスよく1枚にまとめることができたなと思ってます。

RINA 編曲で初期からお世話になっていた川口(圭太)さんが、これまでの歴史を踏まえて「今ならこういうのもやれるよね」と、ジャズ要素の入った「Heaven」を作ってくれたのもすごくうれしかったですね。皆さんそれぞれが私たちに新たな挑戦をくれたなとすごく思います。演奏のレベルや歌詞の内容、すべてにおいてたくさんの学びと成長を与えてくれたアルバムでした。自分たちでも、「がんばったな!」ってすごく思うし(笑)。

HARUNA うん。がんばった、本当に(笑)。

──提供曲だからこそ、演奏や歌唱には難しさを感じる部分も多いと、「LOVE, SPARK, JOY!」のときに皆さんおっしゃってましたもんね。

HARUNA そうですね。演奏的に難しい部分もけっこうあって、一旦ライブでの再現性はあまり考えず、できることを盛り盛りでやろうという気持ちで音源を作っていったので……6月のツアーでどうするかは、ちょっとこれから考えます(笑)。

HARUNA(Vo, G)

HARUNA(Vo, G)

RINA 演奏は確かに難しいところが多かったけど、楽曲を提供していただいたことで、制作に向き合う余力はいつもよりあったんですよ。そこで、改めてドラムをしっかり練習したり、基礎からプレイを整えたりすることもできた。ドラマーとして楽曲に向き合う時間が増やせたこともすごくよかったです。いつもの何倍、個人練習に入ったんだろう? 曲をしっかり自分の中に落とし込んでからレコーディングスタジオに入れたので、いつもとは違った快感がありました。

HARUNA もう1つ、今回は初めてほかのメンバーがいない状態で各々がレコーディングをしたんですよ。それがすごく健康的だったというか。

──今まではメンバー4人がそろった状態でレコーディングされてましたよね?

HARUNA そうです。朝から晩までずっとメンバー4人が同じスタジオにいる状態でした。だからほかのメンバーがレコーディングする姿を見ていないのは今回が初めて。そういうやり方をしたこともあって、よりそれぞれの練習に打ち込める時間が取れたんですよね。だからできあがったものを聴くと、それぞれが自信を持ってプレイしていることがちゃんと感じられた。「ここは難しかっただろうな」って思うフレーズであっても、今までにないそれぞれのプレイが見えていたりもして。

──レコーディング時にそれぞれのプレイを聴いていないからこそ、完成した音源をリスナー感覚で楽しめるところがあったのかもしれないですね。

HARUNA そうそう。それがすごくよかった。いい取り組みでしたね。

RINA タイトなスケジュールの中でのレコーディングだったから、苦肉の策としてそういうやり方をしたんですけど、初めてやってみるとHARUNAが言う通り、すごく健康的だった。自分自身でジャッジできるので、それによる潔さ、いい意味でのエゴみたいな部分が出せたような気がしていて。すごく面白い経験になりましたね。

HARUNA その人らしさみたいな部分がより出るなって思ったよね。

2026年5月27日更新