「デビューはゴールじゃない」世界へ挑む練習生をどう指導する?「日プ新世界」トレーナー・安達祐人&KAITA に聞くレッスンの舞台裏

“日プ”の愛称で親しまれる日本最大級のサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」。“国民プロデューサー”による視聴者投票を通じて、2019年配信のシーズン1からJO1、2021年配信のシーズン2からINI、2023年配信のシーズン3からME:Iが誕生した。そして今年3月には、新たに「PRODUCE 101 JAPAN 新世界」の配信がLeminoでスタート。「グループバトル」「ポジション評価」といった課題を経て、5月21日配信の9話では視聴者投票で選ばれた上位35名の練習生が「コンセプト評価」に挑み、5チームに分かれてオリジナル楽曲をパフォーマンスした。28日には上位22名の練習生がファイナル審査に進出。6月6日に行われるファイナルの模様はLeminoでの生配信および日本テレビ系列で生放送される。

「日プ新世界」最大のポイントと言えば、世界に開かれた“グローバルオーディション”として開催されていることだろう。番組では一部地域を除いて国籍や出身地を問わず参加者を募集。韓国、中国、台湾、アメリカ、フィリピンといったさまざまな地域からデビューを夢見る練習生たちが集い、言葉の壁を乗り越えながら課題に挑戦してきた。番組の模様は日本のみならずグローバルK-POPコンテンツプラットフォーム「Mnet Plus」で全世界に配信され、投票にも世界中の視聴者が“SEKAI プロデューサー”として参加可能。デビューグループは日韓同時デビューが約束されている。

「PRODUCE 101 JAPAN」シリーズは、練習生たちとトレーナー陣とのやりとりも見どころ。今回はダンストレーナーとしてKAITAと仲宗根梨乃、ボーカルトレーナーとして川畑要(CHEMISTRY)とKevin Woo、ラップトレーナーとして安達祐人が参加。輝かしいキャリアを持つトレーナーたちが練習生たちをそばで支える。

いよいよ佳境を迎える「PRODUCE 101 JAPAN 新世界」の魅力を掘り下げるべく、音楽ナタリーではトレーナーの安達祐人とKAITAにインタビューを実施。コンセプト評価の当日、緊張した様子で練習生たちのステージを待つ2人に時間をもらい、トレーナーに挑戦した経緯やレッスンに懸ける思いを聞いた。

取材・文 / 中川麻梨花

まさかオファーがくるとは

──「PRODUCE 101 JAPAN 新世界」のトレーナーのオファーがきたときに、率直にどう思いましたか?

安達祐人 まさか僕にオファーが来るとは思っていなかったので驚きました。僕はこれまでトレーナーとして誰かに何かを教えるような経験がなかったので。でも、過去の「PRODUCE 101 JAPAN」は昔から付き合いのある友達(INIとしてデビューした田島将吾)が出ていたこともあってしっかり観ていましたし、自分が学んできた音楽の素晴らしさを練習生のみんなに伝えられたらいいなという思いで挑んでみました。

KAITA 僕も同じで、自分にはオーディション番組のトレーナーの話は絶対に来ないだろうなと思っていたんですよ。僕はクールなヒップホップスタイルのダンスをやっているんですけど、表の舞台でこういったスタイルがフォーカスされることって今まであまりなくて。だからオファーをいただいてびっくりしましたけど、「『PRODUCE 101 JAPAN 新世界』のダンストレーナー」というとても影響力のあるポジションで、僕のスキルやアイデンティティをみんなに共有できたらうれしいなと思って参加しました。

──KAITAさんは振付師として「PRODUCE 101 JAPAN」出身のグループに振付をたくさん提供していますよね。

KAITA はい。普段は振り入れのときしか現場に立ち会わないんですが、今回グループの結成前から携わらせていただいて……練習生の成長を見ながら、JO1、INI、ME:Iのみんなはこんなに大変なオーディションを経験してきたんだなと改めて思いました。「PRODUCE 101 JAPAN」はシーズン1からすべて観ていましたが、実際にトレーナーとしてオーディションに参加してみると、番組に映っていない場面での大変さがすごくわかる。普段、自分が振付師として接しているメンバーもこうやって成長してきたんだなと思い、改めてJO1、INI、ME:Iのみんなにリスペクトの気持ちを抱きましたね。

KAITA ©PRODUCE 101 JAPAN 新世界

KAITA ©PRODUCE 101 JAPAN 新世界

──今回は「新世界」というワードをタイトルに掲げている通り、グローバルオーディションとして開催されています。日本国内だけではなく国外からも参加者を広く募集し、全世界での配信・投票システムも採用するなど、これまでの「PRODUCE 101 JAPAN」のシステムとは異なる点が多くありますね。

安達 世界各国から応募を募ったので、飛び交う言語が日本語だけじゃないんですよね。

KAITA レッスン中もグローバルな空気がありますよ。オーディション序盤から、日本語のほかに英語、韓国語、中国語などがレッスン場に飛び交っていて、練習生同士で通訳をして助け合ってる姿もたくさん見ました。自分も指導者として、「日本語がわからない練習生にどうやって気持ちを伝えようか」とたくさん悩みましたね。でも、オーディションが進んでいくうちに、練習生の日本語がめちゃくちゃうまくなっていたりするんですよ! 僕の言葉を通訳のスタッフさんを通して伝えてもらおうとしたら、「通訳はいらないです。自分で理解できています」と言われたり。ダンスや歌だけではなく、語学の部分でも練習生の成長を日々感じています。

デビューはゴールじゃない

──練習生に指導するうえで特に意識していることは?

KAITA 同じくダンストレーナーの仲宗根梨乃さんがメンター的な存在で、練習生のみんなをメンタル面でも支えていらっしゃって。「じゃあ自分にはどういうことができるんだろう?」と考えたうえで、僕はダンスのスキルを伝えることに徹していますね。最近のダンス&ボーカルグループは本当にレベルが高いので、このオーディションが終わったあとにみんなが自信を持って世界で活躍していくための実力作りを意識して指導をしています。練習生のみんながデビューしたあと、ぐうの音も出ないほどのスキルをファンの皆さんに見せつけられるように、今から準備してもらっています。

──オーディションが終わったあとの姿も見据えて指導してるんですね。

KAITA はい。デビューはゴールじゃない。デビューしたあとこそヤバいライバルがたくさんいるから。「今のうちからオーディション後のこともイメージして、スキルやメンタルを身に付けたほうがいい」と常日頃から練習生に伝えています。

安達 練習生はラップ初心者が多いので、僕は「音楽ってこうやって楽しむものだよ」という入り口のようなところから教えるようにしています。指導していくうちにラップに前のめりになってくれてる子や、自分で歌詞を変えてくる子が増えてきて、僕自身も楽しさを感じていますね。ラップのスキルだけでなく、人に対する礼儀も伝えるようにしていて。「たくさんの人の支えがあってこそこのオーディションが成り立っているんだよ」ということは特にしっかり伝えています。そういった人としての基礎的な部分は、デビューしたときに役立つと思うので。