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「旨さなら、Ploom」をキャッチコピーに掲げる加熱式たばこブランド「Ploom」の協力のもと、さまざまなミュージシャン / クリエイターたちに“オン=仕事”である創作や表現、クリエイティブであるために大切にしている“オフ=趣味・息抜き”について語ってもらう連載企画「休符の美学 supported by Ploom」。第5回となる今回は、くるりの2人に話を聞いた。
今年結成30周年を迎え、すっかりベテランバンドの域に突入したくるり。30年にわたって良質な音楽を生み出し続けている2人はいったいどのような“オフ”を送っているのだろうか。そして、そのオフの時間にたばこはどのように存在しているのだろうか。Ploomユーザーの佐藤征史(B, Vo)、普段は紙巻たばこを愛用している岸田繁(Vo, G)、それぞれの視点で語ってもらった。
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取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / YOSHIHITO KOBA取材協力 / Ploom Shop 銀座店
※20歳未満の者の喫煙は法律で禁じられています。たばこの健康リスクについては厚生労働省のホームページをご確認ください。
「1年の中にはこんな日あるよね」が集まったアルバム
──くるりのお二人は2月にニューアルバム「儚くも美しき12の変奏」をリリースしました。岸田さんは音楽ナタリーのインタビュー(参照:くるりが語る「儚くも美しき12の変奏」)で「どう表現したらいいかわからないアルバム」というようなことをおっしゃっていましたが……。
岸田繁(Vo, G) 何か作品を作るときは毎回、大きな目標があってそこに向かっていくというよりは、付随する細かいことを1個ずつ形にしていく感覚なんですよ。今回も12曲をそれぞれ仕上げていく中で、その時期に思考していたこととか、あるいは演奏している我々のムードというんですかね。そういうものが入って、ちょっと時間が経って立体的に見たときに「そういえば、このときこんなこと考えてたな」というふうに、お出汁が染み込んでいくところがあって。今もまだその途中ですから、「これだ」っていうのは言えないんですけど。
──歴史上の出来事で言えば、今はまだ歴史家がそこに意味合いを見出して名前を付ける以前の段階という感じ?
岸田 そうかもしれないですね。あるいは、分断はされてないけど散らばったその時々の記録というか。そういう意味ではアルバムっぽいアルバムなのかな、とは思います。
佐藤征史(B, Vo) アルバムによって、数年後に「こんなアルバムだったんだ」と自分の中で価値観が変わるものもあれば、ずっとそのままの作品もあって。それで言うと、このアルバムは“変わっていくほう”の作品なのかな、という予感はありますね。
岸田 皆さんからは「カチッとしていてソフィスティケートされた、よくできた作品」とおっしゃっていただくことが多いけど、自分ではあんまりそういうつもりはなくて。もちろん丁寧に作りはしましたけど、近作の中では、我々の人肌がかなり出ている作品かなと思います。「ちょっと体温高い日」とか「体が臭い日」とか、そういうものがけっこうにじみ出ている印象ですね。
佐藤 録り始める前にコンセプトを決めるって、過去1回ぐらいしかやったことがなくて。録ってる間に、例えば使う予定のなかった楽器を多く使い始めたりして、それが終わってみたらコンセプトのように全体をつないでくれていた、ということのほうが多い。今作はレコーディング時期がバラバラだったこともあって、「1年の中にはこんな日もあるよね」というものが集まったようなイメージです。
岸田 最近は、音楽の“処方”みたいなものにすごく興味があるんですね。曲やアンサンブルの組み立て方に、「こういう書き方で書いてみよう」という自分の中での流行りがかなり反映されている。その外側をコーティングするものをいろいろ変えているような感覚というか。「変奏」という言い方をしていますけど、「皮を剥いていったら全部同じ木の実だった」みたいな感じかもしれないです。
──そこに興味のある時期に作った作品なんだから、そういう作品になるのが当然だし、そうあるべきだと。
岸田 そこまで深い話じゃないような気もするけど(笑)、そうなのかもしれないですね。以前は完成品を作ることを目標にしていたり、あるいは「バンドセッションの中で最終的にできあがったもので完結する」と考えたりしていたけど、今回はわりと“書き方の数珠つなぎ”みたいな感じで。例えば、ヘヴィメタルっぽい曲もフォークっぽい曲も、実は同じ書き方をしているんですよ。その書き方自体を楽しみながら作る、ということをやっている感覚があります。
「現在地でしかない」感覚がある
──さらに、くるりは今年結成30周年を迎えました。30年というのはすごい数字ですけど、感慨のようなものはありますか?
佐藤 いろいろあるバンドなんで、そこはなかなか難しいですよね。結成からずっとメンバーが変わらずにやっているバンドもおられる中で、自分たちの場合はいろんな人のお力添えをいただいて活動してきたので。それが楽しくできているというのは本当にありがたいな、と思う次第です。ほかのバンドの人たちと話したりすると、自分たちはけっこう自由にやれる環境に恵まれてきたのかなと。「イタリアに行って向こうのミュージシャンとレコーディングしよう」みたいなアイデアをパッとみんなで盛り上がって実現できたりしてますし、そういう環境が続いているのがいいのかなと思います。
岸田 これは30年経っての感慨みたいなものに当てはまるかどうかわからないですけど、自分自身が50歳になってから、20年目や25年目のタームとは明らかに違う感覚があって。結成当初のことや、若い頃にちょっと人気が出てスケジュール帳が真っ黒だった頃のこととかを、20年目、25年目のときは昨日のことのように覚えてたんですよ。それが、なんかわからんけど30年経ったら「現在地でしかない」という感覚がちょっとあって。細胞が入れ替わったのか……だからちょっと、ターニングポイントかなと思います。遅いわ!って言われるかもしれないけど(笑)。
佐藤 あははは。
──ここまで積み重ね続けてきた結果、30周年のタイミングで“積み重なり方”にちょっと変質があった?
岸田 そうですね。
佐藤 お客さんも巡っていくわけじゃないですか。最近、街で「ライブ行きました」と話しかけてくれたのが24歳の男の子だったんですよ。その前は女子高生やった。そうやってお客さんの世代が巡っていってくれているのを目の当たりにすると、バンドがいい積み重ね方をできているのかなと感じられますね。
岸田 30年続けてよかったなと思うのは……「くるり好きです」と言っていただく場合に、以前まではだいたい「この曲が好き」とか「この時期が好き」というのが決まってたんですよ。でも今は、「くるりが好き」という人がいったいどの時期のどの曲を好きなのか、定まっていない感覚がある。それだけお出しできる料理が増えたというか、「うち老舗どすから」と言える感じになってきたのはうれしいですよね。若い頃は「老舗感が出たらアウトや」と思ってたけど、その時その時で出会った人たちとその時その時を必死にやってきたんで、それぞれが甲乙つけがたい何かとして残っているというのは財産だなと。
──かなり希有なバンドだと思うんですよね。真っ当な音楽を真っ当に作ることだけを一貫してやってきて、それが30年も続くなんていうことは普通ありえないと思うので。
佐藤 ありがとうございます。
──だからこそ生まれた循環なんだろうな、と今のお話を聞いて感じました。まさに「循環」と書いて「くるり」というか。
岸田 そう言っていただけると、やってきた甲斐とこのバンド名を付けた甲斐があります。
すべてオンでやってきた30年
──そうしたくるりとしての活動をオンとすると、オフはどのように過ごしていますか?
岸田 個人的にはほんとにずっとオンで……休みのときでもすべてオンでやってきたこの30年だったんですよ。それが50歳ともなると、やっぱり心身ともにキツくなってきた。なので「休日にどうやってオフにするか」っていうのは、最近ちょっと意識的に取り組んでいます。その1つが「正しいスクワットをしよう」というもので……これ、全然オンやな(笑)。
佐藤 あははは。
岸田 筋トレとかストイックなことは全然しないんですけど、膝を前に出さずに太ももだけを使ってやるスクワットというのを、どうでもいいときにたまにやるようになって。それをしたらちょっと気持ちいいんですよ。で、足腰の状態がいいときに、まったく意味のない散歩をする。何も考えない、何もしない。ただ歩いて、あとで歩数計を見て「ウエーイ」ってなる、みたいな時間を作るようにしています。
佐藤 自分は、スマホの電波が入らない場所を求めて山登りをしています。そういう状況になると「オフだなー」っていう感覚になれる……んですけど、最近いろんな携帯会社がスターリンク(衛星通信サービス)を始めたじゃないですか(笑)。電波から解放される場所が地上からなくなってしまうんじゃないかという危機感を持っていまして。
──電波がつながっていると一生オフの気持ちになれない、というのは確かにありますよね。
岸田 「電波あるけど使わない」というのと、最初から電波がないのとでは全然違いますからね。あと、壁とか建物とかの遮るものがない、わーっていう空間に行くことはけっこう大事ですね。
佐藤 そう。だから大自然を感じられるところに行っているのもある。都内に長く住んでいるからというのもあるんですけど、わざわざそういう場所に身を置くことでしか味わえないものもあるから、そういう気分になってるときがオフなのかな、と思います。
岸田 オンっぽいオフとか、オフっぽいオンがもっといっぱいあっていいと思うんですよね。オンとオフを切り替えるみたいなことって、交感神経と副交感神経と言い換えられることやと思うんですけど、そんなに人間うまくできてないから。
佐藤 確かにね(笑)。ゼロかイチかで分けられるようなものではない。
岸田 だからオンの中にうまくオフを作ったり、オフのときにクリエイティブなことをしたり、そういうのをうまくやっていきたいなと思います。
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