Perfumeのコールドスリープの裏側で、佐渡岳利監督は何を見たのか|映画「Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-」インタビュー

Perfumeはメジャーデビュー20周年記念日である2025年9月21日に、年内をもって活動をひと区切りし、2026年から“コールドスリープ”に入ることを発表。その直後の9月22日と23日に東京・東京ドームで結成25周年記念ライブを開催し、12月31日の「NHK紅白歌合戦」への出演をもって活動を凍結した。

5月15日に劇場公開される「Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-」は、この一連の出来事の裏側に密着したドキュメンタリー映画。監督を務めたのは、NHKでこれまで放送されたPerfumeに関するすべてのドキュメンタリー番組をプロデュースし、2015年公開のドキュメンタリー映画「WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」も手がけたNHKエンタープライズの佐渡岳利だ。

この記事では監督にインタビューを行い、大きな決断を下したメンバーやスタッフの最も近くで数カ月にわたってカメラを回し続けた彼の視点から、コールドスリープというPerfumeの新たな挑戦の核心に迫った。

取材・文 / 橋本尚平インタビュー撮影 / 梅原渉

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「Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-」ビジュアル

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一緒に歩んできたスタッフたちから感じた、それぞれの青春

──この映画を観たファンはたぶん全員「この瞬間をカメラに収めておいてくれて本当にありがとう……!」という気持ちになると思います。

そうですか、そうだといいですが(笑)。

──佐渡監督はほかにもいろいろな仕事をされているわけで、当然Perfumeにつきっきりというわけではなかったと思うんですが、よくぞあのタイミングであの場所にいられたなと。結果的に、監督は彼女たちの決断を最初に知った1人になったわけですよね。

そうですね。ただ、メンバーがMIKIKO先生とだけ話す場面などは、僕は席を外して、無人で撮影していました。「ここからはこの4人だけで」という空気があったので、マネジメントにカメラを設置してもらって。

佐渡岳利

佐渡岳利

──思いがけない展開だったとは思いますが、監督ご自身はあの日、Perfumeが活動を休止するという決断をどのように受け止めましたか?

正直、ものすごく驚きました。でも同時に、すごくいいことだなとも思ったんです。ほかのスタッフの皆さんも同じだったと思いますが、驚きはしたけれど、非常に前向きな決断なんだと直感的に思いましたね。

──その後、3人が自らツアーのスタッフを集めて活動休止を報告するシーンがありましたが、話を聞きながらそれぞれに複雑な表情を浮かべていたのが印象的でした。たぶんアンビバレンツな感情を、スタッフの皆さんも抱いていたんでしょうね。

Perfumeのライブスタッフは、もちろん入れ替わりはあるものの、主要メンバーはほとんど変わっていないんです。長い付き合いがある人ばかりだから、僕と同じように「前向きなことだ」と捉えつつも、込み上げるものがあったんじゃないのかなと思います。

──休止への葛藤の中で、あ~ちゃんが「自分たちが休むことで、スタッフが食べていけなくなるかもしれない」と心配していたシーンもあって、彼女たちが普段からスタッフに対して家族のような愛情を持って接しているのが伝わってきました。

そうですね。彼女たちは「自分たちの役割は歌って踊ることだけど、チーム全員で『Perfume』というアーティストを形作っている」という意識が非常に強いんです。単に「スタッフを大事に思っている」という話にとどまらない、「みんなでPerfumeなんだ」という連帯感がクリエイティブな面にもあるというか。

映画「Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-」より、あ~ちゃん。

映画「Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-」より、あ~ちゃん。

──ある意味「チームのみんなもメンバーの1人」みたいな。

そうですね。スタッフ全員に対して「Perfumeという大きなグループの一員である」という意識をメンバー自身が持っていたと思います。

──まさに、その意識は監督の中にもあったんだろうなと映画を観ながら感じたんです。というのも、この映画はスタッフの表情を非常に丁寧に捉えていたので。舞台監督の内山昌彦さんをはじめ、本来は裏方である皆さんが、その時々でどんな顔をしていたのかをしっかり映しているんですよね。

通常のドキュメンタリーだと、スタッフはあまり映さないことも多いんですけど、今回は局面が違うというか。長い時間をともにしてきた人たちが、東京ドーム公演をもってしばらくお別れするわけで、そこにはそれぞれの思いがあったはずなんです。一般の方にも、誰だかはわからなくてもとても重要なスタッフであることが伝わるでしょうし、その表情の中には一緒に歩んできた長い月日がにじみ出ている。そこにそれぞれの青春を感じたので、あえて多めにスタッフのカットを入れました。

佐渡岳利

佐渡岳利

もともとは2020年の大きなプロジェクトを追いかける予定だった

──「メンバーとともに駆け抜けてきた」という意味では、Perfumeが「MUSIC JAPAN」のMCをしていた時代からの付き合いである監督もそうですよね。そして、だからこそあの距離感で撮れたんだろうなと。

「また撮りに来ました」という感じで、お互いに新鮮味を感じないくらい当たり前の存在になっていました(笑)。

──その関係性があったからこそ踏み込めた場面は絶対にあると思います。

通常なら「そこは入らないで」と言われるような場所もけっこうあるんですけど、長年の関係があるからそれなりに自由にやらせてもらえてますね。

──ちなみに映画のオフィシャルサイトで、かしゆかさんが「2019年から密着をして頂いていたので」と書いていましたが、今回使われているのは主に2025年9月以降の映像が中心ですよね。コールドスリープが決まるまで別の内容を想定していたということだと思いますが、当初はどういった作品を撮る予定だったのですか?

2020年に、結成20周年ということもあっていろいろ大きなプロジェクトが予定されていたので、もともとはそれを追いかけるドキュメンタリーになるはずだったんです。それで、2019年4月にアメリカの「Coachella Valley Music and Arts Festival」に出演したタイミングで撮り始めたんですが、その後にコロナ禍になってしまった。東京ドーム公演2日目が中止になったときも撮影に行っていたんですけど、そこからしばらくはそれどころでなくなってしまって。だんだん社会全体が動き始めた頃に「じゃあ25周年のドキュメントをやりましょうか?」ということで、アジアツアーに同行したり、また断続的に撮り始めたんです。

映画「Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-」より、かしゆか

映画「Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-」より、かしゆか

──ということは、撮ったけど使っていない映像のストックは、かなり膨大にありそうですね。それだけで別の映画が作れそうな。

そうですね。コーチェラに行ったときの砂漠の映像とか、いっぱいありますよ(笑)。