ネット発の若手技巧派ガールズバンド・NEK!(ネキ)が、6月10日にメジャーデビューシングル「FLiCK」をポニーキャニオンから配信リリースした。
“スラングロックバンド”を標榜するNEK!は、SNSでメンバー同士が出会い、2024年2月に結成された。彼女たちのメジャーデビューを飾る楽曲は、ネットスラングを交えたエッジィな歌詞と、荒々しくも軽やかなサウンドが響く「FLiCK」。現代のSNS社会を風刺しつつ、前向きな清々しさを放つこの曲は、NEK!のアイデンティティが詰まった名刺代わりの1曲だ。
音楽ナタリー初登場となる本インタビューでは、インターネットとともに育った彼女たちの青春時代の回想から、四人四様の音楽ルーツ、そして日本武道館を最速で目指すという大いなる野望まで存分に語ってもらった。
取材・文 / 西澤裕郎(SW)撮影 / 塚原孝顕
NEK!です①~スラングロックバンドとは?
──まず、NEK!が掲げている“スラングロックバンド”とはどういったものなんでしょう?
Hika(Vo, G) これは、自分たちで考えて作った言葉なんです。私たち4人がSNSを通じてつながったこともあって、ネット用語をモチーフにして歌詞へ落とし込んだりしていて。それを含めて、ロックをベースに、“スラングロックバンド”と自称しています。
──4人の出会いはインターネットだったということで。HikaさんがSNSで見つけた3人に声をかけたことがきっかけになっているそうですね。
Hika 私はシンガーソングライターとして活動しながら、バンドを組みたいと思っていたんです。みんなをSNSで見つけて、実際に会って、今こうして音楽を鳴らしているのが……NEK!です。
Cocoro(Dr) 最近は同業者でも、新しく知り合う人はSNSを通して見つける、みたいな人が多いから、当たり前のようになっているところもあると思います。
Hika ただ、実際にこうして会って、こんなにも気が合う子たちと出会えたのは運命的だなと、すごく感じています。
──皆さんが初めてインターネットに触れたのはいつ頃なんですか? 小さいときはスマホもなかなか持たせてもらえないと思うので、タッチポイントは違うのかなと。
Cocoro 私は小学校の授業ですね。パソコン室で検索の仕方とかSNSの使い方を学ぶ時間があったんです。
Hika 私もです。調べる作業はパソコンでやっていましたね。中学校に上がったらタブレットが配られて。
Kanade(B) 私は幼い頃からニンテンドー3DSでネット対戦をよくやっていました。「妖怪ウォッチ」とか、ボイスチャットがあるものもあれば、無言でただ対戦するだけのときもあって。どこの誰かもわからない、得体の知れない相手とつながっている感覚が当たり前だったんですよね(笑)。
青春時代の回想、時はコロナ禍
──皆さんの世代的に、コロナ禍で人と会えない時期に学生時代が直撃していると思うんですけど、インターネットがあったことで、誰かとつながったり、興味関心が深まったりしたと思いますか?
Hika 本当にその通りで。路上やライブハウスでライブがしたくてもできない時期だったので、ネットを使って自分で音楽を発信しようと思ったんです。発信する場所がないからこそ、スマホ1つで弾き語りの動画を上げ続けていました。学校の授業もオンラインだったし、修学旅行は行けたけど、中止になりかけていましたし。
Natsu(G) 私は高校の終わり頃、コロナ禍に直撃してました。受験シーズンだったので、人と会えないことの影響はそこまでなかったと思うんですけど、寂しいからか、友達と電話はよくしていましたね。そこで頼ったのはSNSだったかもなとは思います。文化祭も体育祭も全部中止になって、どうにか思い出を残せないかと、みんなで話し合って小さい球技大会をやろうか、みたいなことはしていました。
Kanade 私はコロナ禍のとき中学生で。当時はネットで顔を出すことにまだ抵抗がある時期だったので、楽器は弾いていたけど発信する立場ではなく、好きなバンドのファンアカウントを作って、X(当時はTwitter)で同じバンドが好きな人と交流したりしていました。
Cocoro 私はコロナ前に別のバンドをやっていたんですけど、活動し始めて1年くらいでコロナ期間に入って一旦ストップしちゃったんです。ライブができない状況の中でどう活動するかを考えて、演奏動画をコンスタントに載せてました。「コロナが収まったらライブに行きたい」と言ってくださる方もいっぱいいました。NEK!で活動を始めたとき、その頃からずっと見ていてくれた方が物販で話しかけてくれたことがあって。SNSのおかげで今も応援してくださっているんだなと、ありがたみを強く感じました。
──今日の撮影でワイワイしている姿を見て、ある種、コロナ禍で失われていた時間を今取り戻しているような感触があるのかなと思ったんですけど、そういう部分はありますか?
Cocoro 私は高校のとき、沖縄に行く予定だったのに修学旅行が中止になっちゃったんですよね。だから、このバンドの遠征で行けたらいいなとずっと思っています。修学旅行とは全然違いますけど(笑)。
Hika 私はコロナ禍にはずっと家に閉じこもって弾き語りや曲作りをしていました。「コロナのおかげ」とは言いたくないけど、「自分から発信していかなきゃいけない」と思うきっかけになったことは確かです。それを経て、こうしてつながることもできたし、今こうして自由にやりたいことができている環境はすごく幸せだなって思います。
Kanade 私の世代は青春している間に日常が戻ってきたので、ちょっとみんなとは感覚が違うかもしれないんですけど……ちょうど楽器を始めたての頃だったので、ある意味、今の自分になる準備期間がコロナ中だったのかなって。日常が戻ってきたと同時に、自分もやっと活動できるコンディションが整った、みたいな感じですね。
NEK!です②~ルーツにけいおん!、クラプトン、TAIJI、ガチャピン……
──ここからはお一人ずつ、音楽に目覚めたきっかけやルーツを聞かせてください。
Hika 私は、小学4年生の頃に「けいおん!」というアニメに出会って、バンドを組みたいと思ったんですよね。でも周りに組む人がいなかったから、1人でやっていくしかないのかなと思って。いつか仲間と出会うときが来るのかなと思いながら、弾き語りの動画をSNSにアップしたりしていました。地元は長崎なんですけど、中学生の頃に本格的に音楽を学びたいと思い始めて。これはもう東京に出るしかないと思っていたので、高校を卒業してすぐ東京に出てきました。音楽の専門学校でボーカルを学びつつ、SNSで今のメンバーを探して結成したのが……NEK!です。
Kanade さっきから、最後「……NEK!です」にしたらまとまると思ってるでしょ?(笑)
──あははは。影響を受けたアーティストはいますか?
Hika 母の影響で、小さい頃から福山雅治さんと宇多田ヒカルさんがめちゃめちゃ好きです。歌声が大好きで、すごく尊敬しているので、私もシンガーソングライターになりたいと思いました。でもやっぱりバンドを組みたくなって。バンドで影響を受けたのはONE OK ROCK。初めて知ったロックバンドなんです。
──Natsuさんはいかがでしょう?
Natsu エレキギターを始めたのが小学生の頃。父からもらったギターと、父の影響で知ったエリック・クラプトンから入りました。「いとしのレイラ」を一番練習しましたね。今でも弾きます。単音弾きもコードもあって、しかも曲が8分もあるので、いい練習になるなと思って。そのあと、ネットでBABYMETALを知って、神バンドの演奏に「こんなギタープレイがあるんだ!」と驚き、ハードロックが好きになっていきました。
Hika Natsuは小学校の頃からYouTubeにずっと動画を投稿していて。それを観て私、感動したんです。
Natsu 何度かやめようと思った時期もあったし、環境が変わるタイミングで悩んだこともあったけど、続けていたからこそHikaやメンバーに出会えたので、継続は大事だなって。たとえ将来に直結しなかったとしても、続けているということだけで自信もつくし、すごくよかったなって思います。
──ネットに自分自身の姿を公開することに抵抗はなかった?
Natsu 小学校のとき劇団をやっていたので、舞台に立つことにも、顔を出すことにも抵抗はなかったんです。それもよかったのかもしれないです。
──Kanadeさんはいかがでしょう?
Kanade 父がベーシストで、小さい頃からベースの音になじみがあったんです。普通ならギターのほうが存在感が強いと思うけど、私は自然とベースの音を追う癖があって。父からX JAPANやLUNA SEAを教えてもらって、X JAPANの「BLUE BLOOD」を聴いたら、TAIJIさんのベースがすごくカッコよくて、自分でも弾きたいと思ったんです。そこから1990年代のバンドをたくさん聴いて、1周したときにGacharic Spinに出会いました。スラップしている女の子を初めて知り、こんなにかわいい子がこんなカッコいいことをできるんだ!って。そこから今の演奏スタイルになりました。いわゆる嬢メタルも好きですが、嬢メタル好きというよりはジャパメタ好きです。Aldious、LOUDNESS、VOLCANO、AIONとか。メタルじゃない邦ロックはメンバーのみんなに教えてもらっています。
──音楽オタク的な面も強いんですね。Cocoroさんのルーツはいかがでしょう?
Cocoro ドラムに出会ったのは中学1年のときです。吹奏楽部の仮入部で全パートを試して、最後にサックスかパーカッションかで迷って、どっちをやるか伝えるときにパッと「パーカッション!」って口から出たんです。兄の幼馴染が吹奏楽部でドラムを叩いていて、女の人がドラムを叩く姿がすごくカッコいいなと、子供ながらに感じてました。絶対ドラムを叩こうと決めていたんですけど、学校にはドラムが1台しかなくて。で、電子ドラムを持っている演奏が上手な同級生と取り合いに(笑)。どうしてもその子に負けたくなくて、元々通っていた音楽教室でドラムも習い始めました。そのときの先生が、今Gacharic Spinでドラムを叩いているyuriさんなんです。続けていく中で、オーケストラの曲よりロックのほうが性に合うとわかってきて、ロックミュージシャンを志すようになりました。
NEK!です③~ネットの曲を書いていきたい
──最初にスタジオに入ったとき、BAND-MAIDの「Don't you tell ME」とアルステイクの「嘘つきは勝手」を合わせたそうですね。どうしてその2バンドの曲だったんでしょう?
Hika アルステイクさんは私が大好きで。BAND-MAIDさんはみんな共通して大好きだったので、その2組の曲をスタジオで演奏しました。最初からロックをやっていきたいと思っていたけど、明確なビジョンはなくて。みんながどんな音を鳴らしてくれるんだろうというワクワク感を持ってスタジオに入りました。そこから「ネットで出会ったからこそ、ネットをテーマにした曲を書いていきたいね」という話になってできたのが……今のNEK!です。
一同 また(笑)。


