ミーマイナー「部屋とガラクタと私」|メジャー1st EPは“間違いなく最高傑作”、自分たちらしさを貪欲に追求する気鋭バンドに迫る

ミーマイナーのメジャーデビューEP「部屋とガラクタと私」が、ソニー・ミュージックレーベルズ内のgr8!recordsから5月13日にリリースされた。

ミーマイナーは、2024年9月に美咲(Vo, G, Composer)とさすけ(B, Composer)を中心に結成されたロックバンド。今年3月に東京・Spotify O-WESTで行った2ndワンマンライブ「終わりと始まり」にて、メジャーデビューとサポートメンバーのわたさん(G)、葵(Dr)の正式加入をファンに報告した。メジャーデビュー作となる「部屋とガラクタと私」には、テレビアニメ「ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話」のエンディングテーマとして書き下ろされた表題曲を含む計6曲が収められる。

音楽ナタリーでは本作の発売を記念してミーマイナーにインタビュー。バンドの成り立ちから、「自分たちのやりたい音楽を追求する」という強いこだわりを持つ4人がメジャー進出を選んだ経緯、「部屋とガラクタと私」に込めたこだわりについて大いに語ってもらった。

取材・文 / 小林千絵撮影 / 梁瀬玉実

自由に自分を表現していいんだ

──ミーマイナーは3月開催のライブにて、gr8!recordsからのメジャーデビューと、サポートメンバーだったわたさん、葵さんの正式加入を発表しました。新体制になってみて、いかがですか?

美咲(Vo, G, Composer) あまり実感がないですね。

さすけ(B, Composer) 葵とわたさんはもともとフィーリングが合ったから、ゆくゆくは正式メンバーになってもらいたいと思っていたんです。だから、それが世に出ただけというか。

わたさん(G) そうですね。アー写や資料を見て「メンバーになったんだな」という気持ちにはなりますけど、初期のアー写にも写っていたし(笑)、いい意味で何も変わっていないです。

葵(Dr) 私も同じですね。発表されたから「ミーマイナーのメンバーです」と胸を張れるようになりましたが、気持ち的には何も変わっていないです。

ミーマイナー。左から葵(Dr)、さすけ(B, Composer)、美咲(Vo, G, Composer)、わたさん(G)。

ミーマイナー。左から葵(Dr)、さすけ(B, Composer)、美咲(Vo, G, Composer)、わたさん(G)。

──そうだったんですね。音楽ナタリー初登場なので、改めてバンドの成り立ちから伺っていければと思うのですが、ミーマイナーは美咲さんがさすけさんに「バンドを組みたい」と伝えたことから結成されたそうですね。

美咲 はい。さすけさんは「もの憂げ」という名前でボカロPをやっているのですが、私は以前からもの憂げの楽曲が好きで聴いていて、フィーチャリングゲストとして参加させてもらったこともありました。私はもともとダンスボーカルグループに所属していたんですが、その活動が終わったあとの路上ライブを手伝ってもらったり、ライブに出てもらったりする中で、「バンドをやりたいのでメンバーになってほしいです」とお願いしました。

──さすけさんは最初反対していたんですよね。

さすけ はい。ネットで楽曲を発表するような活動だったらよかったんですが、僕はボカロPとして活動する前はバンドを組んでいて、ヤバい打ち上げとかを死ぬほど潜り抜けてきている(笑)。だから大変だよと話していたんですけど、余裕だと言うから「じゃあやるか」と。

──美咲さんはさすけさんにそう言われて萎縮しなかった?

美咲 そうですね。「それでもやりたい」と伝えました。

美咲(Vo, G, Composer)

美咲(Vo, G, Composer)

さすけ 結局、蓋を開けたら美咲が一番ヤバい人だったっていう(笑)。

美咲 あはは。

さすけ いろんな人にケンカ売ったりもするしね。だから全然心配いらなかったです。

──美咲さんは、もともとそういう強さを持っていたんですか?

美咲 たぶん、持っていたけど隠していい子になろうとしていたんです。「誰かの理想になるのは嫌だ」と思ってバンドを始めたので、今は自分の思考を全面に押し出すようになっているのかな。

さすけ 自分を変えたくてバンドをやりたいと言ってきたのかなと僕は思っています。

さすけ(B, Composer)

さすけ(B, Composer)

美咲 そうですね。自由に自分を表現していいんだって、バンドに教えてもらったんです。そこからいい子ちゃんは辞めました。

「バンドっていいな」と思えた

──葵さんとわたさんは、そんなお二人が作るミーマイナーというバンドをどのように見ていましたか?

 サポートする前に音源を送っていただいたんですが、最初に聴いたのが「ワンルームナイト」で。「この曲すごいな」と思ってほかの曲を聴いたらどの曲もよすぎたし、クレジットを見たら2人とも曲を作っている。それもすごいなと思ってサポートを始めました。最初に入ったスタジオもすごく楽しくて。「この2人についていったら面白いことになるだろうな」と。

わたさん 僕も昔バンドをやっていたことがあって。それこそ“THEバンドマン”みたいな、戦いのような打ち上げもやっていました。ただ、そのバンドが無期限の活動休止に入ったので、そのあとは仕事と割り切って音楽をやっていました。そんなときにミーマイナーのサポートをすることになったんですが、ライブをやっていたら「バンドってこうだったな」と思い出して。「バンドっていいな」「ここで弾きたいな」と考えるようになりました。

──バンドの楽しさを思い出させてくれた存在だったんですね。いただいた資料の「ミーマイナーってこんなバンド?」という質問に、美咲さんは「一度挫折した事がある苦労人たち」と答えています。葵さんは、ミーマイナーの正式メンバーになるまではどのような音楽活動をされていたのでしょうか?

 私は8歳からドラムを始めたので、20年弱ドラムをやっています。その間にもバンドをいくつか組んだのですが、どれも長くても2、3年という感じで。バンドをやるのは難しいなという印象だったんです。だからソロで活動していたんですが、1人だとそれはそれであまり楽しくなくて。ミーマイナーのサポートを始めたら音楽がすごく楽しくなった。それまでは苦しいことのほうが多かったから、楽しいと思ったのはミーマイナーが初めてでした。

バンドがずっと楽しい

──美咲さんとさすけさんから見て、葵さん、わたさんはどんな存在ですか?

美咲 わたさんはライブで引っ張っていってくれるタイプのギタリスト。こういうふうに表現しないと死んじゃうんじゃないかと思わされるくらい、内から出てくるパフォーマンスをしていて。周りからどう見られるかではなく、自分の表現を貫いているところが一流だなと、尊敬しています。

わたさん ありがとうございます。

わたさん(G)

わたさん(G)

美咲 葵ちゃんは1人でずっとドラムを練習し続けられる真面目さがあるし、いつも集合時間に早く来てくれたり、お母さんみたいで優しいんです。

さすけ ムードメーカーだよね。

美咲 そう、ムードメーカーですごく優しい。葵ちゃんがいると場がすごく明るくなるし、ジュースとかお菓子とか買ってくれて……。

 物で釣ってるみたいなんだけど!(笑)

美咲 (笑)。私は今まで、一緒に活動していたグループのメンバーから「声が大きい」くらいしかほめられたことがなかったんですけど、葵ちゃんは同性で初めてリスペクトを示してくれたんです。「私が守ってやるぜ」みたいな感じもあって、すごく大きな存在です。

──初期からサポートもしていたとのことですが、この4人でバンド感が深まったタイミングがあるんですか?

さすけ 初日のスタジオからわりとよかったよね。

美咲 うん、ずっとこのまま。うちらのスタジオって「来れる人は来たらいいよ」っていう、遊び場みたいな感じなんですよ。そんな中で、2人はいつも「行く!」と言って来てくれる。だからバンドメンバーというよりも、うちらに混じって遊んでくれる人みたいな感じ。それが、今もずっと楽しい理由なのかなと思います。

──これまでバンドやグループでうまくいかなかった経験がそれぞれあるから、心地よい距離感、楽しめる環境作りを模索しているのかもしれないですね。

さすけ 確かに。無意識で探しているのかも。でも「続けよう」と思っていたわけでもなくて。「楽しいから次のスタジオも行きたい」がずっと続いている、と言ったほうが近いかもしれないですね。

メジャーデビューしても好きな音楽を

──そのスタンスのミーマイナーがメジャーデビューすると聞いて正直驚いたんですよ。

美咲 ですよね。

さすけ 実はいろんな会社からメジャーデビューのお話はいただいていたんですが、全部断っていたんです。「メジャーデビューしたら、こういう曲をこれくらいリリースして、こうしていくべきだと思う」みたいなことを言われたから。だけど、今のプロデューサーさんだけは「そのままでいいよ」と言ってくれたんです。

美咲 「そのままでいいならやる!」って。売れるためにメジャーデビューするわけじゃなくて、ミーマイナーを最高だと言ってくれる仲間が、たまたまメジャーレーベルの人だっただけなんです。自分たちが作りたいと思って作った曲を、すごいミュージックビデオにしてもらったり、いろんな展開をしてもらったりするというイメージです。

──ということは、メジャーデビューを控えた現在の気持ちは……。

さすけ それで言うと、僕は“無”なんです。美咲はどう?

美咲 私は、バンドを組んだ当初、前のグループのときのアンチファンに攻撃されたりバカにされたりして、マイナスから始まっているから、味方が増えたという意味ではうれしいです。みんなが大切にしてくれるバンドになったんだなって思う。

さすけ 確かに。僕らが作った“ミーマイナーハウス”って藁の家だから、石を投げ込まれたりしてきたけど、その家がお城の中に入れたっていう感じかも。その安心感はありますね。

美咲 うん、だから「やったー!」っていう気持ちです。

──葵さんとわたさんはいかがですか?

 あんまり実感がないんです。何か変わるという感じも特にしなくて(笑)。思えば4人で「メジャーデビューする!」みたいな会話もまったくしていないですし(笑)。

葵(Dr)

葵(Dr)

美咲 確かに!(笑)

 だけど、メジャーという大きな箱の中で自由にやらせてもらえる環境はすごくありがたいなと思ってます。今まで以上にがんばっていきたい。

わたさん 僕もそんなに実感はなく、という感じです(笑)。

──「前のバンドで考えられなかったことが、このバンドで叶えられそう」みたいなキラキラ感も、いい意味であんまりないですよね。

わたさん うん。

さすけ たぶん、それぞれが前の活動で売れることに執着した結果ダメだったんですよね。「じゃあ好きなことをやろう」と思って活動したらこうなったので、棚からぼた餅すぎて、「うわああ」って驚いてる感じなんだと思います(笑)。