2022年のデビューから4年。LE SSERAFIMは“IM FEARLESS”を旗印に、自らの物語をパフォーマンスへと昇華させてきた。実力と努力で困難に打ち克つ姿勢を示した初期、悩みや不安をさらけ出し共感を集めた「EASY-CRAZY-HOT」3部作、そして同作を引っさげて行われた初の東京ドーム単独公演まで。常に等身大の表現を更新し、着実に実績を積み上げてきた5人の歩みは、彼女たちが世界のトップグループへと駆け上がった濃密な時間を物語っている。
こうした激動の軌跡を経て、5人は今、新たな「強さ」の定義を提示する。5月22日リリースの2nd“スタジオアルバム”(※スタジオレコーディングのアルバム作品)「‘PUREFLOW’ pt.1」では、自身の弱さや恐怖さえも肯定する“FEARLESS 2.0”を宣言。本特集では、LE SSERAFIMのデビューから現在に至るまでの歩みを振り返るとともに、最新作「‘PUREFLOW’ pt.1」および収録曲「CELEBRATION」のレビューを通じ、彼女たちが到達した“真の強さ”の核心に迫る。
取材・文 / 岸野恵加
“IM FEARLESS”を掲げ続けて
「もう4年も経ったのか」と思うと同時に、彼女たちが打ち立ててきた功績と濃密な活動を思い返すと、「まだ4年しか経っていないのか」と驚く部分もある。2022年春、スタイリッシュなアーティスト写真でLE SSERAFIMのメンバーが1人ずつ公開されていく際、「とんでもないグループが誕生する」という大きな期待感に包まれたのが、つい昨日のことのようだ。
すでにアーティストとしての豊富な経験を持っていたSAKURA(サクラ)とKIM CHAEWON(キム・チェウォン)、その2人も過去に参加したオーディション番組で存在感を放ったアメリカ育ちのHUH YUNJIN(ホ・ユンジン)、バレエを15年続け多数の受賞歴を誇るKAZUHA(カズハ)、そして練習生期間半年でデビューメンバー入りした、才能あふれる最年少のHONG EUNCHAE(ホン・ウンチェ)。HYBE MUSIC GROUP傘下のレーベルであるSOURCE MUSICから誕生したガールグループとしてデビューした粒ぞろいの5人は、“IM FEARLESS”のつづりを並べ替えたグループ名の通り、恐れることなく堂々と進んでいく姿を表現してきた。
LE SSERAFIMはデビュー作からメンバーがコンセプトや複数の楽曲の歌詞制作に携わり、ありのままの自分たちの物語を音楽に溶け込ませてきた。それゆえ彼女たちのパフォーマンスからはいつも、正直な感情が放たれる。2022年5月リリースのデビュー作「FEARLESS」では、過去にとらわれず前に進む意思を示し、同年10月リリースの2ndミニアルバム「ANTIFRAGILE」では、「苦しい時間も成長のための刺激として受け止め、その過程を通じてより強くなる」という決意を表明した。「ANTIFRAGILE」はミリオンセラーを記録し、日本国内の主要チャート4冠を獲得。同年末にLE SSERAFIMは、デビュー1年足らずで「第73回NHK紅白歌合戦」に初出場し、以後3年連続で「紅白」のステージに上がった。
2023年1月には日本1stシングル「FEARLESS」で日本デビュー。同作品は日本レコード協会のダブル・プラチナ認定を受け、海外女性グループおよびK-POPグループの日本デビューシングルとして、日本レコード協会の現基準認定上初となる偉業を成し遂げた。同年5月にリリースされた1stスタジオアルバム「UNFORGIVEN」は、予約注文数138万枚を突破する大反響。フェスティバルのような熱狂を生むライブ定番曲「Fire in the belly」や、メンバー全員が作詞に参加したファンソング「FEARNOT (Between you, me and the lamppost)」など全13曲が収められ、LE SSERAFIMは表現の幅をさらに拡張した。8月からは初のツアー「2023 LE SSERAFIM TOUR 'FLAME RISES'」を開始。そして10月にリリースした初の英詞シングル「Perfect Night」はアメリカのBillboardチャート「グローバル200」で当時の自己最高順位を更新し、自身最速でストリーミング累計1億再生を突破する。グローバルな人気を高めたLE SSERAFIMは、2024年にアメリカの音楽授賞式「2024 MTV VMA」にてK-POPガールグループとして初めてプレショーでパフォーマンスを披露したほか、「PUSH Performance of the Year」を受賞。さらに11月には欧州最大の音楽受賞式「2024 MTV EMA」に、K-POPガールグループで初めてパフォーマーとして招待され、「Best PUSH」を受賞した。
一方、2024年からLE SSERAFIMは、「EASY-CRAZY-HOT」3部作で新境地を開拓(参照:LE SSERAFIM「HOT」特集|「EASY」「CRAZY」に続く最終章、3部作を貫くストーリーを紐解く)。それまでの作品で“恐れない強さ”を打ち出してきた5人だが、この3部作では、悩みや不安を抱える姿や“愛”など、人間らしく生々しい姿をさらけ出し、多くの共感を集めた。「EASY」は米Billboardのメインソングチャート「Hot 100」で自身初のチャートインを果たし、英国オフィシャルシングルチャートにも2週連続でチャートイン。さらに2025年末に「日本レコード大賞」でK-POPガールグループ初となる特別国際音楽賞を受賞し、LE SSERAFIMは欧米諸国や日本においても、トップグループとしての存在感を強めていく。
2025年4月からは、「EASY-CRAZY-HOT」3部作を提げた初のワールドツアー「2025 LE SSERAFIM TOUR 'EASY CRAZY HOT'」を開催。約1年にわたり、日本、アジア、北米など20都市で計31公演を実施した。その一環として、11月18、19日にはついに初の東京ドーム単独公演を実現。無限のスタミナを感じさせるような怒涛のパフォーマンスが続くセットリストだったが、5人は磨き上げてきたパフォーマンス力とスター性で、約8万人のFEARNOT(LE SSERAFIMファンの呼称)を熱狂させた。
なお同年6月にリリースされた、Netflixシリーズ「My Melody & Kuromi」の主題歌「Kawaii (Prod. Gen Hoshino)」を提供したのは星野源。“可愛いとは強さ”というLE SSERAFIMならではのコンセプトで“KAWAII”を表現し、東京ドームのステージでは、マイメロディ&クロミとLE SSERAFIMが笑顔で共演を果たした。
同年10月にリリースした1stシングル「SPAGHETTI」ではj-hope(BTS)をフィーチャリングアーティストに迎え、アメリカのBillboardメインソングチャート「Hot 100」と英国オフィシャルシングルチャートでキャリアハイを達成。そしてLE SSERAFIMは、同年末にニューヨークのタイムズスクエアなどから放送される伝統ある年越し特番「Dick Clark's New Year's Rockin' Eve with Ryan Seacrest 2026」に初出演した。なかでもSAKURAとKAZUHAは、日本人アーティストとして初めて「New Year's Rockin' Eve」のステージに上がり、ニューヨークのタイムズスクエアにてパフォーマンスを披露するという歴史的快挙を果たした。グローバルスターとして大舞台を踏んだ感慨を、SAKURAはSNSで「誰がこんな未来を想像したかな。私は、想像もしていなかった未来でした」「私が予想していた自分はもうはるかに越えていて、人生のボーナスステージを見ているかのような、そんな体験でした」と、しみじみとつづっている。
5年目突入、掲げたのは「FEARLESS 2.0」
こうした4年間の活動を経て、自分たちにしかできない表現を形作ってきたLE SSERAFIM。3年ぶりのスタジオアルバム「‘PUREFLOW’ pt.1」では“FEARLESS 2.0”を掲げ、新章突入を高らかに宣言している。デビュー当初は「恐れがないから強い」と信じていたLE SSERAFIMだが、‘PUREFLOW’ pt.1では「恐れを知っているからこそ、より強くなれた」と歌う。タイトルの「PUREFLOW」は、「POWERFUL」のアナグラム。恐怖を知り成長したLE SSERAFIMが打ち出す“力強さ”に期待が高まる。
そのリードシングル「CELEBRATION」が、先行して4月24日にリリースされた。強烈でありながら叙情的な響きを持つメロディックテクノと、疾走感と躍動感を感じさせるハードスタイルジャンルが調和した楽曲で、KIM CHAEWONとHUH YUNJINが楽曲制作に参加している。パフォーマンスでは、恐れの中でも前へ進もうとする姿勢が表現されており、冒頭でのメンバーそれぞれ異なる振付は、1人ひとりの弱さや内面の脆さを象徴している。
歌われるのは、恐怖心を受け入れて自分と向き合う強さを讃えるメッセージ。ミュージックビデオでは、メンバーが孤独なクリーチャーと連帯していくストーリーが描かれる。雪原や砂漠、果てには広大な宇宙の惑星まで逃げ続けるクリーチャーをどこまでも追いかけるLE SSERAFIM。やがてメンバーの真心が伝わり、さまざまな外見をした多数のクリーチャーとともに、すべての存在を祝福するようなクライマックスを迎える。音楽番組でのパフォーマンスにおいては、K-POPではおなじみの“エンディング妖精”(パフォーマンス後にカメラ目線でポーズを取るエンディングのこと)部分で、いつまでも踊りに没頭するメンバーの姿が印象的だった。
またLE SSERAFIMは、「CELEBRATION」を通じて多彩なグローバルコラボレーションを展開。グローバルプラットフォームやスポーツなど、多岐にわたる分野や企業とタッグを組み、さらに可能性を広げている。
シスターフッドの中で見つけた「強さ」
「CELEBRATION」のパフォーマンスやMVを観ていて、思い出した場面が2つある。1つは東京ドーム公演のラストシーン。すべての曲が終了し、観客が帰路に着こうとした矢先、LE SSERAFIMがトロッコに乗って再登場し、「CRAZY」のEDMバージョンを歌うサプライズがあった。どんどんテンポが加速していくEDMサウンドに乗せてメンバーとFEARNOTは頭を振ってエンドレスに盛り上がり、東京ドームはさながらEDMフェスティバルのような様相に。最愛のFEARNOTと一緒に、ただ音に身を委ねて楽しむメンバーの表情は、とても晴れやかだった。「LE SSERAFIMはこんなステージも見せてくれるのか」と驚いたが、あれは「CELEBRATION」への布石だったようだ。
そして2つ目は、2025年末の音楽祭「2025 SBS 歌謡大典」での「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」のステージだ。「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」のMVにはドラァグクイーンをはじめ、さまざまな人々が登場するが、このステージでもドラァグクイーンや多様なキャラクターがメンバーのパフォーマンスを盛り上げた。「それぞれのアイデンティティや価値観を大事に、自分らしく進んでいく」という「2025 SBS 歌謡大典」のテーマ「Born This Way」とも呼応するステージは視聴者の感動を呼んだが、「CELEBRATION」MVにも、通ずるものを感じる。
メンバー5人は全く異なるバックグラウンドを持っているが、本当に仲がよく、深い絆を築いていることが活動の端々から伝わってくる。だからこそ、こうした楽曲も説得力を持って伝えられるのだろう。HUH YUNJINは「CELEBRATION」リリース後の4月29日、Weverseでのライブ配信にて「暗闇の中でも、私たちにはお互いの存在があった。そのシスターフッドの中で、前に進み続ける強さを見つけました。本当の強さは、お互いが抱える怪物(弱さ)を見せることから生まれるのだと気付いたのです」と、涙ながらにメンバーへの思いを語っていた。
特定のコンセプトやジャンルにとらわれず、常にありのままの姿を音楽とパフォーマンスで表現するLE SSERAFIM。「‘PUREFLOW’ pt.1」のリリース後は、7月の韓国・仁川公演を皮切りに、日本、アジア、米国、欧州など世界23都市32公演を巡る2度目のワールドツアー「2026 LE SSERAFIM TOUR 'PUREFLOW'」をスタートさせる。そして8月には、日本最大級の音楽フェスティバル「SUMMER SONIC 2026」に初出演し、大阪、東京の2都市でメインステージに立つ。アルバムで打ち出される彼女たちの“第2章”と、それを引っさげたステージが楽しみでならない。
公演情報
2026 LE SSERAFIM TOUR 'PUREFLOW' IN JAPAN
- 2026年7月25日(土)大阪府 大阪城ホール
- 2026年7月26日(日)大阪府 大阪城ホール
- 2026年7月30日(木)神奈川県 Kアリーナ横浜
- 2026年8月1日(土)神奈川県 Kアリーナ横浜
- 2026年8月2日(日)神奈川県 Kアリーナ横浜
- 2026年8月8日(土)静岡県 エコパアリーナ
- 2026年8月9日(日)静岡県 エコパアリーナ
- 2026年8月18日(火)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2026年8月19日(水)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2026年9月2日(水)福岡県 マリンメッセ福岡A館
- 2026年9月3日(木)福岡県 マリンメッセ福岡A館
プロフィール
LE SSERAFIM(ルセラフィム)
KIM CHAEWON、SAKURA、HUH YUNJIN、KAZUHA、HONG EUNCHAEの5人のメンバーからなる、HYBE MUSIC GROUPのレーベル・SOURCE MUSIC所属のガールグループ。グループ名は「IM FEARLESS」のつづりを組み替えたもので、「世の中の視線に動揺することなく前に進む」という強い意志を表している。2022年5月、1stミニアルバム「FEARLESS」でデビューした。2024年9月にアメリカの音楽授賞式「2024 MTV Video Music Awards」でK-POPガールグループとして初めてプレショーに出演し、「PUSH Performance of the Year」を受賞。さらに、11月には音楽授賞式「2024 MTV Europe Music Awards」にパフォーマーとして招待され、K-POPガールグループ初となる「Best PUSH」を受賞した。2025年4月からは日本、アジア、北米など20都市31公演を巡るワールドツアー「2025 LE SSERAFIM TOUR 'EASY CRAZY HOT'」を開催し、11月に初の東京ドーム単独公演(2日間計8万人動員)を実施。同年末には、アメリカの年越し特番「Dick Clark's New Year's Rockin' Eve with Ryan Seacrest 2026」に出演した。2026年5月、2ndスタジオアルバム「‘PUREFLOW’ pt.1」をリリース。日本においては2023年1月にデビューし、「NHK紅白歌合戦」には3年連続で出場した。2026年夏には、2度目のワールドツアーの一環で全5都市で日本公演を開催。8月には「SUMMER SONIC 2026」に初出演し、大阪・東京2都市でメインステージに立つ。
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