2025年2月に清春(Vo)のメジャーデビュー30周年ツアーの一環として“10年ぶりの再始動”を謳ったライブ「CORKSCREW A GO GO! SAINT MY FAKE STAR」を開催して以降、これまでにないペースで活動を展開している黒夢。今年7月には代表作「Drug TReatment」「CORKSCREW」のリレコーディングアルバムをリリースし、さらにアリーナ会場での単独公演「THE PERFECT DAYS TO DIE -ザ パーフェクト デイズ トゥ ダイ-」を行う予定だ。
一時期はお互い口もきかないほどの緊張状態だった2人が今なぜ、これほどまでに黒夢を精力的に動かしているのか? そこには、“終わり”を見据えたアーティストとしてのスタンスが関係していた。
取材・文 / 真貝聡撮影 / 森好弘
いつが最後でもおかしくない
──去年2月、黒夢が約10年ぶりに再始動しましたが、清春さんの提案がきっかけだったそうで。
清春(Vo) うん。僕のメジャーデビュー30周年記念の一環として、60本以上のソロツアー(「清春 debut 30th anniversary year TOUR 天使ノ詩 NEVER END EXTRA」)をやりつつ、2024年の6月と7月にサッズの復活ライブ、2025年2月に黒夢のライブをしよう、という話になって。
──2014年に再始動したときも、ライブをすればチケットが即完していましたけど、今はそれ以上だそうですね。
人時(B) あ、そうなんですか?
清春 うん、前よりも売り切れるのが早い。存在が伝説化してるんですかね?
人時 確かに、いつの間にかレジェンド枠になってますね。
清春 昔から黒夢を好きだった子たちは、40代後半とか50代の人もいるだろうな。この先、ライブに行ける機会が減ってくるのは、皆さんも感じていると思いますよ。前のツアー(2014年に開催された「黒夢 DEBUT 20TH ANNIVERSARY TOUR 2014 BEFORE THE NEXT SLEEP」)から10年以上も空いてるのもその裏付けだよね。ファンの子たちも「そろそろ自分の体もヤバい」って危機感があるのかもしれないし。あとは、金銭的な余裕が出てきたのかも。
──若い頃と比べて仕事や子育ても落ち着きますもんね。
清春 そういう環境の変化はあるかもしれないね。この10年の間に皆さんの大好きなミュージシャンたちとお別れしなければならなかったりもあって、リアルに気付いてきたんだと思います。「元気なうちに観ておいたほうがいい」って。
──この機会を逃したら、次はいつ黒夢のライブが観られるかわからないと。
清春 まあ、5年やそこらで僕ら復活しないもんね。
──ハハハ、そうですね。
清春 最近ソロでも地方によっては毎回「この街にライブで来るのはこれで最後だよ」と言いながらやってるのよ。でも、それに関してはなかなかリアルさが伝わらないなあと。ファンの人も「また地元に来てください」と平気でXに書きますからね(笑)。「いや、今回で最後だったんだよ」ってなるんですけど。
──「また来てほしい」と思う、ファンの気持ちもわかりますけどね(笑)。
清春 2014年のツアーでも「黒夢でライブハウスを回るのは今回でおしまいですよ」と言ってたんですよ。もうちょっと深刻に捉えてほしいんですけどね。「また来てくれ!」と言ってくる。僕らは「やらないよ」と宣言してるバンドなので。いつが最後になってもおかしくない。
フェスのバックヤードでずっと喫煙スペースにいる清春&人時
──振り返ると、去年2月の取材会で「もう復活はないかなと」と話されていたり、清春さんのラジオ番組「back to home」でも「(2025年の)Zeppツアーをやったら、10年はお休みしようと思ってる」と発言されていたりしましたよね。そんな中、2026年も精力的にライブを行う理由は?
清春 僕ら的に黒夢をずっと続ける気はなくても制作会社がどんどん予定を入れてくるんですよ。打ち合わせのたびに「次は○○でライブをしましょう」と言われて、「え!?」って思うんですけど、スケジュールが決められてゆく。何回も「もうやらないですよ」と言って、減らした結果がこの現状。断ってるライブもけっこうあります。
──「もっと黒夢を続けたくなった」という、心境の変化があったわけではないんですね。
清春 この7月のTOYOTA ARENA TOKYOでの3日間も僕は大反対した。9月6日の“クロの日”に東京ガーデンシアターでやるのはまあいいんじゃないですか?と言いましたけど。黒夢で過去にアリーナ公演を2日間やったことはあったけど、3日間はこれが初なんですよ。それをこのタイミングでやるのかって。やるなら去年だったんじゃないの?って。「絶対にやらないですよ」と言ったんですけど、会場が押さえられちゃってて。
──何が引っかかっているんですか?
清春 特にないよ。でもまだ半信半疑ですね。5月に入りましたけど、果たして本当にやるのかどうか(笑)。
──いやいや、やりましょうよ!
清春 インタビューだから、あえてそう言ってるわけじゃなくて。正直「嘘でしょ?」とは思ってます。タクシーの広告とかテレビに出たりとか、宣伝はいろいろしてるけど、まだわからないですね。
──(笑)。人時さんは黒夢の再始動から現在までの活動を、どのように感じていますか?
人時 黒夢としてフェスにも出るようになったのは、新鮮に感じましたね。去年は10本くらいフェスに出てるし、今年も何本かすでに出演が決まっているのもあって。
──黒夢がこれほど多くのフェスに出るのは、正直驚きました。
清春 90年代の黒夢はフェスに収まるようなキャパじゃなかったのよね。そもそもイベントに出るという選択肢がなかった。2014年に復活したときも、アルバムを作ることがメインだったから、誘われてもほぼ出なかったです。
──なぜ、このタイミングで出演しようと思ったんですか?
清春 今は僕らと同世代の人が自らフェスを作ったり、黒夢が好きだと言ってくれていた人がイベントを統括するポジションになったりしているんですよ。イベンターも含め、みんなが「フェスで黒夢が観たいです」と言ってくれた。僕個人はフジ(「FUJI ROCK FESTIVAL」)とかいろいろ出てるんですけど、黒夢で出るイメージは湧かなくて。去年のアラバキ(「ARABAKI ROCK FEST.」)が、再始動して初めてのフェスだったんですよ。僕が冗談で「出れるといいっすね」と言ったら、本当に出られることになって。最初はフェスのことがよくわからなくて「自分たちでチケットを売っていないのに、ステージに人がたくさん来るってどういうこと?」と思っていたんですよ。不思議に感じながらもライブをしたら、けっこう評判がよかったのかな。それで「また今年もお願いします」と言われました。
──フェスには慣れました?
清春 いまだにビギナー感はあるよね? バックステージに行くと、みんながフードコートで仲よくしててさ。
人時 アレは嫌ですね(笑)。
清春 嫌だよね。いろんなバンドの人が丸テーブルを囲んで、ワイワイ食べたり飲んだりしてるじゃないですか。我々だけずっと喫煙スペースにいますからね。
──ハハハ、転校生みたいなムーブをして。
清春 知り合いが少ないから、出番が終わったら打ち上げにも行かずに、スッと帰ります。
──レジェンドなんですから、黒夢にはテーブルの中心にいてほしいですよ。
清春 マジで端っこにいるよね。声もかけられないしね。もしかしたら怖いのかもしれない。人時さんのことが。
人時 いやいやいや(笑)。
清春 若い人たちが出るフェスに行くと、知らないバンドもけっこういるからね。マンウィズ(MAN WITH A MISSION)、(マキシマム ザ)ホルモン、BRAHMAN、ロットン(ROTTENGRAFFTY)、SiM、coldrain、G-FREAK FACTORYはさすがに僕もわかるけど。それよりも下の世代は本当にわからないよね?
人時 僕のほうがわからないですね。
清春 人時さんはマジで下の世代に興味ないからね。挨拶もしないし。
──ハハハハ。
清春 この前、西川(貴教)くんと一緒になったときは、マジで安心しました(笑)。同世代の仲いい人がいるとホッとしますね。思うのは、90年代からヴィジュアル系とカテゴライズされている中で、フェスに「出たくない」とか「出よう」と選べるのは黒夢くらいだろうなって。そういう存在でよかったな、とは思うかな。
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黒夢としてステージに立つと血がたぎる



