次世代のラウドロック / ポップパンクシーンを担うバンド4組が出演するライブツアー「HOW TO START A FIRE TOUR 2026」が4月に開催された。
「HOW TO START A FIRE TOUR」はラウドロック / ポップパンクのシーンに新たなムーブメントを巻き起こすべく企画された、CrowsAlive、Good Grief、UNMASK aLIVE、WHISPER OUT LOUDという気鋭の4組によるスプリットツアー。2025年春に初めて行われ、2年目となる今回は東名阪の3都市で展開された。
音楽ナタリーでは「HOW TO START A FIRE TOUR 2026」の開催を記念して、昨年に続き今年も各バンドのフロントマン4人にインタビュー。昨年のスプリットツアーを振り返ってもらい、そこでの手応えやバンドの変化、そして現在思い描く未来について語ってもらった。
取材・文 / 小林千絵撮影 / 山崎玲士
公演情報
「HOW TO START A FIRE TOUR 2026」
- 2026年4月10日(金)大阪府 Yogibo HOLY MOUNTAIN
- 2026年4月11日(土)愛知県 新栄シャングリラ
- 2026年4月19日(日)東京都 UNIT
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CrowsAlive、Good Grief、UNMASK aLIVE、ウィスパー「HTSAF」再び!4組が示した確かな成長
初めてのスプリットツアーの手応え
──昨年初めてこの4組で「HOW TO START A FIRE TOUR」を行いましたが、いかがでしたか?
Yasu(Good Grief) タフだったよね。全然楽じゃなかった。
──どういったところが大変でしたか?
Yasu 「この4バンドでツアーをやる」という面白さに共感してくれる人を探すところからのスタートだったので。それは今もまだ続けている部分なんですけど、いち早く認知が広がってほしいなと思っています。
KD(UNMASK aLIVE) 特にツアー前半は「このツアーをどうしていこうか」とか「どの方向に進んでいくか」とか、そういう部分のすり合わせが4バンドの中でできていなくて。ツアーを回りながらすり合わせていきました。
Kenta(CrowsAlive) CrowsAliveとWHISPER OUT LOUD、UNMASK aLIVEとGood Griefという組み合わせはそれまでもけっこうあったけど、この4バンドで集まって何かを一緒にやることはなかったから、それぞれのリスナーにとっても新鮮だったと思います。
Motokichi(WHISPER OUT LOUD) 正直、最初は「このまま特に変化も起きずに最後まで行くんだろうな」と思っていたけど……ライブを重ねるたびにバンド同士のグルーヴ感が高まっていって。終盤の横浜や静岡公演あたりで一気に4バンドの結束が固まった感じがします。
──前回のインタビュー(参照:「HOW TO START A FIRE TOUR 2025」開催記念|“火種”たちが灯す、ラウドロック / ポップパンクシーンの未来)の時点ではバンド間での交流がまだあまりない状態で、「ツアーで仲よくなりたい」という発言もありましたが、ツアーを通して仲は深まりました?
Motokichi だいぶ深まりましたね。
Yasu めっちゃ深まったし、真面目な話をする時間も増えました。真剣に会話ができるバンドマンという関係性を築けたことが一番よかったと思います。
この4バンドでツアーを回る意味
──実際にツアーを回ってみて、この4バンドでツアーを行う意味や意義について、どのように感じましたか?
Yasu ツアーを回っていく中で「自分たちが伸ばしきれていない原因はここだ」というポイントがそれぞれ見えてきて。ウィスパー(WHISPER OUT LOUD)の同期が止まった公演があったじゃん? そこからウィスパーは、全員でもっと助け合ってライブをしようという意識が芽生えただろうし。そうやって、それぞれが自分たちの課題や、足りていなかった部分を見せ合うことが、このツアーの意味だったのかなと思います。
Motokichi 岐阜公演でラストに盛り上がる代表曲を演奏しようとしたら、同期が止まってしまって。そこでメンバーと話して、同期なしでやることにしたんです。そうしたら、すごく自由な雰囲気で楽しく演奏できて、その空気感がお客さんにも伝わったのか、すごくいいムードが生まれました。演奏後、楽屋に戻ったら、みんなにも「よかった」と言ってもらえて。そこから一気に考え方が変わりました。最初はこのツアーに対してそこまで思い入れがなかったけど、結果的にはすごく充実したツアーになりました。
Yasu 全バンドそうだったと思うけど、最初にこの4バンドでツアーを回ることが決まったとき、ほかの3バンドに対して、ちょっと見栄を張っているところがあったと思うんです。「こいつらにナメられたくない」みたいな。でもそこから変わっていって、ちゃんと交流できるようになりました。
Motokichi そうだね。
Kenta この4バンドってそれぞれ持っている色が全然違う。つまり、自分たちにはない要素を各々が持っているということ。そういうバンドと一緒にツアーを回る経験が、それぞれに必要だったと思うんですよね。だからすごく勉強になったし、自分たちの殻を破るきっかけになったと思います。
転機となった静岡公演
──今はほかの3バンドに対する気持ちはどのように変化していますか?
Yasu 今も「ナメられたくない」という気持ちはありますが、手の内を明かしていない状態でそう思うのと、お互いのことをわかったうえでそう思っているのとでは全然違うというか。今は「自分たちはこれができていない」とさらけ出したうえで、「じゃあかまそうぜ」と思えている。英語で「elephant in the room」という慣用句があるけど、それに近いのかな。みんな気付いているけど、気まずくなるから言わないことってありますよね。そこを打ち明けることができた瞬間に、4組でツアーを回る意味がぐっと増した感じがする。
──そういうことをお互いに言い合えるようになったのはどうしてだと思いますか?
Motokichi なんでだろうね。たくさんお酒を飲んだから?
Kenta 裸で打ち上げをしたから?(笑)
KD やっぱり静岡じゃない?
Yasu 静岡はすごかったよね。Shizuoka UMBERでのライブの日、幕張では「SATANIC CARNIVAL 2025」が開催されていて。俺らが10年以上一緒にライブをやっているSee You Smileが初めて「SATANIC CARNIVAL」に出たんです。こっちの会場には数十人くらいしかお客さんが来てなかったけど、向こうのオーディエンスは数千人。俺らがトッパーだったので、そこで「こんな状況だけど、俺らは絶対に負けないから」みたいな話をMCでしたんです。そしたらそこからみんなに火がついて。
KD あの日は、マジでそれぞれがやれることを全部やったよな。ほかのバンドがライブをしているときはフロアでお客さんよりも楽しんで。
Motokichi ライブは「盛り上げる」というよりも「自分たちで作るもの」だとそこで気付きました。
Yasu ツアーが始まった当初は、集客が振るわなくても「本当はこんなもんじゃない」と、どこかで責任から目を背けていたところがあったんです。でも結局、人が集まらないのは自分たちのせいだと素直に立ち返ることができたきっかけが、その静岡公演だった気がします。「人が呼べない」って、できればバレたくないじゃないですか。だけど一緒に回っているバンドたちに対してそれを隠そうとしても意味がない。そうじゃなくて、この状況を最高のものにするために、それぞれが今できることをやろうという気持ちになりました。
まずは自分たちが一番楽しむ
──「HOW TO START A FIRE TOUR 2025」を経て、ご自身のライブに対する考え方や音楽への向き合い方に何か変化はありましたか?
Kenta 「HOW TO(START A FIRE TOUR)」以降は、ライブ1本1本に対する考え方がかなり変わりました。「お客さんが来なくても、みんなでライブ作り上げていく」という意識になったというか。すごく大事なことに気付かされたツアーだったと思います。
KD 自分たちも「HOW TO」のあとのライブで、お客さんが全然入っていない日があって。そのときに「HOW TO」でやったように、まずは自分たちが楽しんで遊ぶようにライブをしたら、お客さんも一緒に楽しんでくれて最高な日になった。それは「HOW TO」で得たものですね。
Motokichi 僕はそれまでライブに対して「とりあえずクールにカッコよく、美しく見せたもん勝ち」という考えだったけど、「HOW TO」で「まず自分が音にのめり込んでめっちゃ楽しむ」ことを覚えました。集客が少ないと、たぶんお客さんもそれが気になっちゃうんですよね。だけどそんなこと気にしないでいいよって伝えたくて。アーティストがむちゃくちゃ楽しんでいる姿を見たら、お客さんにもそれが伝わると思うので、まずは自分が一番楽しむ。そう思えるようになりました。
Yasu 高校生の頃、地元のライブハウスに行くとお客さんが20人くらいしかいないことがあって。でも、そういう状況を無視してライブをするバンドは全然よくなかったんですよ。なんか、それを思い出して。全員が心の中で思っていることは、ちゃんと開いてあげないと安心につながらないというか。自分自身に正直になって、本音に蓋をしない。そうすることでようやく、その場にいるみんなが安心して音楽に入り込める。そういう空気をちゃんと生み出せるボーカリストになりたいと強く思いました。
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ツアーを経て生まれたそれぞれの変化


