GANこと三代目 J SOUL BROTHERSのパフォーマー・岩田剛典が、7月1日にダブルAサイドシングル「Who's Next / RISE NOW」をリリースした。
岩田は2021年9月にシングル「korekara」でソロデビュー。親しみやすいボーカルでポップスを歌ってきた彼がアーティスト名義を「GAN」に改めてリリースする「Who's Next / RISE NOW」は、これまでのソロ作品とは異なり、ヒップホップ色の強い作品となっている。
昨年はMnetが手がける日韓合同のグローバルガールズグループオーディション番組「Unpretty Rapstar : HIP POP Princess」にメインプロデューサーとして参加し、今年はアジアツアーも行うなど、活躍の場を広げている彼は、なぜこのタイミングで名義変更と路線変更に踏み切ったのか。海外での活動を経て、改めて自分のアイデンティティと向き合ったとき、岩田が気付いた“今やるべきこと”は、ヒップホップに乗って踊るストリートダンサーという自身の原点に立ち返ることだった。現在熱中しているという楽曲制作や「KCON 2026」での手応え、今後のビジョンなど、覚悟を持って歩みだしたソロアーティスト・GANの出発地点を巡るインタビューをここに掲載する。
取材・文 / 清本千尋撮影 / 葛川栄蔵
「いい曲できた!」今年は楽曲制作モード
──去年の11月から今年3月にかけてアジアツアー含むソロツアーが終わって、4月には三代目 J SOUL BROTHERSの15周年のスタジアムライブがありましたね。今の岩田さんはどういうモードで活動されていますか?
完全に制作モードです。日々スタジオに入って楽曲制作に勤しんでいます。
──Xにも「いい曲できた!」とポストされてましたね。
はい。日々とにかく楽曲を作っています。
──岩田さんは常にお忙しいイメージがありますが。
制作活動に打ち込みたくて、例年に比べて今年はあえて仕事を詰め込まないようにしたので、最近はけっこうゆったりしていますよ。めちゃ幸せな日々ですね。またすぐに俳優のお仕事が始まるので、今のうちにと、集中して音楽制作に励んでいます。
──ちなみに楽曲のストックはどれくらいあるんですか?
曲数的にはアルバムが作れるくらい。完成しているのは10曲ぐらいですかね。
──そんなに! 岩田さんはパフォーマーとしてデビューをして、ソロアーティストとしての活動は2021年からですよね。これまでは楽曲提供を受けてそれを歌うというスタイルでしたけど、いつ頃からご自身でも楽曲制作を?
今年に入ってからです。トラックメイカーと一緒にスタジオに入っていろいろ意見交換をしながら作ることが多いですが、打ち込みで作ったデモを持っていって、それをベースに一緒に制作を進めていくこともあります。自宅に絵を描くアトリエはあるんですけど、音楽に関しては特になくて、もっぱら自宅でパソコンと向き合って制作しています。
──トラックメイカーには、岩田さんのイメージを形にするサポートをしてもらっているのですね。
そうですね。同世代のトラックメイカーなので、通ってきた音楽がけっこう近いんです。だから「あの年代のあのアーティストっぽいコード感でお願いします」だったり「この曲っぽい雰囲気を出したい」とか、そんなリクエストをすればすぐに伝わるし、「哀愁のあるギターを入れてもらって、もう少しローファイな感じの曲にしたい」という具体的な提案をするときもあります。自分が求めているものをすぐに理解して形にしてもらえるのは、同世代で制作する強みですね。
LDHのボーカルとは育ってきた環境が違う、自分は……?
──2026年最初のリリースとなるシングル「Who's Next / RISE NOW」は岩田剛典名義ではなく、GANという岩田さんの愛称でのリリースになります。岩田さんのソロはこれまで軽やかでポップな曲が多かったですし、ビジュアルもそれに伴ったものでしたが、今回のビジュアルはストリートな雰囲気。曲を聴く前から、何かここから変わっていくのだろうなという予感がありました。
去年と今年上半期の活動を経て自分の中でいろいろと心境の変化があって、目指したいアーティスト像が変わってきたんです。具体的に言うと、自分のエゴをもっと出していきたい。これからはヒップホップ要素が強い楽曲をリリースしていきたいと思っていて。
──ストリートダンスから始まった岩田さんのアーティスト活動のルーツに立ち返ったんですね。
まさにそうなんです。
──ご自身のルーツを提示する方向にシフトチェンジしたのはなぜだったのでしょうか?
EXILE TRIBEのグループからソロデビューと言うと、基本的にボーカルなんですよね。自分もボーカル出身のソロ活動のように動き出してみたものの、そもそも根本が違ったなと気付いて。ボーカルのメンバーはみんなボーカルオーディションを経てアーティストになっているから、歌モノにたどり着くのは当たり前なんです。そんな中、自分の場合はパフォーマー出身で、歌モノをやって彼らと同じ道をなぞることで、自分を見失ってしまっていたかもとちょっと思ったんです。自分のキャリアはダンスから始まっているので、歌える曲ではなくて踊れる曲であることが重要。それにようやく気付いたというか。
──こういった曲を岩田さんのボーカルで聴ける日が来るとは思っていませんでした。グループのパフォーマーとしてはヒップホップ要素の強い楽曲でも踊ってこられていますけど、今までのようなポップな歌モノがソロアーティストとして表現したいものだと思っていたので。
ああいうのも好きなんですけどね。この1年、海外でも活動するようになって、自分自身をプレゼンする機会が増えたんです。自分のミュージカリティについて説明するときに、これまで自分がやっていたソロの活動を持ち出すと、なんだかちょっと後ろめたい気持ちになる自分がいて。同じ土俵で戦うアーティストから「どんな音楽をやってるの?」と聞かれたときに、自己紹介的に聴かせたい楽曲ってなんだろうと。これまでのソロ活動ももちろん自信を持ってやってきたんです。でも、ステージの上で自分が信念を持ってやっていることとしてアピールするには、ちょっと曇りがあるのかもと自分で気付いてしまったんですよね。
──岩田さんの立ち位置ってちょっと特殊だと思うんです。先ほどおっしゃっていたようなグループのボーカルがソロデビューするのとも違うし、俳優が歌手デビューするのともまた違う。歌を歌わないパフォーマーとして世に出てきて、俳優としても活躍するようになり、そこからさらに歌手としてソロデビューという経緯はあまりほかでは見ないパターンだなと。しかも芸歴で言うと、デビューから10年経ってソロアーティストとしてデビューすることになった。だからバックグラウンドを説明するときにちょっと複雑なんだろうなと思っていたんですよね。
うわあ、まさにその通りです。ソロを始めたときに言い訳半分で「うちの事務所は俳優が少ないけど、ほかの事務所さんだと俳優が自分の曲を1曲持っているなんて、昭和時代からよくあることだし」みたいなことを言っていたんです。なぜそんなことを言っていたかというと、僕がいるシーンだとパフォーマーがマイクを持つことにポジティブなイメージがあまりなかったから。でも僕の始まりは俳優でもボーカルでもなくてダンサー。そっちの道でこれだけキャリアを積んで歌手デビューって確かにあまり例がないかもしれない。だからこそ今、原点に立ち返る必要があったんだと腑に落ちました。
キャリアを重ねた今、もう中途半端なことはできない
──先日の「KCON 2026」で初披露した「Who's Next」のステージは、パフォーマー岩田剛典の原点に立ち返ったものでしたよね。そしてこの楽曲はご自身で歌詞も書かれているので伝えたいことがあったのだろうとも思いました。
1曲入魂して「KCON」でカマすと決めていたので、カッコつけた感じというか、フレックスした雰囲気の歌詞になっています。アウェイの「KCON」のステージは緊張しましたね。その場で披露したものがすぐ世に出回ってジャッジされる場だとわかっていたので、入念に準備はしたんです。たくさんリハーサルにも入ったし、衣装をどうするかもチームでかなり話し合いました。当日もサングラスをどっちにするかをギリギリまで悩んだりもして。
──それほどまでに準備して挑んだステージはいかがでしたか? オーディエンスの反応とか。
現場の反応はよかったです。僕目当てじゃない人もショーとして面白いものを観れたと思ってくれたようで、SNSの反響もけっこうあったし、海外からのリアクションがあったのもうれしかったです。
──K-POPをハブにしてご自身の音楽が世界に広がっていく実感があったと。K-POPの影響力というのは、きっと去年岩田さんがメインプロデューサーの1人として参加した「Unpretty Rapstar : HIP POP Princess」の現場でも肌で感じたのではと思います。ヒポプリと言えば、メインプロデューサーの1人を務めたRIEHATAさんが「Who's Next」の振付や「KCON 2026」のステージでの演出を手がけているんですよね。ヒポプリの課題曲にもなった「CROWN」に引き続きのタッグになります。
今回のシングルはヒポプリからのつながりはいろいろありますね。RIEHATAは世界を見て活動しているので、普通のマーケティングではまず出てこないようなアイデアがいろいろあって。そんなことを考えて活動しているのかと、勉強になることがたくさんありました。彼女と話していていつも行き着くのは、結局は“本物が残る”ということ。周りが何かの真似事をして一時的な人気を得ても、そんなのはほっとけばいい。今はSNS全盛期なのでいろいろな情報が入ってくるけれど、黙って牙を磨き続けていれば、それを見ている人も必ずいて、見つけてもらえるって。ほかにも去年はいろんな人と意見交換をする機会があって、より自分のやりたいこと、やるべきことが研ぎ澄まされていった気がします。あとは、こんな言い方はあまりしたくないですけど、自分の年齢もあります。20代からキャリアを重ねて、30代中頃まで来た今、もう中途半端なことはできないんですよね。
──そこには岩田さんのプライドもありそうですね。
そうですね。今は自分にどこまで厳しくするかの戦いです。
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パフォーマンスをごまかしなく表現したかった


