田島貴男×君島大空「FUJI & SUN '26」開催記念対談

キャンプインフェス「FUJI & SUN '26」が6月6、7日に静岡・富士山こどもの国で開催される。

「富士山と学び、富士山と生きる。」をコンセプトに掲げる野外フェス「FUJI & SUN」。富士山の麓という絶好のロケーションで毎年開催されているこのフェスは、音楽はもちろん、アクティビティ、キャンプ、地元食材を使用した名物料理などを楽しむことができるイベントとして多くの人に愛されている。そんな「FUJI & SUN」の開催を前に、音楽ナタリーは今年の出演者より田島貴男(Original Love)と君島大空の対談をセッティング。過去の共演エピソードから、野外フェスである「FUJI & SUN」ならではの“ライブの秘訣”まで自由気ままに語り合ってもらった。

取材・文 / 村尾泰郎撮影 / 森好弘

公演情報

FUJI & SUN '26

「FUJI & SUN'26」ロゴ

2026年6月6日(土)静岡県 富士山こどもの国
OPEN 9:00 / CLOSE 21:00

<出演者>
くるり / ハンバート ハンバート / 田島貴男(Original Love) / YOUR SONG IS GOOD(CHILL & DUB) / JAZZ NOT ONLY JAZZ in FJSN(石若駿 × 渡辺翔太 × マーティ・ホロベック) feat. 大橋トリオ & 田島貴男 / 奇妙礼太郎 / 柴田聡子(バンドセット) / Chappo / 北村蕗 / 梅井美咲 / HAL & Baku
After Hours:スーパー登山部 / TOP DOCA


2026年6月7日(日)静岡県 富士山こどもの国
OPEN 8:30 / CLOSE 19:00

<出演者>
never young beach / ハナレグミ / KIRINJI(弾き語り) / cero / 藤原さくら / 君島大空 / 寺尾紗穂 / 優河 / 鎮座DOPENESS / CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN / 眞名子新

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君島くんのミュージシャンとしての進化に驚いた

──田島さんと君島さんは昨年、福岡の野外フェス「CIRCLE」のフィッシュマンズのライブで共演されました(参照:フィッシュマンズが27年ぶりに福岡に帰還、田島貴男&君島大空とのコラボも披露「CIRCLE」初日)。それが初顔合わせですか?

君島大空 初めて田島さんと会ったのは、日比谷野音(日比谷公園大音楽堂)で開催された「SLOW LIVE」のときですね。5、6年前かな。

田島貴男 そうそう。まだ君島くんがデビューして間もない頃だったよね。そこで初めて君島くんの音楽を聴いて「面白いことやってるな。草履履いてるし、いったいどういう人なんだろう?」と気になっていたんです。それから、いろんなところで名前を見るようになって、アルバムを聴いてみたらすごくよかった。

君島 ありがとうございます!

左から田島貴男、君島大空。

左から田島貴男、君島大空。

田島 「SLOW LIVE」で観たときと全然違う音楽だったから、いろんなスタイルを持っているんだなと思った。それで「CIRCLE」でひさしぶりにライブを観て驚いたんだよ。ミュージシャンとしてすごく進化していて。日比谷のときは座って演奏してたよね?

君島 そうです。

田島 あのときはお客さんにガンガンいくんじゃなく、自分の世界を披露するような感じだったじゃない? でも、フィッシュマンズのときは周りのミュージシャンにどんどんアプローチするし、お客さんに対してもいろんなパフォーマンスを見せていた。「君島くん、こんなにポテンシャルがあったんだ!」って驚いたんだよ。

君島 そんなふうに言っていただいてうれしいです。僕は「CIRCLE」で初めてバンドとやる田島さんを観まして。

田島 あのときはちょっと地味だったかもね。

君島 いやいや、「めちゃめちゃエンタテイナーや~!」って感動しました。会場に波を起こす感じ。フィッシュマンズのメンバーそっちのけで「俺は田島貴男だ!」みたいな(笑)。

田島 あはは。君島くんのパフォーマンスがあまりによかったんで、ちょっとヤバいなと感じたんだよ。君島くんはギターを弾きながら歌って、フィッシュマンズの曲のアレンジもしてたでしょ。「それに比べて俺はやってることが少なすぎるんじゃないか? もっと仕事しなきゃ!」って思ったんだよ。初めて観たときと比べて、周りのミュージシャンに対する接し方も変わっていたし、きっとすごくいいミュージシャンと長い間一緒にやってきたんじゃないかなと思いましたね。

君島 そうですね。内省的な表現が好きで音楽を始めたので、もともとは人前で演奏するのがそんなに好きだったわけではないんです。でも、2年くらい前からようやくライブが楽しくなってきて、「自分にもできるかもしれない」と思えるようになった頃にフィッシュマンズのライブに呼んでもらったら、周りにはUAさんや永積(崇 / ハナレグミ)さんみたいなすごい人たちがいて(※2025年に行われたフィッシュマンズのライブで、君島はUAやハナレグミなどに混じってゲスト参加した)。「ヤバっ、やるしかねえな」と腹をくくったんです。去年1年はバンドでのライブも多かったし、野音のときと比べたらアプローチはかなり変わっていたと思います。

田島 もともとギターはうまかったけど、ミュージシャンとセッションする技術がすごく上がってた。僕は初対面のミュージシャンとはコミュニケーションを取ってサウンドを作っていくんだけど、君島くんもそういうタイプになっていて。あれほど積極的なミュージシャンになっていたことに驚いたんだ。

君島 ギターを通じて人とコミュニケーションを取るのは昔から大好きなんです。子供の頃から友達と遊ぶよりギターを弾くのが好きだったし、ギタリストになりたいと思っていて。高校のときに週1で福生のライブハウスに通ってセッションしていました。

田島 福生かあ。街にアメリカの匂いがして、飲み屋や喫茶店に楽器が置いてあったりするんだよね。そこですぐセッションできる。大瀧(詠一)さんとかも福生に住んでたでしょ。そういう街で育ったのはうらやましいな。

左から田島貴男、君島大空。

左から田島貴男、君島大空。

教科書のように聴いていたOriginal Love

──君島さんはどういうきっかけでギタリストを目指すようになったのでしょうか?

君島 なんだろう。ギター以外に熱中できるものがなかったんです。中学のときにバスケ部に入ったんですけど、すぐ辞めてしまって。学校から帰ったらずっとギターを弾いていました。

田島 最初にライブを観たとき、あまりにも演奏スタイルが幅広いのでびっくりしたんですよ。ブルースも弾くでしょ?

君島 ブルース出身なんですよ。

田島 マジで!? そっか、福生出身だから。エクスペリメンタルなギターを弾きながら、そこに突然ブルースが入る。それがいいんだよ。

君島 誰かに教わったわけではないんですよね。全部、独学。両親が音楽好きなので、子供の頃から家にあるCDを聴いて育ったんです。母親がAORが好きだったので、中学の頃から家にあるドナルド・フェイゲンを聴いて「ラリー・カールトンってカッケーじゃん!」って思ったりしてました。ずっと家でかかっていたので自然と耳に入ってきて、肌に合うなと思ったんです。そして、アル・ディ・メオラとかフュージョンを聴くようになってコピーしてたんですけど、そこからメタルを聴くようになって。「とにかく速いのが一番カッコいい!」と思ってました(笑)。

田島 今でもそういうの弾けるんだ。

君島 弾けますよ。恥ずかしいからあまり弾かないけど(笑)。あと、母親はOriginal Loveが大好きで、僕も子供の頃からOriginal Loveを聴いてたんです。

田島 マジかー! それ、早く言ってくれないと(笑)。

君島 最初にお会いしたときに言ったんですよ(笑)。

田島 ライブ前でぼーっとしてて耳に入ってなかったのかな(笑)。

君島 カーステレオでOriginal Loveをかけて海にドライブに行くような家庭でした。だから、街を歩いていてOriginal Loveの曲が流れてくると妙に安心するというか。「ありがとう」という気持ちになるんです。

君島大空

君島大空

──ということは、Original Loveからも影響を受けている?

君島 絶対に受けてますね。教科書のように聴いていたので、曲のどこかしらにエッセンスが入っていると思います。

田島 そうなんだ。お母さんによろしくお伝えください(笑)。

──お父さんからの影響もありますか?

君島 父親はトム・ウェイツが好きで。トム・ウェイツの曲を通じてマーク・リボーを知って大好きになりました。

田島 君島くんがマーク・リボーを好きなのはわかる! あの変態な感じ(笑)。

君島 ちゃんと弾くとめちゃくちゃうまいのに、全然ちゃんと弾かないっていう(笑)。高校のときはマーク・リボーのようになりたいと思ってました。リボーが来日したら毎回、観に行ってます。10年くらい前かな。リボーを日本に呼んでいた麻田(浩)さんに「リボーに渡してください!」ってデモのCDを預けたこともありました。

田島 そうなんだ。麻田さんとは知り合いだから、突然「今日、マーク・リボーのライブがあるんだよ」って連絡が来たりするんだよね。

左から田島貴男、君島大空。

左から田島貴男、君島大空。

長岡亮介の“ずるい”くらいの個性

君島 あと、ギタリストでは長岡亮介さんとの出会いも大きいですね。「キラーチューン」(東京事変の楽曲)をリアルタイムで聴いたとき、「このギター、マジでヤバい!」と思って調べたら長岡さんだったんです。それでペトロールズとか長岡さん関連の作品を聴くようになりました。

──田島さんは長岡さんとの共演イベント「ふたりソウルショウ」を行われていましたよね。

田島 長岡くんは東京事変をやる前から知り合いなんです。初めて会ったとき、長岡くんは二十歳くらいだったんじゃないかな。長岡くんはお父さんとOriginal Loveのライブを観に来てくれていて。

君島 長岡さん、一時期、弾き語りのライブをやってたんです。それを観に行ったらセットリストにOriginal Loveの曲が入ってました。

田島 そうなんだ! 何歌ったんだろう。

君島 「フェアウェル フェアウェル」(1992年リリースのアルバム「結晶」の収録曲)だったと思います。それを聴いて、僕も「フェアウェル フェアウェル」をコピーしたりして。「結晶」は一番好きなアルバムです。

田島 ありがとう! いろんなところでつながるね。長岡くんはお父さんの影響でカントリーを聴いて育ったじゃない? だからカントリーギタリストなんだけど、オルタナティブロックやソウルの曲もカッコよく弾く。しかも、カントリーのピッキングで弾くから独特なんだよ。それがずるいというか(笑)。

君島 ずるいですよね(笑)。最近、ジャズからポップスに来る人が増えましたけど、僕らの世代でカントリーがバックグラウンドにあるギタリストなんていないですから。カントリーってジャズとはまた違った難しさがあるんですよ。

田島 そうそう、言葉が違う感じ。ピッキングのスタイルがかなり違うもんね。君島くんは(エグベルト・)ジスモンチとかも好きなんじゃない?

君島 大好きです。

田島 やっぱり! 今日はいろいろ君島くんのことがわかってきた。あまりに君島くんの音楽性が多彩だから、ルーツはいったいなんだろうと思ってたんだよ。

田島貴男

田島貴男

──田島さんのルーツはどこにあるんですか?

田島 お袋がThe Beatlesが好きだったんです。それで誕生日にThe Beatlesのカセットを買ってくれて、それを聴いているうちにどんどんハマっていきました。それと同時に、当時流行っていた洋楽をエアチェックしていましたね。それで中1のとき、バンドをやろうということになって、おじさんからクラシックギターを借りたんです。そしたら、やっぱりエレキギターが欲しくなって、お年玉を貯めて買って1日8時間、ギターを弾いてました。メシ食うときもギター抱えて(笑)。それを1年くらい続けてたらけっこう弾けるようになって、曲を書き始めたんです。

君島 中学生で曲を作ってたんですか。早いですね。

田島 「俺の曲、絶対全米1位になるな!」って思ってた(笑)。

──その頃はどんな感じの曲を書いていたんですか?

田島 当時はパンクとかニューウェイブを聴いてたんです。The Specials、The Clash、The Policeあたりが好きで。そういうニューウェイブっぽさがありながらThe Beatlesっぽさもある曲だったと思います。曲を書いても聴かせる人がいなかったから、お袋に聴かせてました(笑)。