2005年に結成され、00年代の多様性あふれるヴィジュアル系シーンで存在感を示したDolly。“ダークメルヘン”というコンセプトを掲げ、ヘビーな楽曲からポップスまで、さまざまなジャンルを取り入れた音楽性でコンセプチュアルな活動を繰り広げた。2012年に活動を休止し、限定復活を経て一度は解散にも踏み切った彼らだが、今年本格的に再始動。その第1弾シングルとしてリリースされる「アン・ドゥ・トロワ」は、シンデレラの物語をモチーフに、ジャジーなムードとシニカルな世界観が交差するDollyならではの1曲に仕上がっている。新たなスタートを切った5人に、これまでの歩みから未来の展望までを語ってもらった。
取材・文 / 後藤寛子
2012年の活動休止と2022年の解散までの経緯
──まず、再始動までの流れを振り返っていきたいと思います。2005年の結成当初から、“ダークメルヘン”というコンセプトがあったんですか?
蜜(Vo) バンド名にもなっている通り、人形劇や、童話のようなメルヘンな世界観は最初からありました。そのあたりは僕に一任してもらっていて、次の曲やライブはこういうコンセプトでいきたいという話をして進めていましたね。
──メジャーデビューを経て2012年に活動休止をしましたが、当時を振り返るとどんな印象がありますか?
亜樹(Dr) とにかく日々が慌ただしかったです。まだ20代で、バンド活動において右も左もわからないまま、わりとトントン拍子で進んでメジャーデビューという流れだったので。本当にめまぐるしく時間が過ぎていったイメージがあります。ヴィジュアル系シーンもかなり激動の時代でしたから。
はち(B) いわゆるネオヴィジュアル系という言葉が生まれて、全体的にV系シーンが押せ押せの時代で。多様なバンドがいる中で自分たちの個性を出していかなければならなくなり、曲もヴィジュアルもコンセプトを突き詰めていくことに夢中でした。そうやって活動を続けながら先を考えたときに、明確なビジョンが僕には見えなくなってしまって。活動休止を選んだとき、もちろんDollyが好きだから辞めたいわけじゃなかったけど、一旦考える時期かなと思ったんです。みんな同じような感覚だったんじゃないかな。
聖(G) 僕は、気付いたら活動休止してた……くらいの感覚(笑)。蜜くんの世界を具現化しようと頭をフル回転させ続けて、最後は燃料切れのような感じでした。ある意味、みんな精一杯やり切ったという気持ちで活動休止を迎えたんじゃないかなと思っています。
ゆいな(G) 僕は活動休止前の2009年に一度脱退しているんですけど、自分自身が未熟すぎて。ほかのメンバーが言った通り、とにかくめまぐるしい日々でした。
──その後、2022年に一度目の復活を果たします。こちらはどういうきっかけで?
蜜 一度目の復活は亜樹が連絡をくれたのがきっかけです。
亜樹 やり切ったという気持ちで活動休止を決めましたけど、活動休止から4、5年経った頃に、「Dollyは今どういう状態なんだ?」というところでモヤモヤし始めて。ありがたいことに待ってくれているファンの方がいる中、結果的に僕らが待たせてしまっている状態はどうなのかと思ったんですよね。休止してからメンバーとは全然連絡を取っていなかったんですけど、そろそろどうかな?と思って連絡しました。いざ話したら、誰も反対せず、わりとすんなり決まったよね。
蜜 解散したわけじゃないし、ずっと中途半端な状態だったから。おそらくみんなの共通認識として、最低でも1回はライブをして終わりたいという気持ちがあったように思います。個人的には、ついにDollyと向き合う時間がやってきましたか、って(笑)。
亜樹 そうだったんだ(笑)。
ゆいな また誘ってもらえてうれしかったです。
亜樹 休止前にゆいなが脱退して、5人で終われなかったことも心のどこかに引っかかっていたんだと思います。だから「やっぱりこの5人で」という気持ちもみんな同じだったんじゃないですかね。
はち 僕はしばらく音楽から離れていたのもあって、復活が決まってから必死でリハビリしました(笑)。ベースプレイや技術面に関しては大変でしたけど、いざライブをやってみたらステージ上の自分は何も変わっていなかったんですよね。ここで蜜さんが後ろに下がってくるから前に出ようとか、そういう感覚はすべて体に残っていて。特に苦労しなかったです。
──1年間活動して、2022年12月に行われたSpotify O-EAST公演が解散ライブという位置付けですか?
蜜 そうです。
亜樹 この年は解散を目標に活動していました。目標があったからこそ、すごく充実した1年間になりました。
終わらせるのはもったいない──再始動の決め手は
──その後、2025年の限定復活はどういう流れで?
蜜 2025年は結成20周年の節目だったので、ファンの方が喜ぶかなと思って動くことにしたんです。解散したのも、ただけじめをつけただけだったので。2022年の活動が充実していたから、20周年も前向きな気持ちで迎えられました。
亜樹 シンプルにアニバーサリーとしての限定復活で、再始動する予定はまったくなかったですね。
聖 ただ、2012年の活動休止も2022年の解散も特に悲しくなかったのに、2025年ラストの東京キネマ倶楽部のライブが終わったあと、ものすごく寂しい気持ちになっちゃって。きっと、また活動できたことが想像以上に楽しかったんだと思う。個人的にはすごくいい1年間でした。
──では、今年再始動を決めた理由と言うと?
蜜 決まったのは東京キネマ倶楽部のライブが終わったあとです。すごくいいライブができた感触があって、聖が言ったように、なんだか終わらせるのはもったいないなと思ったんです。
聖 ちょっともう1回やってみたいね、みたいな気持ちが芽生えた。
亜樹 東京キネマ倶楽部の前までは、20周年の次は25周年かな、くらいの気持ちだったんです。あくまでアニバーサリーのライブだし、正直2012年の活動休止や2022年の解散ライブを超えることはないと思っていたので。でも、超えたんですよ。「今のDolly、すごくいいな」と思えた。だから、本当に東京キネマ倶楽部のライブが決め手でした。
ゆいな 僕は、もともと続けたいという気持ちを強く持っていました。Dollyを一度脱退したあと、このシーンや他ジャンルでいろいろ勉強していたんですけど、そこから復活してもう一度Dollyの音楽に触れたときに、ヴィジュアル系に限らず日本の音楽シーンにしっかり残していける楽曲やパフォーマンス力を持っているなと再確認できたんです。一度離れたからこそ、続けるべきだと俯瞰で捉えられました。
──バンドが再始動すること自体はよくありますが、オリジナルメンバー全員がそろっての再始動はなかなか貴重ですよね。
はち 逆に誰かが欠けていたらやっていないと思います。
蜜 うんうん。5人とも、Dollyが作るものがカッコいいと思っているんです。冷静な目で見ても、今のシーンでちゃんと注目してもらえるレベルのスキルを持っていると全員が確信したから、続けるという選択ができたんだと思います。



