Devil ANTHEM.×演出家・長久弦 インタビュー|6人の“今”を切り取ったドキュメンタリー、過去を超えるための葛藤と決意

2024年末の結成10周年記念ライブをもって活動を一時休止したのち、2025年3月に塩崎めいさと矢吹寧々を新メンバーに迎えて6人体制の“新生デビアン”としての歩みをスタートさせたDevil ANTHEM.。「過去は過去、今は今とせずに向き合うことを選択して、そのうえでこれまでを遥かに超えてより大きくなる」という命題を掲げて邁進している彼女たちは、6月25日に東京・Kanadevia Hall、2027年1月11日に千葉・幕張メッセ 幕張イベントホールにて大一番となるワンマンライブに臨む。

そんな彼女たちの“今”を切り取ったドキュメンタリー「Devil ANTHEM.×長久弦~Road to Future~」がYouTubeにて順次公開されている。ディレクションを担当したのは、伝説のバラエティ番組「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」「ねるとん紅鯨団」に携わり、「ザ!鉄腕!DASH!!」やモーニング娘。、AKB48の番組、さらには「PRODUCE 101 JAPAN」の総合演出などを手がけてきた演出家・長久弦。彼によるメンバーの個別インタビューと活動の密着映像を通して、6人のリアルな姿と真意が伝わる内容になっている。

これに合わせ、音楽ナタリーでは長久を交えてメンバー全員へのインタビューを実施。ドキュメンタリーについて触れながら2つのワンマンライブに向けた最新の心境を掘り下げると、メンバーから涙とともに本音があふれてきた。

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 鈴木健太

長久弦が感じた6人の個性と“デビアンの遺伝子”

──ドキュメンタリー「Devil ANTHEM.×長久弦~Road to Future~」の撮影では、長久さんによる個別インタビューがメンバー1人ひとりに行われました。まず、そのときのことを振り返っての感想を聞かせてください。

竹越くるみ 初めてお会いしたときに「俺は普段、原色まみれでもっとカラフルな服を着てるんだ。でも今日は落ち着かせて、黒い格好で来た」とおっしゃっていたんですけど、ところどころにカラフルな要素が入っていて。すごく気さくで面白くて、すぐに懐に入り込んでくる方だなと感じました(笑)。

長久弦 完全に初対面だったんだよね。

くるみ はい。メンバー1人ひとりに対して「こういうことを聞きたいと思っている」という考えをまとめた台本を渡してくださったので、緊張せずに臨めました。

長久 6人それぞれ色があって面白かったです。資料やYouTubeを通してでしかメンバーのことを見たことがなかったから、「こんな子なのかな」「こういうこと聞きたいな」と思ったものを台本に書きました。実際に会ってみて、イメージ通りの子もいれば、「あ、ちょっと違ったな」と思った子もいましたね。

Devil ANTHEM.と長久弦。

Devil ANTHEM.と長久弦。

くるみ イメージと違う子は誰でした?

塩崎めいさ 気になる!

長久 侑芽ちゃんと瞳ちゃん。

水野瞳 何がどう違ったんですか?

長久 瞳ちゃんはなんだか眼力が強くて(笑)。もうちょっとほわんとした子だと思ってたらビシッと言葉を返してきて、それが意外でした。でも、インタビューのあとに活動に密着して、ダンスのことでメンバーに意見を伝えているのを見たら腑に落ちました。侑芽ちゃんはきっちりした性格のおとなしい子なんだろうなと思っていたけど、面白い回答が返ってきたり、俺が言ったことに対して笑ってくれたりして、柔らかい印象を持ちました。ほかの子はイメージ通り(笑)。

めいさ なんかやだ!(笑) ミステリアスでいたかった。

──Devil ANTHEM.のことは前から知っていたんですか?

長久 ほぼ知らなかったです。この企画のお話をいただいてからTikTokを観たりして調べました。これまでいろんなアイドルの子たちと仕事をしてきましたが、その中でもけっこう密に話せたと思います。密着したのは1週間くらいだったけど、素の姿も見えてきて、もうだいぶDevil ANTHEM.のことがわかりました。

くるみ すぐにわかられちゃった(笑)。

安藤楓 私はインタビューで緊張しやすいんですよ。しゃべるのが苦手だからあまり言葉が出てこないこともあるんですけど、話しやすい空気感を作って、私の言葉を引き出すためにたくさん質問をしてくださってありがたかったです。

長久 6人の中で一番緊張してたかもね。インタビュー映像を6本作るわけだから、基本はKanadevia Hallと幕張イベントホール公演のことを聞きつつも、「この子のときはこれをテーマに」と事前に考えました。めいさちゃんのときは、自分の中では「お笑い」がテーマでしたね。

長久弦

長久弦

めいさ いえーい!

くるみ 笑い!?

長久 なんとなく場面場面が全部笑いで終わるようにしました。

めいさ 私はワードセンスが独特と言われることが多くて、話していることの意味が伝わらないこともあるんですけど、弦さんには不思議と全部伝わりました(笑)。

長久 確かにワードセンスは一番あるなと感じました。インタビューの中で出てくる言葉に対して「あ、こういうたとえがあるんだ」と思うこともあって、ちょっと勉強にもなった。あと寧々ちゃんのときは、1年前にアイドル未経験の状態でグループに入って、これまでたくさん練習してきたんだろうなと、インタビューを通して伝わってきてちょっと感動しました。パフォーマンス面でほかのメンバーについていくのも大変だろうけど、ライブを観たときは全然遜色なく感じたから、よほど努力したんだろうなと。毎回その子のファンになった気持ちで映像を編集していました。

矢吹寧々 私もすごく緊張して言葉をちゃんとまとめられなかったんですけど、聞き方をいろいろと変えてくださったりしたおかげで、思っていることをちゃんと伝えられた気がします。

長久 6人それぞれに個性を感じましたが、中でもくるみさんは一番芯を食った話をする人だなという印象でしたね。彼女だけボイストレーニングに密着したんですけど、「こういうところにこだわってるんだな」と感じました。何するにしてもリーダーのようにメンバーのことを見ているし。この話をいただいたとき、最初にライブを観に行ったんですよ。そしたらこの子たち、「大丈夫?」と思うくらいずっと歌っていて。30分くらいノンストップでパフォーマンスしているから「すっげえな」と思ったんですね。で、その源はくるみさんにあるんだなとボイトレを見て実感した。密着を通してデビアンの遺伝子みたいなものが見えてきました。

くるみ そのときのボイトレ、うまくいかなかったんですよ。喉の調子が悪くて。自分の中で用意していた課題をクリアできなかったんですけど、弦さんがいたおかげで面白くて濃い現場になっていました(笑)。

Devil ANTHEM.

Devil ANTHEM.

ドキュメンタリー撮影が救いになった

──今のデビアンは、10年以上活動しているオリジナルメンバーの竹越さんや、1年前に加入したばかりの塩崎さん、矢吹さんが同じグループでともにステージに立っているところが面白いですよね。ドキュメンタリーでは、ライブパフォーマンスでは伝わってこないそれぞれのドラマが見えてきます。

長久 マネージャーの方にメンバーの過去の動画をもらって、それぞれの映像に使ったんですけど、その素材を観ると昔は本当に子供だったんだなと。

くるみ あの映像、ヤバかったです(笑)。私、真っ黒でしたよね。小さい頃の映像を自分で観るのって本当に嫌なんですよ(笑)。イモすぎて見てられない。ツインテールで「おんなのこけいさつ」をレッスンしている映像も含まれていましたけど、あのときのことは1mmも覚えてないです。あっという間に大人になったんだなと、映像を観て感じました。ゆめかえで(橋本と安藤)がビラ配りをしている映像も懐かしかった。

 私、すごい声が高かった。

長久 ゆめかえでの2人の関係はずっと変わってないなと感じましたし、昔の素材をいろいろ観たことで、デビアンのことがだいぶわかりました。

──メンバー自身も昔の映像を観たり、個別インタビューを受けたりしたことが、自分を見つめ直す機会になったのでは?

くるみ そうですね。私はインタビューを受けたとき、実は少しスランプに陥っていて。ファンの方からデビアンの軸とか核と言われることが多いけど、自分の中ではそんな気がまったくしてなかったんです。デビアンの活動を始めた小学6年生のときから「アイドルはこうあるべき」という理想像が自分の中にあって、それは今でも変わらないのに、世間の流行が変化していったというか。デビアンがちょっとずつ大きくなっていく中で、グループの見られ方もどんどん変わってきたし、自分の軸は同じままなのに“みんなの思っている竹越くるみ”にならなきゃいけない葛藤を感じていました。だからインタビューでは涙を流さないように話すのに必死で、ネガティブな本音を言ってしまうのも怖いし、自分の気持ちからどうポジティブな要素をすくい上げて発信したらいいのか、そこが難しかったです。

Devil ANTHEM.と長久弦。

Devil ANTHEM.と長久弦。

長久 なるほどね。

くるみ でも、落ち込んでいた時期にドキュメンタリーのインタビュー撮影があって救われました。1日中デビアンやワンマンのことを考えつつ、「どうやって話そう」「今自分はどう思ってるんだろう」と思いを巡らせることができたので。自分の思いを言葉にすることで考えを整理できたし、すごくすっきりしました。自分のインタビュー映像を観ていて自分で泣きそうになりました(笑)。

 私はほかのメンバーが私についてコメントしているシーンを観て泣きそうになっちゃいました。「こんなふうに思ってくれてたんだ」って。すごく愛を感じました。

橋本侑芽 私も今回のインタビューをきっかけに、自分と向き合う時間を作れました。現実から逃げていたところもあったけど、デビアンで叶えたい夢が改めて明確になりましたし、本当にこの機会をいただけてよかったです。

 私はいつもインタビューで話すうちに発言がどんどんネガティブになっちゃうんですよ。弦さんとは初対面だったからちょっと猫を被ってましたし、あまり深い話をできた気がしていなくて。あれで大丈夫でした……?

長久 もちろん大丈夫。いい内容だったと思います。それぞれの色が出たなと。最初は各インタビューを10分くらいにまとめる予定だったけど、気付いたら20分弱の尺になっちゃって。インタビューしながらいいエネルギーをもらいました。

くるみ 「#0」のメンバー全員のトークは、みんなめちゃくちゃ猫かぶってましたけど(笑)。