沖縄が生んだ総体重555kgの“ビッグ”な歌謡パフォーマンスグループ・デラックス×デラックスが、結成10周年という大きな節目を迎えている。圧倒的な歌唱力と確かな演奏技術、そして“SP”と呼ばれる3名のパフォーマーを擁する唯一無二のステージングで全国各地のファンを圧倒してきたデラデラ。6月には、10年の歩みを凝縮したような“和”の全部乗せキラーチューン「キンレンカ」を配信リリースした。7月20日には、バンド史上最大規模となる東京・SGC HALL ARIAKEでワンマンライブを開催。9月には“第2の故郷”と公言する大阪でのNHK大阪ホール公演も控えており、その勢いは増すばかりだ。
音楽ナタリーでは、アサガオ(Vo)、サクラ(Dr)、SPシダ(上手守備)の3人にインタビューを実施。ライブ三昧の日々で磨き上げられた「準備のいらないエンタメ論」から、新曲の制作秘話、そして「世界をデラデラ色に染める」という野望まで、10周年の現在地をたっぷり語ってもらった。
取材・文 / ナカニシキュウ
憧れの生活ができている
──近年のデラックス×デラックスは、おそらくライブ三昧の日々を送っている感じですよね。
アサガオ(Vo) 確かに、月に3本か4本はライブして、どこかしらの地方へ行って……という生活なので。でも、もう慣れたもんですよ。1、2週間ライブしてないだけで相当“やってない感”を覚えてしまう程度には。
シダ(上手守備 / SP) 初めてのツアーの頃に比べたら協力してくださる方々も増えているので、移動の無茶がなくなっていたりとか、疲労感などは感じにくくなったのかな?というのはありますね。
サクラ(Dr) 自分はめちゃくちゃ楽しいです。やっぱライブハウスが好きだし、まだ47都道府県すべてを回り切れていないからこそ、今の状況はすごく楽しいですね。
シダ 小旅行感あるしね。
アサガオ バンド冥利に尽きるというか。「車1台で全国を回る」っていうのは地元沖縄にいたときからの憧れではあったので、その生活ができている喜びはあります。
シダ うんうん。日々すごく楽しいですね。
アサガオ 上京1年目や2年目のときはまだ移動にも慣れていなかったし、ワンマンライブ自体に慣れていなかったので常に緊張感がありましたけど、今はみんなでご当地のごはんを楽しみにする程度の余裕が出てきました。ライブ自体にも、「こういうふうにしてみようか」と柔軟に臨めるようになってきています。
──バンドとしての“あるべき姿”に近付いているし、そのあり方に体がなじんできてもいる?
アサガオ そうですね。やっぱライブしてるときが一番“生”を実感するというか、日々暮らしている中で最も興奮状態にあるのがライブ中なので。あのアドレナリンは、たぶんほかでは味わえない。
コンサートというより体験型アトラクション
──デラックス×デラックスのライブの魅力を、まだ体験したことがない人に説明するとしたらどういう言い方をしますか?
アサガオ これはライブハウスに限った話になるかもしれないですけど、私的には「五感で楽しめる」のがライブだと思っていて。音、つまり聴覚はもちろんなんですけど、我々はダンサーもいてパフォーマンスがっつりで、照明などの演出にもこだわっているので、視覚でも存分に楽しめます。あと、家で音楽を聴くだけでは味わえない、音の振動を皮膚で感じることもできる。これが触覚で、現場の空気感って匂いも含めたいろんな情報が混ざって伝わるものだと思うんですね。人混みの匂い、照明の匂い、スモークの匂い……ライブハウスって独特の匂いがあると思っていて。
──嗅覚は記憶に強く結び付くと言われますしね。
アサガオ あの場での飲食ならではの味覚の楽しみもあるから、本当に五感すべてに情報が束となってぶつかってくるのがライブだと思うんです。ただ音楽を聴くだけではない、体験、体感がある。それをより、デラックス×デラックスのライブは“非現実感”という部分で突出させていると思っています。
サクラ デラックス×デラックスはコミックバンドのように見られることもありますけど、笑えて楽しめるコミカルな要素を確かな演奏力をベースにしっかり届けられる、というのが個人的には推しポイントかなと思っていて。人を楽しませるというところはもちろん大事にしているんですけど、それには第一にバンドの演奏が上手でなければいけない。アサガオの歌がうまいのも込みで、1人ひとりがちゃんと技術を磨いたうえで成り立っているものなので、ライブのクオリティが高いところは推していきたいですね。
シダ 音楽を聴くコンサートというよりは、私たちの場合は体験型アトラクション的な部分があるかなと思ってるんです。だから、初めての方でもハードルが低い。「みんなで腕振って踊ろう!」というような「ジャンボリミッキー!」的な要素もありますし、同時に高い演奏力で圧倒するパフォーマンスもするし、いろんなことが2時間程度の中に詰まっている。チケット代以上の価値がしっかり詰まったものを自分たちは提供できているかな、という自信はあります。
アサガオ ライブに来るための準備がいらない、というのはだいぶ強みだと思っていますね。本当に何も知らずに来ても楽しめるように、有名曲のカバーをやるとか、初めて聴くオリジナル曲でも、誰もがすぐに参加できるよう工夫しているので。そういう意味で、友達を連れて行きやすいんじゃないかなと勝手に思っていて。ライブに友達を誘うのって、「まず音源を聴いてもらって好きになってもらわないと誘いづらい」とかあると思うんですけど、うちはそんなの関係ないですから。「ちょっと映画観に行こうよ」くらいの感覚で誘える手軽さがあって、でもその手軽さとは裏腹に、すさまじい情報量とカロリーが提供される。そのよさがあると思っていますね。
準備しなくていいエンタメって大事だなと
──そこにはやはり、皆さん自身が「受け手としてそういうものが観たい」という思いがあるんでしょうか。
アサガオ そうですね。やっぱり、いろんな人と出会いたいんですよ。だから間口は広く開けておきたいし、そのうえで何度でも通いたくなるような中毒性も併せ持ちたい。だから味は濃くしています(笑)。入り口はあくまでも「簡単に踊れる」「知ってる曲がある」とかだけど情報量は多い、みたいな。そのバランスですよね。私がそういうものを好きなだけだと思うんですけど。
──それって、何か原体験はあるんですか? 例えば「この人のショーを観て、自分もこういうふうにやりたいと思った」というような。
アサガオ 友達のライブとかを観に行くと、「友達という関係性があるから楽しめてるな」と感じることが多いんですよ。そうじゃなくて純粋に楽しめるものは何かといったら、やっぱり1話完結の映画。「アベンジャーズ」で言えば、いきなり「エンドゲーム」だけを観ても仕方ないっていうか、ちゃんと「アイアンマン」から順を追って観なきゃいけないじゃないですか。そういうエンタメももちろん好きだしいいんだけど、入りづらさは否めないですよね。私がやるならディズニー映画のような、その1作品だけでも成立するものをやりたい。準備しなくていいエンタメって大事だなとすごく感じているので……とは言え、シリーズものも好きだから、ディズニーでいえば過去作のパロディがちょっと入ってくるように、既存のファンを喜ばせるギミックも残しつつ、それがなくても成立するものを目指しています。
シダ だから、お客さんの層も10代から80代ぐらいまで幅広いですしね。
アサガオ なんなら1ケタ歳ぐらいまでいる(笑)。おばあちゃん、娘、孫の3世代で来てくださる方もいますし……地元のお祭りとかって、そういうことが起こるじゃないですか。私が生まれ育った沖縄はお祭りが盛んで、みんなでお祭りを楽しむ文化が根付いているんですよ。私の“誰でも楽しめるエンタメ”を重んじる価値観は、そこで育まれたものだと思います。一番根っこにあるものというか。
サクラ それでいうと、地元にシャッフル同盟っていう「ガンダム」のトリビュートバンドがいて……。
アサガオ・シダ 懐かしいー!
サクラ 私はガンダムを一切通ってなかったんですけど、その人たちのライブはそれでも楽しいんですよ。ガンダムネタをやっているのに予備知識がいらないっていうのは本当にすごいなと思って、それは今のアサガオの話と通ずるものがありますよね。あと、それに近いことでいえば、私がプレイヤーとして憧れているバンドはゴールデンボンバーさんなんです。演奏は一切していないので、「プレイヤーとして」は間違ってるかもしれないですけど……。
──いえ、間違っていないと思います。彼らは「演奏をしない」というパフォーマンスに長けた名プレイヤーたちなので。
サクラ 「人を楽しませる」というところに振り切ったとがり方が、自分に刺さってしまったんだと思いますね。曲を知らなくても楽しめるし笑えるし、本当に尊敬しています。
シダ 自分はマイケル・ジャクソンに憧れてダンスに興味を持ち始めて、そこからストリートダンスにのめり込んでいったんですけど、あるとき「ダンサーが評価するポイントって、ダンスをやっている人にしかわからないことが多いな」と気付いたんですよ。もっと誰が観ても楽しめる、それこそマイケルのようなダンスパフォーマンスをしたいと考えるようになった時期に、ちょうどデラックス×デラックスの活動に誘ってもらって。ストリートダンスのシーンとはまったく異なる場所でパフォーマンスを作るということが、そのときの自分のやりたい方向性と合致していたんですよね。交わるべくして交わったな、と思っています。
──皆さんが見事に、しかも自然に同じ方向を向いているんですね。
アサガオ そうですね。仲間うちでワイワイと「こういうの面白いよね」ってギャグみたいに言い合ってきたことを、私たちは1個1個実現してきたんです。結成当時、周りは誰も全国ツアーができるようなバンドになるとは思ってなかったけど、私は「絶対にそうなる」と言ってたんで。それがちょっとずつ現実になっていってるから、やめられないですよね。まだまだやりたいことはたくさんあるし。
サクラ 何か1つ実現したら、また次のやりたいことが出てくるだけなんで。その繰り返しですね。
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ボスは強いほうが楽しい / 全部乗せ新曲「キンレンカ」




