アーティストが意図したありのままの音を限りなく正確に受け取りたい。オーディオブランド・Bowers & Wilkinsのノイズキャンセリングヘッドフォン「Px7 S3」は、そんなリスナーの純粋な願いに応えてくれる逸品。同ブランドの最高峰スピーカーを支えるエンジニアチームが手がけるぜいたくなサウンドを手軽に体験できるのが大きな魅力だ。
本特集では清塚信也に「Px7 S3」を体験してもらい、そのサウンドの本質に迫った。幼少期よりピアノの英才教育を受け、クラシックの厳格な土壌に裏打ちされた技術と知識を有し、ありとあらゆるジャンルに深い造詣がある清塚。豊かな知見とプレイヤーとしての鋭い感性を持つ彼は、この製品で音楽をどう聴いたのか。ディテールまで鮮明に語られたリアリティあふれるレビューをお届けする。
取材・文 / 森朋之撮影 / 須田卓馬
Bowers & Wilkinsとは
ありのままの音=“True Sound”を追求するオーディオブランド。専属エンジニアが開発した卓越した音響技術により、録音されたサウンドを忠実に、驚くべき正確さとリアリズムで届ける。フラッグシップの「800 Series Diamond」は、Abbey Road Studiosをはじめ世界的なスタジオでモニタースピーカーとして採用されているなど、世界中の音楽のプロフェッショナル達から絶大な信頼を集める。
Bowers & Wilkinsの「Px7 S3」とは
ブランドのフラッグシップスピーカー「800 Series Diamond」のサウンドを担当するチームが手がける、圧倒的に高音質なノイズキャンセリングヘッドフォン。音質、デザイン、使い勝手を高いレベルで兼ね備えている。薄型でスタイリッシュなデザインは頭にフィットし、それにより音楽に没入できる。周囲の環境に合わせて自動的に最適化されるノイズキャンセリング、高品位な通話や外音取り込み、30時間連続再生が可能なバッテリーも搭載する。性別を問わずに取り入れられる豊富なカラーバリエーションとアルミニウム、ファブリック、シンセティックレザーによる所有欲を満たす仕上げも魅力だ。
すべての楽器の音が適切な音量と距離で聞こえてくる
──Bowers & Wilkinsというブランドについて、清塚さんはどんな印象をお持ちですか?
Abbey Road Studiosでモニタースピーカーとして採用されているブランド、というイメージが強いです。職業柄、ヘッドフォンに関してさまざまな情報が回ってくるんですが、Bowers & Wilkinsはとても評価が高くて、いろんなところから「いい音だよ」という声が聞こえてくるんですよ。以前からしっかり試してみたいと思っていたので、こうやってリスニングの機会をいただけてとてもうれしいです。
──以前から評判を耳にされていたんですね。そんなBowers & Wilkinsの製品の中から、ノイズキャンセリングヘッドフォン「Px7 S3」を体験していただきました。まずは率直なご感想をお聞かせください。
とてもよかったですね。音楽には、作編曲家や演奏家はもちろん、スタジオのエンジニア陣も含めて多くのプロフェッショナルが携わっている。つまりいろんな人の感性や技術が重なり合って1つの作品ができあがるわけですが、それがどれくらいの精度で伝わるかはリスナーの皆さんの環境によって大きく左右されますよね。スピーカー、イヤフォン、ヘッドフォンなどの機材によって聞こえ方がまったく違うし、バンドやオーケストラの楽曲の場合は、聞こえない音さえありますから。それは音楽家にとって大きな問題ですが、「Px7 S3」は作り手が届けたいものがそのまま再現されているのが感じられて、本当に素晴らしかったです。私の作品を含めていろいろな楽曲を「Px7 S3」で試しましたが、すべての楽器の音が適切な音量と距離で聞こえてくる。理想的なバランスで音楽を届けてくれるヘッドフォンだと思います。
Vaundyや藤井風を「Px7 S3」で聴いた印象は?
──今回はBowers & Wilkinsスタッフが厳選した、「Px7 S3」の性能を存分に味わっていただける楽曲を清塚さんに試聴してもらいました。ポップス、クラシック、ジャズなどさまざまなジャンルの楽曲を聴いていただきましたが、それぞれの印象を教えてください。まず、Vaundyさんの「napori」はどのように聞こえましたか?
緻密なサウンドメイクが施された楽曲ですね。アーティキュレーション、つまり音の切れ目にこだわっていることがはっきり感じられました。例えばベースとドラムを合わせるとき、短く音を切るのか、少しサスティーン(音の持続や余韻)を残すかによってリズム感が変わってくるし、楽曲全体のニュアンスにも関わってくる。「Px7 S3」で聴くと、Vaundyさんがこの曲で何をやろうとしていて、どこに意識を置いているのかがわかると思います。低音だけではなく、シンセやギターの高音でもそれが感じられるのが素晴らしいです。
──藤井風さんの「ガーデン」も、「Px7 S3」の重厚感のある低域表現を存分に楽しむことができる1曲です。いかがでしたか?
低音の処理、コーラスの重ね方など細部に至るまでご本人の意図がしっかりと感じられました。藤井さんはレコーディングが大好きとおっしゃっていて、楽曲制作から録音、ミックスに至るまで、すみずみまでこだわり抜いているアーティストです。「Px7 S3」で藤井さんの曲を聴けば、いかに丁寧に作られているかを理解してもらえるんじゃないかな。ヘッドフォンが一番いいバランスでミックスまでしてくれているような、不思議な感覚もありました。
音楽家として「なんで知ってるの!?」と驚くバランス
──クラシックは、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73『皇帝』」を聴いていただきました。
ベートーヴェン以外のオーケストラの楽曲も聴きましたが、ホールの鳴り、空間の音の広がりを感じることができました。クラシックのファンは家でコンサートと同じような音響を体感するために、オーディオにこだわっていらっしゃる方が多いんですよ。「Px7 S3」で聴けば、それに限りなく近いリスニング体験が得られると思います。作品によっては演奏するときに出るノイズや椅子がきしむ音、ピアノのペダルを踏む音なども聞こえてきますが、クラシックが好きな方にとってはそれもいい味になるはず。つまり、すごく臨場感があるんですよね。オーケストラの録音はとても難しい。簡単に説明すると、複数のマイクで録って、バランスを考慮しながらミックスしているんですよ。指揮者は「金管楽器は抑えて」「弦楽器はもっと大きく」というふうに、その作業を演奏中にやっているんですが、それを録音作品として成立させるために、カラヤン(指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤン)の時代から多くの音楽家やエンジニアが試行錯誤してきた。でも「Px7 S3」でオーケストラ音源を聴くと、音楽家として「なんで知ってるの!? こうしてほしいって言ったっけ!?」と驚いてしまうほどバランスがいい。違和感がまったくなくて、まるで我々と一緒に音楽を作ってくれているようなヘッドフォンだと感じました。
──音楽家、リスナーの双方にとって最適なヘッドフォンだと。
まさにそうだと思います。ビル・エヴァンスの「Waltz for Debby」も「Px7 S3」を体験するうえでオススメしていただきましたが、よかったです。1961年にニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードで行われたライブを録音した作品で、決して録音状況はよくないものの、ローファイならではの温かさがしっかりあって。
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映画サントラで新発見、テクノの低音やロックの爆音にも対応











