今年5月に、かねてからの目標であった日本武道館公演を成功させ(参照:a flood of circleが初武道館ワンマンで見せた“通常運転”ぶり、結成20周年に示した無骨なスタンス)、自らのロックンロールを堂々と提示したa flood of circle。歩みを止めない彼らは、8月に20周年記念ベストアルバム「革命未遂の蝶が見る夢」をリリースし、その直後から来年まで続くロングツアーに出発する。
ベストアルバムのリリースを前に、音楽ナタリーでは佐々木亮介(Vo)と[Alexandros]の川上洋平(Vo)の対談を企画。両者の対談は、2011年11月以来2度目となる。あれから15年、激動の音楽シーンの中でそれぞれのスタイルを貫いてきた2人は、今何を語り合うのか? 今年4月にa flood of circleの対バンツアー「20周年記念ツアー “日本武道館への道”」で実現したひさしぶりの共演を振り返りながら、お互いの変化と変わらない軸を確かめ合い、リスペクトあふれるクロストークを繰り広げてくれた。
取材・文 / 後藤寛子撮影 / AOI
そこに昔のフラッドはいなかった
佐々木亮介(a flood of circle) 改めて、「20周年記念ツアー “日本武道館への道”」に出演いただきありがとうございました。やっぱり[Alexandros]は、武道館の前、ここぞというときに呼びたかったんです。本当に出てくれるとは!と思って、うれしかったですね。しかも、[Alexandros]のライブ中にフラッドの曲を盛り込んでくれたりして、「マジか!」と思いました。
川上洋平([Alexandros]) こっちも呼んでもらってうれしかったんですよ。昔の写真を使った限定Tシャツも作らせてもらっちゃって(笑)。
佐々木 昔、当時[Champagne]のメンバー4人で暮らしてる家に遊びに行ったときの写真ね。
川上 そう。俺のベッドで、佐々木くんと渡邊(一丘 / a flood of circle[Dr])くんと3人で寝ているところを撮った写真を、Supreme風のTシャツにしました(笑)。
佐々木 洋平くんとは不思議な縁があって。数年前に個人の方が運営している自動車教習に通っていたんですけど、担当のおばちゃんに「佐々木さん、バンドやってるんですか」って言われて。「最近、もう1人音楽やってる人がいるんですよ、確か川村洋平……」って言うから「それ、川上じゃないですか?」と(笑)。それが本当に洋平くんで、そこでひさしぶりに再会したんです。「じゃあ一緒に教習通おうよ」という展開になり、おばちゃんを挟んで3人で車に乗ってました。
川上 面白い先生なんだよね(笑)。僕も佐々木くんとは縁があるんだなと思っていたら、この前対バンが実現して。ひさしぶりに観たフラッドのライブは、めちゃくちゃカッコよかったですね。始まる前は、もっと懐かしさを感じるのかなと思っていたけど、いい意味で昔のフラッドはいなかった。もちろん映像を目にすることはあったけど、実際に生で観ると、今こうなってるんだ!と思って、ギターで殴られたような気持ちでした。何より、佐々木くんのフロントマンとしての覚悟が伝わってきて、これがバンドを背負うということなんだと教えていただきました。悔しいくらい、カッコよかったです。
佐々木 これだけ褒めてもらえると気持ちいいなあ(笑)。俺から見た洋平くんは、みんなが「こうなりたいけどなれない」と思うことをずっとやっている人。ハイブランドの服が嫌味なく似合うロックバンドの人なんて、洋平くんかThe Strokesのジュリアン(・カサブランカス)くらいですよ。歌とか歌詞、佇まいもトータルでみんなの夢を叶えている存在で、今も昔も見ていて気持ちいいんですよね。洋平くんは映像で観るよりも生で観ると気持ちよさがひとしおで、シンプルにカッコいいな!と思いました。
カッコいいバンドには、カッコいいフロントマンがいてほしい
川上 対バンのあと何回かメシに誘ったんだけど、スケジュール的に行けていなかったから、今日対談できてうれしいです。言いたいことが本当にいっぱいあって。
佐々木 ヤバ(笑)。
川上 まず、フロントマンというか、佐々木くんが1つのキャラクターになってるなと感じたんですよ。
佐々木 いやいや……それこそ洋平くんになりきれないから逆張りした感じですよ。洋平くんのカッコよさって、もちろん歌や作曲センスやルックスもあるけど、一番はここまで突き抜ける勇気で。正直者じゃないですか。教習で会ったときに感動したんだけど、俺からしたら「もう足りないものはないだろう」と思うような存在なのに、「俺はまだ売れたい」みたいな話をしていたんです。「ドラえもんでもポケモンのタイアップでもなんでも来いだから!」って(笑)。
川上 ははははは!
佐々木 タイアップって作品のために曲を書くわけだから、いい化学反応を生むという言い方もできるけど、悪く言えば主人公を譲らなきゃいけないときもあるじゃないですか。でも、洋平くんは何も気にせず、俺は俺としてもっとヤバい存在になればいいということしか言っていないように聞こえて。いろいろ葛藤はあるかもしれないけど、自然体でそう言っているのが素敵だなと思ったんです。そういう人を見ると……例えば今回の対談も、洋平くんは絶対カッコいい髪型や衣装で来るだろうから、俺は革ジャンで酒飲みながらいくか、と逆張りするしかないわけ(笑)。フラッドが今ライブで入場SEをかけない、リハーサルをしないというのも、ほかのバンドがリハしてるし、SE流してライブやってるからその逆張りをしたらオリジナルになれるかなと思ったんだよね。
川上 そういうことか。すごいな。
佐々木 そもそも、俺がやってるような、グレッチを持って革ジャンを着ることってバンドマンとして普通のことじゃないですか。そこは、もう記号的にやっているから。
川上 今、それがめっちゃ様になってると思うんだよ。15年前に対談したときはまさに記号的なものを意識してやっていたと思うし、そういう意識も必要であることを教えてもらったような気がしていて。でも、今はもう佐々木くんにしかできないレザーの着こなし方だし、なんならもう肌になってる。
佐々木 マイレザーってこと?(笑)
川上 服に着られてない。やっと自分のレザーを着こなせるところに来たんだな、ロッカーになりたい少年がロックンローラーになったんだなって、生意気ながらに思いましたね。そこまで自己プロデュースできる人はいないと思う。いい音楽を作ることは大事だけど、そのうえでアイコンになれる人はなかなかいないから。カッコいいバンドには、カッコいいフロントマンがいてほしい。佐々木くんはその境地にたどり着いたなと思いました。
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リアムもカートも◯◯は言わない
![佐々木亮介(a flood of circle)×川上洋平([Alexandros])対談|盟友2人が熱弁するロックバンドの楽しさ](https://ogre.natalie.mu/media/pp/afoc-alexandros/afoc-alexandros_pc_header.jpg?impolicy=pp_image)


