7co芦田菜名子インタビュー|テレビアニメのオープニング曲でメジャーデビュー!海外でも7coの音楽を広めたい

芦田菜名子(Vo)と音楽プロデューサーのRYUJAによる音楽プロジェクト・7coが、7月5日スタートのテレビアニメ「正反対な君と僕」第2期にオープニングテーマ曲「猫じゃらし」を提供。放送初日にリリースしたこの楽曲でアリオラジャパンからメジャーデビューを果たした。

音楽ナタリーでは7coのメジャーデビューを記念して芦田にインタビュー。髪をバッサリ切ってメディアへの顔出しを解禁した彼女に、その心境の変化やメジャー進出への意気込みを聞いた。

取材・文 / 真貝聡

RYUJAのサプライズコメントにうるっと

──この取材部屋に入ったとき、一瞬誰かわからなかったです。

ハハハ、これまではサングラスをかけてましたもんね(笑)。あと、髪を切ったんですよ。去年の12月ぐらいに髪を短くして、顔出しもすることにしました。

「MUSIC AWARDS JAPAN WEEK SPECIAL LIVE - Shibuya Sound Scramble 2026 -」の出演シーン。(Photo by Mizuki Tsuji)

「MUSIC AWARDS JAPAN WEEK SPECIAL LIVE - Shibuya Sound Scramble 2026 -」の出演シーン。(Photo by Mizuki Tsuji)

──去年インタビューをしたときは、人前に出ることや自分が被写体になるのも苦手で、なるべくミュージックビデオにも出たくないし、写真撮影も苦手と言っていましたよね。何か心境の変化があったんですか?

今も自分の顔を積極的に出したいわけではなくて。写真を撮られるのも好きじゃないし、そこは変わらずですけど、7月にメジャーデビューをするにあたって、新しいことができたらと思って始めた試みの1つですね。

──髪を切って素顔を公開したことで、反響はありました?

たくさんありました! 今まで連絡がなかった人たちからも反応をもらえたりとか、インスタの閲覧数と「いいね」の数も一気に増えました。一方で、ベリーショートの時代が長かったので、地元の子とひさしぶりに会ったときは何も言われなかったです(笑)。「かわいくなったね」とか言ってくれよ、と思いましたけどね。

──ハハハ。変化でいえば、最近はメディアの出演が増えていますよね。

そうですね。特に、ラジオに呼んでいただける機会が増えました。今もしゃべることは苦手ですけど、前よりはだいぶ声が出るようになった気がします(笑)。

──4月に出演されたラジオ「CULTURE RADIO via TOKYO」で、RYUJAさんのサプライズコメントが紹介されたときに泣きそうになったとか。

「菜名子ちゃんはどんな人ですか?」みたいな質問に対して、RYUJAさんが私のことを褒めてくれたんですよ。いつも一緒に曲を作ってて「菜名子ちゃんすごいね」みたいなことは言われないので、いい言葉をもらえてうれしかったのと、急に聞き慣れた声が聞こえてきてびっくりして、思わずうるっとしました。

──うれしい言葉とサプライズと安心感も相まって、心にグッときたと。

はい、けっこうグッときましたね。出演前、スタッフさんに「RYUJAさんは今日のラジオを絶対に聴いてくれるよ」と言われたんですよ。それ、どういう意味だろうと思ってて。

──ハハハ、そういう匂わせる発言があった。

私は何も知らなかったから「わざわざ聴かないですよ」と言って、いざ出演して「あ、そういうことだったのか」と。知らなかったのは私だけでした(笑)。

──7coの活動を続ける中で、お二人の関係性に変化はありますか?

いい意味で変わってないですね。プライベートで飲みに行くこともないですし、あくまで仕事のパートナーとしての距離感。でも最近は「もっとこういう曲を作りたいよね」と直接話す機会を設けてもらってるのもあって、前よりもRYUJAさんのことを理解できるようになりました。7coの活動以外には、お互いにどんな曲が好きなのかを話したりして。知り合って7、8年も経つのに、そういう会話をしてこなかったんですよ。それは大きな変化かもしれないですね。

ラブジェネのオマージュ

──「CULTURE RADIO via TOKYO」は、4月に配信リリースされた「さつきちゃん」の宣伝も兼ねた出演でしたね。うるっとされた話につなげると、この曲をレコーディングするときも芦田さんは涙が出そうになったとか。

「さつきちゃん」はすごく気持ちを入れて歌えるんですよ。この曲は男性スタッフさんから聞いた元カノとの恋愛話をもとに作っているので、身近な実体験のおかげで歌うときも気持ちが込めやすくて。そんなに悲しい話ではないはずなのに、なんでだろうな? 特に落ちサビは涙を我慢しながら、必死にレコーディングしましたね。

──これまでは空想でラブソングを書かれていた中、実際の恋愛をもとに曲を作るのは芦田さんにとっては新しいアプローチですね。

そうなんです。最近は人の話をもとに歌詞を作ることをしてて、その1つが「さつきちゃん」。この曲はスタッフさんの恋愛体験と、ドラマ「ラブジェネ」(1997年放送フジテレビ月9ドラマ「ラブジェネレーション」)の要素も組み合わせました。

──「ラブジェネ」の要素というのは?

私が「さつきちゃん」のリリックビデオを作ったんですけど、要所要所に「ラブジェネ」っぽい画を差し込んでいて。例えば43秒の川とビルが映っているシーンは、DVD-BOXのジャケットにも使われているカット。2分3秒の冷蔵庫の落書きは、片桐哲平(木村拓哉)の冷蔵庫に上杉理子(松たか子)が「スケベ」と書いたオマージュなんです。今初めて「ラブジェネ」の話をしたので、まだ気付いてる人はいないと思います。

全部お酒の曲になっちゃって(笑)

──5月に配信リリースされた「真夏のパンクリアス」も面白い曲ですね。

私、意識的に人に会う時間を作ろうと思って、2月から5月くらいまでお酒の席にたくさん参加していたんです。それでデモを3曲作ったら、全部お酒の曲になっちゃいました(笑)。一緒に飲んでいた人が「お酒って肝臓を通って、膵臓に行くんだよ」と教えてくれたので、最初は「膵臓」というタイトルだったんですけど、さすがに突飛すぎるかなと(笑)。英語の「パンクリアス」ならかわいいかもと思い直し、夏の曲だから「真夏のパンクリアス」にしました。

──歌詞は、今晩だけは意中の“あいつ”のことを考えず、お酒も飲まないと誓うんだけど、でも結局はお酒を飲んであいつを欲してしまう。そんな主人公の人間臭さが印象的でした。

これも知り合いから聞いた話をもとに作った曲です。一緒に買い物をしていた友達が、離れている間も「この小物をあげたいな」とか「この食べ物がおいしかったから、今度誘いたいな」と思い浮かべる人がいると話していて、「これって恋なのかな?」と聞かれたんです。その言葉はだいぶクサいし、よくある発想だけど、みんなが共感できることだからすごくいいテーマだなと思って。それをきっかけに曲を書き始めて、曲中の女の子はついつい思い出してしまう男の子を忘れるためにお酒を飲む、という歌詞にしました。

──「おやすみ東京」のフレーズもいいですね。地名が入ることでリアリティが出るし、想像力がよりかき立てられました。

「おやすみ東京」というフレーズは、7coを始める前に別名義で作った曲のタイトルから取りました。これは聴いた人それぞれの解釈でいいんですけど、実は「真夏のパンクリアス」の主人公は最後に死んでしまうというストーリーにしているんです。“あいつ”のことが好きすぎて、心臓が痛くて自殺してしまう。だから「おやすみ東京」は睡眠ではなくて、安らかな眠りという意味で書きました。一見すると暗い曲ではないのに、本当は悲しい歌詞なんです。

──7coで生死を歌った曲は、今までなかったのでは?

うん、確かに。最近はテーマを決めるんじゃなくて、シナリオを書くように結末まで考えて歌詞を書くようになってきてます。

小さい頃の夢が叶った瞬間

──改めて「さつきちゃん」「真夏のパンクリアス」をはじめ、「Unmellow」「Lonely Night」「stay tune」など、7coの音楽は夜に合う曲が多いですね。

夜に曲を書くことが多いからなのかな、と思います。あと、夜になったら人ってネガティブになることが多いと思うし、私もけっこうネガティブになって寝られないことが多いから、自然と夜っぽい色が出てるのかな。ただ、今回のメジャーデビュー曲は全然夜じゃないんですけどね(笑)。

──そこが新鮮でした。そもそもメジャーデビューの話を聞いたとき、率直にどう思いましたか?

決まったのは去年で、その日のことは鮮明に覚えてますね。まず7coのグループLINEに「メジャーデビューが決まりました」と連絡が来て。その後、RYUJAさんから朝イチで電話がかかってきて「やったね!」と言われたんです。普段電話をすることがないので「あ、RYUJAさんも相当喜んでるのかな」と感じました。今はメジャーとインディーズの差がなくなってきてるじゃないですか。別にメジャーデビューすることを重視して活動しなくてもいい。そういう価値観が広がってると思うんですけど、私としては小さい頃の夢が叶った瞬間だったので、やっぱりうれしかった。何よりRYUJAさんや周りの人が喜んでいるのが一番うれしかったです。