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サカキナオ 三文ロマンスショー
哀しくもおかしい人間の業を極上のダンストラックに昇華
文 / 森朋之
もうムリだとわかっていても未練を断ち切れず、この関係をはっきりさせるべきだと頭では理解しているはずなのに感情を抑制できない。アンビバレンスという言葉では収まりきらないほどのアレヤコレヤを抱えながら、快楽と破滅がせめぎ合うヤバい恋愛に振り回される──。サカキナオの8thデジタルシングル「三文ロマンスショー」は、哀しくもおかしい人間の業を極上のダンストラックに昇華した楽曲だ。
最初に耳に飛び込んでくるのは、しなやかにして獰猛なベース、そして、絡み付くようなボーカル。さらに電子オルガンの美しい音色、エレキギターの野蛮なフレーズ、切れ味と厚みを兼ね備えたビートが加わり、極上のファンクサウンドが立ち上がる。後半にはサカキナオ楽曲の特徴である鼓の音も挿入される。西洋と東洋がせめぎ合う“独創的オリエンタリズム”と称すべき音像が実現しているのだ。
「『やっぱちゃう』? ちょちょちょちょ待ってくれよ」というパートをはじめ、日本語の響きを生かしたグルーヴにも注目してほしい。「っ」「ゃ」「ょ」など促音や拗音をちりばめた英語的な音響や、日本語の情緒を想起させる言葉選びはここにきてさらに精度を上げ、「ドラマチックでロマンチックでサディスチックな話さ」というリリックが楽曲のフックになっている。激しすぎる感情の波をリアルに描き出すメロディとリンクした、サカキナオの歌の表現も素晴らしい。
やや大げさな物言いかもしれないが、マイケル・ジャクソンと桑田佳祐がコラボしたらこんな曲になりそうだな……などと思わずにはいられない。まずは踊りながら、次に歌詞をじっくり読みながら聴いてみてほしい。常識や理性からこぼれ落ちる何かを表現するのがポップミュージックの醍醐味だと、改めて実感してもらえるはずだ。
サカキナオ「三文ロマンスショー」Music Video
サカキナオ
シンガーソングライター。eggmanとNTTドコモと吉本興業が立ち上げたNTTドコモ・スタジオ&ライブによる、次世代バンドおよびグローバルアーティストの発掘・育成を目的としたオーディション「Catching Wave Audition 2024」にて、2024年1月に初代グランプリを獲得。プロジェクト内で発足されたレーベル・Scrum Wave Musicより、第1弾シングル「神退治」を10月に配信リリースした。最新作は2026年5月にリリースされた第8弾シングル「三文ロマンスショー」。
サカキナオ(@sakakinao_official)|TikTok
