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秘めごと「小説家」ジャケ写

秘めごと 小説家

シュルレアリスム的な思考で作り上げた、独創的オルタナティブロックでメジャーデビュー

森朋之

音楽、絵画、映像、物語などを融合させたアートフォームを模索していた木天蓼(Composer)が詩音(Vo)の歌声に出会い、運命的な結び付きの中で結成されたバンド・秘めごと。「リンネ」「劣等感」「シアン」といった楽曲、現実と寓話を行き来するような映像によって支持を広げてきた2人がついにメジャーシーンに進出した。

メジャー1stミニアルバム「くろいもり」は、シュルレアリスム的な思考、つまり理性や論理で形作られる現実だけでなく、無意識や夢、偶然の連想の中に潜む、より豊かな世界をテーマに制作された作品。その中心を担っているのがリードトラック「小説家」だ。鋭さと憂いを内包したギターのフレーズから始まる「小説家」の音楽的な基盤となっているのはオルタナティブロック。切ない疾走感に貫かれたビートの中でギターと歌が生々しく絡み合い、楽曲に込められた情景、物語、感情を際立たせていく。ベース、ピアノのアレンジも独創的で、リピートするたびに発見があるのもこの曲の吸引力につながっている。

「苛立ってるんだ 言葉なんて」で始まる歌詞にも奥深い魅力がある。自分の感情も思考も結局は言葉で表すしかない。どんなに書いても真実にたどり着けないことはわかっているのだが、結局は「書き尽くしてしまった」と「それでもペンは動いてる」という揺れの中で生きていかざるを得ない──これはもちろん筆者の捉え方であり、受け取り方は聴いた人の数だけ存在するのだろう。特筆すべきは、凛とした透明感から不安定な情感までをナチュラルに描き出す詩音の歌。抽象的な手触りもある「小説家」の世界にリアルな身体性を与える表現に触れてもらえれば、彼女のシンガーとしての才を実感できるはずだ。

楽曲単体でも十分に素晴らしいのだが、ミニアルバム「くろいもり」全体を通して聴けば、その奥深さはさらに増すだろう。ぜひさまざまな角度から、いろいろな想像や空想を巡らせながら聴いてみてほしい。そう、リスナーの積極的な解釈によって、自由に音楽の世界が広がっていく感覚もまた秘めごとの魅力なのだから。

秘めごと「小説家」ミュージックビデオ

秘めごと「小説家」
2026年7月8日(水)配信開始 / MoooD Records
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作詞:秘めごと / 作曲:木天蓼 / 編曲:木天蓼、UK

秘めごと(ヒメゴト)

2021年に結成された詩音(Vo)と木天蓼(Composer)による2人組バンド。オルタナティブな楽曲で鮮明な情景や心情を描き出す。2026年4月に単独公演「狼煙」を東京・東京キネマ倶楽部を開催。6月には初の韓国ワンマンライブを実施した。7月にミニアルバム「くろいもり」をリリースし、バンダイナムコミュージックライブ内レーベル・MoooD Recordsよりメジャーデビュー。同月よりライブツアー「森羅」を兵庫、愛知、東京を舞台に行う。