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AYANE はなればなれ
あなたのいない世界で大人になっていく──AYANEが描き出す「はなればなれの愛」の物語
文 / 高岡洋詞
大人っぽくなった。それがAYANEの新曲「はなればなれ」を聴いてまず思ったことだ。
声が太く、強くなった。中低音域の成分が増したことで、悲しみの表現に深みが加わった。高く伸びる箇所も痛々しくならずに柔らかさを保っている。その柔らかさは「今は悲しいけれど、明日も生きる」という強さである。生きていればまたいいこともある。そう信じて生きるしかない。有頂天とどん底の急速往復運動から少しずつ脱しながら、人は大人になっていく。
「はなればなれの愛 あなたのいない世界」とイントロなしのサビ始まりでリスナーをハッとさせつつ、冒頭で曲のテーマを告げる。一転してラップっぽい独り言のようなヴァースで寂しさを伝えながら、物語に引き込んでいく。
サビ前の「ごめんね分かり合えなくて」という切実な叫びから、自ら発した言葉にかき乱されるように、AYANEの心は再び激しく動き出す。繰り返されるサビはメロディを変え、多重録音のコーラスを交えながら熱を増していく。この頃にはもう完全にリスナーは巻き込まれている。ラストは畳みかけるような落ちサビから、ピアノだけを従えたポストコーラスでふたたびひとりぼっちに戻って、終幕。
ストーリーテリングの技術の向上が目覚ましい。AYANEはこの曲で「生きれないもう会えない」と歌っているが、先に述べた通り声が大人っぽくなっているので、ちょっとお姉さんの立場から、女の子たちを見守りながらかつての失恋を振り返っているようなニュアンスを感じさせる。この歌い手と感情の距離が大事で、歌の味わいはそこで豊潤さを増していくのだ。
キャリア的にも年齢的にも、AYANEはこれからシンガーとしてもソングライターとしても充実期を迎える。デビュー時から卓越していた歌唱力に自分と他者の感情を噛みしめる力が加わって、さらに大きく成長していくだろう。些細な(他人にはどうでもいい)理由で彼女に一方的に恩義を感じている僕は、これからもAYANEの歌を聴き続ける。
- AYANE「はなればなれ」
- 2026年6月3日(水)配信開始 / BIG UP!
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作詞:AYANE、Haruhito Nishi
作曲:AYANE
編曲:Haruhito Nishi
AYANE(アヤネ)
2002年生まれ、関⻄出身。飾ることのない等身大の言葉を、確かな歌唱力と自由度の高いパフォーマンスで表現するシンガーソングライター。TikTokやYouTubeを中心に、オリジナル楽曲やカバー動画を発表している。2022年7月にリリースしたシングル「泣きたい夜」はSpotify バイラルチャートで3位を獲得。その後も精力的にリリースを続け、「bye bye」「Love U」「ごめんね」などの楽曲でティーンを中心に大きな話題を呼ぶ。2026年5月にはシングル「はなればなれ」、同年6月にはEP「H.E.A.R」を発表。リリースを記念して、代官山UNITにてワンマンライブ「AYANE ONE MAN LIVE 2026 "H.E.A.R"」を開催した。
AYANE(@ayane__official)・TikTok
