King Gnu「CEREMONY」ツアー幕張で終幕、オーディエンスと共に熱狂を作り出す

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King Gnuのライブツアー「King Gnu Live Tour 2020 AW "CEREMONY" Tour」の最終公演が、昨日12月6日に千葉・幕張メッセ国際展示場4~6ホールで行われた。

「King Gnu Live Tour 2020 AW "CEREMONY" Tour Final in Makuhari Messe」の様子。

「King Gnu Live Tour 2020 AW "CEREMONY" Tour Final in Makuhari Messe」の様子。

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最新アルバム「CEREMONY」を携えて行われた今回のツアーは、当初は2月下旬に開幕予定だったが新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて2度にわたって延期に。11月上旬にスタートしたものの、全公演の動員を各会場のキャパシティの半分以下に抑えて敢行された。ツアーの追加公演となった幕張メッセ公演も全席指定制のうえ、観客同士の席を1席ずつ空けるなど徹底した感染予防対策が講じられた。また、会場に足を運べない人のため生配信が行われ、国内のみならず海外のファンもツアーファイナルを見届けた。

「King Gnu Live Tour 2020 AW "CEREMONY" Tour Final in Makuhari Messe」の様子。

「King Gnu Live Tour 2020 AW "CEREMONY" Tour Final in Makuhari Messe」の様子。[拡大]

1964年に行われた東京オリンピックの開会式の実況中継が終わると、大音量で「開会式」が流れ出し、ステージがゆっくりとスモークで覆われていく。そして、常田大希(Vo, G)が「幕張!」と叫んだのを機に、聖火台を模したオブジェに炎が灯された。ドラマチックなオープニングでライブの幕が上がったところで、4人は「CEREMONY」の2曲目に収録されている「どろん」をプレイ。常田と井口理(Vo, Key)の絶妙な掛け合い、新井和輝(B)と勢喜遊(Dr, Sampler)の拮抗するようなプレイを聴かせるナンバーを挨拶代わりに届け、全員が絶好調であることをオーディエンスに印象付けた。常田の軽妙なカッティングギターが冴える「Sorrows」、井口の繊細なボーカルが魅力の「Vinyl」というライブではおなじみの楽曲を挟んで始まった「It's a small world」では、新井と勢喜の生み出すグルーヴに乗せてオーディエンスが体を揺らし、手を高く掲げる。飛沫防止のためシンガロングはできないものの、それぞれが思い思いのスタイルで4人の奏でるサウンドに身を委ねた。

常田大希(Vo, G)

常田大希(Vo, G)[拡大]

大会場の特性を生かしたさまざまな演出も、観客や視聴者を楽しませたこの日のライブ。「白日」では真っ白な光がステージを包み込み、井口の切々としたボーカルや、喪失感を歌った楽曲の世界を引き立てる。一方で「飛行艇」では照明が赤く切り替わり、ステージに炎が上がるなど、スケール感あふれるサウンドを際立たせていた。曲ごとに異なる多彩な演出の中でメンバーは堂々としたプレイを披露。勢喜の手数の多い軽快なドラムソロが光る「Overflow」を経て「Slumberland」が始まると、常田は拡声器を手に練り歩き、「自由に踊ってな」とオーディエンスの熱狂を煽る。しかし、常田がアジテーターとしての存在感を放ったのもつかの間のこと。「Vivid Red」で彼は軽快にピアノを奏でながら、井口と朗らかなハーモニーを紡ぎ、音楽家としての多彩さを見せつけた。「The hole」では井口の包容力のある歌声を支えるように、新井が奏でる荘厳なシンセベースや常田が弾くピアノの旋律、勢喜が刻むリズムが響く。曲のクライマックスではステージがまばゆい光で包まれ、オーディエンスの視線を釘付けにした。

井口理(Vo, Key)

井口理(Vo, Key)[拡大]

ストイックな演奏とは相反して、MCは緩い雰囲気に。井口は常田と楽屋で遊んでいるというCCレモンゲームをし始めるも、一瞬で井口が負けてしまう。クスクスと客席から笑い声が漏れる前で彼は「みんなの時間を無駄にしちゃったからもっと無駄にするようなことをしていいですか?」と観客が声を出せないのを逆手に取り、沈黙を最大限楽しむと宣言。当然のことながら空調の音だけが聞こえるというシュールな事態に観客が戸惑う中、常田は「こんなご時世で、音楽業界は俺らだけじゃなくていろんなミュージシャンが大変な状況ですが、半分でもお客さんを入れることができて。足を運んでくれる人がいて、それで俺らも回っているので本当に感謝しています。ありがとうございます」とファンに素直な思いを伝えた。

新井和輝(B)

新井和輝(B)[拡大]

勢喜遊(Dr, Sampler)

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「ユーモア」「傘」といったメロディアスなミディアムチューンや、ライブの起爆剤としても作用するアグレッシブな「Tokyo Rendez-Vous」など、新旧のナンバーが織り交ぜて披露された後半戦。井口の儚げな歌声が浮かび上がる「破裂」からシームレスにつなげられた「Prayer X」では、新井の弾く重厚なシンセベースの音をバックに、常田と井口が声を重ね、哀切をにじませたハーモニーで会場を満たした。しかし、穏やかな雰囲気を断ち切るように井口が「あと2曲!」と宣言し、ライブはクライマックスへと突き進んでいく。爽快かつエネルギッシュなロックチューン「ロウラブ」に続いて投下されたのは「Flash!!!」。スモークが盛大に焚かれ、ライトがフラッシュのように激しく明滅する中で、4人は歌詞さながらにブレーキも歯止めも効かない、血湧き肉躍るようなパフォーマンスを繰り広げた。

「King Gnu Live Tour 2020 AW "CEREMONY" Tour Final in Makuhari Messe」の様子。

「King Gnu Live Tour 2020 AW "CEREMONY" Tour Final in Makuhari Messe」の様子。[拡大]

「千両役者」パフォーマンス中の様子。

「千両役者」パフォーマンス中の様子。[拡大]

アンコールを求める拍手に応え、「CEREMONY」の幕引きを告げる「閉会式」をバックに再びステージに現れた4人。井口はすうっと息を吸うとマイクを握りしめ、「三文小説」を噛みしめるように歌い出した。その声に寄り添うように、常田の低音のコーラス、新井が弾く豊穣なシンセベース、勢喜のダイナミックなリズムがアンサンブルを奏でる。ラストでは井口の柔らかな声が会場中に広がり、優しい空気がオーディエンスを包み込んだ。歳を重ねることの美しさを歌った「三文小説」に続いたのは、10代のきらめきともどかしさを歌った「Teenager Forever」。曲の終盤では金銀の紙テープが舞い、スモークが柱のように吹き上がる中でライブは大団円へ。と思いきや、この日はツアーファイナルということでダブルアンコールが用意されていた。メンバーは勢喜のカウントを合図に新曲「千両役者」になだれ込み、無数のレーザー光線と火炎というド派手な演出を交えながら、鬼気迫るようなセッションを展開していく。一方で客席にはステージから放たれるすさまじいエネルギーを浴びながら、拳を突き上げるオーディエンスの姿が。その景色にはコロナによる制約を受けながらも、これまで以上の熱狂を作り出していこうとするKing Gnuとファンの力強い意思が反映されているようだった。

なお、この日のライブのアーカイブ映像はStagecrowdにて明日12月8日23:59まで視聴可能。配信チケットは12月8日18:00まで販売されている。

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King Gnu「King Gnu Live Tour 2020 AW "CEREMONY" Tour Final in Makuhari Messe」2020年12月6日 幕張メッセ国際展示場4~6ホール セットリスト

SE. 開会式
01. どろん
02. Sorrows
03. Vinyl
04. It's a small world
05. 白日
06. 飛行艇
07. Overflow
08. Slumberland
09. Vivid Red
10. Hitman
11. The hole
12. ユーモア
13. 傘
14. Tokyo Rendez-Vous
15. 破裂
16. Prayer X
17. ロウラブ
18. Flash!!!
<アンコール>
SE. 閉会式
19. 三文小説
20. Teenager Forever
<ダブルアンコール>
21. 千両役者

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撮影:伊藤洸祐 / 小杉歩

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