再生数急上昇ソング定点観測 (2026年5月4週目) [バックナンバー]
超特急は“夢中になること”を全力で応援する / aespaに似ているけどaespaではない“別の存在” / Ado「春に舞う」はわずか3分17秒の青春映画
今、盛り上がっている曲 / これから盛り上がりそうな曲について詳しく解説
2026年5月22日 18:30 1
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで5月8日から5月14日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングでは、当連載の4月4週目でリバイバルヒット中であることを取り上げた
サカナクション「夜の踊り子」ミュージックビデオ
5位にはVACHSSの「Replace to be」が登場した。VACHSSはにじさんじに所属する、
VACHSS「Replace to be」ミュージックビデオ
47位にはAzariの「Scapegoat(feat. ロス)」がランクインした。これはアクションRPG「ゼンレスゾーンゼロ」に登場する“氷の処刑人”の異名を持つキャラクター、プロメイアをイメージして作られた楽曲。MVはそのダークで危うい魅力をより際立たせる映像となっている。
Azari「Scapegoat(feat. ロス)」ミュージックビデオ
76位に登場したのは、2015年7月に20歳という若さで亡くなった、椎名もたの「少女A」だ。2013年10月に発表されたこの曲は、2020年代に入ってTikTokでミーム化したことをきっかけに海外でも人気が拡大。今年5月11日には、ボカロオリジナル曲として史上初となるYouTubeでの2億回再生を達成し、これが話題になって今回初のチャートインに至った。
椎名もた「少女A」ミュージックビデオ
新旧入り交じるネット発のヒットソングが存在感を放った今週は、下記の3曲をピックアップする。
超特急「ガチ夢中!」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場22位
今作のMVは“夢中になること”の楽しさと熱量を表現した、前向きなエネルギーに満ちた映像に仕上がっている。応援団に扮したメンバーが“小人サイズ”となって、何かに打ち込む人々のそばで全力のエールを送るというユニークな設定で、“超特急が超特急を応援する”というメタ的な構図もユーモラスだ。コミカルな演出と勢いのあるダンスシーンが交互に展開し、楽曲の“トンチキ感”と本気の熱さを鮮やかに両立。見ているうちに自然と背中を押されるような、幸福感あふれるMVとなっている。
aespa「WDA(Whole Different Animal)(Feat. G-DRAGON)」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場37位
今作のMVは、現実の自分とアバターという“もうひとりの自分”が共存するaespaの世界観を、さらに深化させた映像だ。暗く無機質な空間で繰り広げられるパフォーマンスを軸に、47秒付近では鏡像のように現れる “もうひとりの自分”が本人の動きと重なり、オリジナルとコピーの境界を曖昧にしていく。さらに2分31秒以降には歪んだ道路や標識のカットが差し込まれ、2分39秒付近では人影が不自然に落下することで、現実そのものが崩れていくような不穏さを強調。重厚な映像美と緊張感のある演出によって、Whole Different Animal=別の存在へと変貌していく感覚を鮮烈に描き出している。
Ado「春に舞う」「今日、好きになりました。」バージョン
Ado「春に舞う」「今日、好きになりました。」バージョン
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場45位
5月12日に配信リリースされた
「今日好き」の名シーンと重なることで、「春に舞う」が持つ“恋のきらめき”と“切なさ”がより鮮やかに浮かび上がるこの映像。制服姿の男女10人が教室で出会い、それぞれが少しずつ心の距離を縮め、最後にはニュージーランドの美しい海をバックに結ばれていくまでが描かれており、わずか3分17秒の映像ながら、まるで1本の青春映画を観たような満足感を味わえる。
印象的なのは、ドラマチックな展開だけでなく、視線が交わる一瞬や、すれ違う距離感といった“恋が始まる前の空気”を丁寧に切り取っている点だ。Adoの力強くも繊細な歌声が、その曖昧で尊い感情をより鮮明に映し出し、恋のはかなさと希望が同居している。
- 真貝聡
-
ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。
バックナンバー
- (2026年6月2週目) M!LKが歌う“あなたも誰かのアイドル”という主張 / 「マチアプリンセス」が描く令和恋愛あるある / ポルノグラフィティ「みんなのうた」に大人も感動
- (2026年6月1週目) STARGLOWは“どう生きるか”を問いかける / BE:FIRST・MANATOが雨の向こうに映す希望 / 素朴すぎるラッパー・源治麿のどこが魅力?
- (2026年5月5週目) 「歌姫失格」が示す初音ミクという存在の特異性 / Aぇ! groupは不ぞろいで“でこぼこ”なのが魅力 / 櫻坂46「Lonesome rabbit」に感じる強い意志
- (2026年5月3週目) 大森元貴は不安も“人生の催し”として肯定する / 宇多田は「ちびまる子ちゃん」をどう解釈したか / JI BLUEが歌うのはサッカーの枠を超えた応援歌
- (2026年5月2週目) 銀狼LV.999「HoYoHoYoにしてあげる♪」とは? / キタニタツヤの現実にも仮想にも回収されない歌 / WHITE JAMはいい曲なのに映像がヤバすぎ
- もっと見る
音楽ナタリー @natalie_mu
今週は…
🔸超特急は“夢中になること”を全力で応援
🔸aespaに似ているけどaespaではない存在?
🔸Ado「春に舞う」は3分17秒の青春映画だ
詳しくは👇
https://t.co/lyPzTVSpAs
今盛り上がっている曲について解説する連載
🔭#再生数急上昇ソング定点観測🔭 https://t.co/BXKuLxVok5