「若い頃は、絶対にブレないことが強さだと思っていた。でも今は、揺らぎながらも根っこを持っているほうがかっこいい」。
そんな言葉を語った黒木メイサが復讐に生きる孤高の刑事を演じた、Huluオリジナル「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」の第1話・第2話が7月24日に一挙独占配信開始となる(全5話)。黒木は本作で約3カ月のアクショントレーニングを経てスタントなしで挑んだアクションだけでなく、強さの裏にある孤独や悲しみをも体現している。
黒木にとって11年ぶりの連続ドラマ単独主演作となる本作。役作り、小島健(Aぇ! group)や奥田瑛二ら共演者との現場、そして今の自分が考える“強さ”について話を聞いた。
取材・文 / 金須晶子撮影 / 清水純一
ヘアメイク / 中野明海(Nakano Akemi)スタイリスト / 亘つぐみ@TW
Huluオリジナル「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」予告編公開中
Huluオリジナル「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」人物相関図
孤独や悲しみも含めて、八神瑛子を演じた
──夫の死の真相を追って復讐に突き進むマル暴の刑事・八神瑛子というキャラクターのどんな部分に惹かれましたか?
もともと、何かを抱えながらも信念を持って戦う女性キャラクターに惹かれるところがありました。ただ、今回の八神瑛子は強い女性というだけで終わらせたくなかったんです。彼女が抱える孤独や悲しみ、人間らしさみたいな部分も丁寧に表現したいなと思いながら演じていました。
──瑛子はただ強いだけではなく喪失や葛藤も抱えた人物でしたね。今の黒木さんだからこそ、この役に重ねられた感情もあったのでしょうか。
そうですね。人生経験を積んできた今だからこそ共感できる部分はあったと思います。自分の命を捨ててでも守りたい存在がいるという感覚も、10代や20代の頃に演じるのとは違って、今だから表現できるものがあったのかなと。
──映画ナタリーの読者には、廣木隆一さんが監督を務める点に注目している方も多いと思います。キャラクターについて、監督陣とはどんなやり取りをされたのでしょうか。
廣木監督が最初からおっしゃっていたのは「1話から5話にかけて瑛子の成長を見せたい」ということでした。瑛子は復讐心や憎しみだけで動いているわけではない。その言葉はずっと意識していて、真実を追い求めていく中でも、彼女の繊細な感情のブレみたいなものを丁寧に演じたいと思っていました。廣木監督は、あまり細かく説明をせず「ちょっとこれ言ってみて」とか「次はこれやってみて」と現場で投げてくださることが多いんです。その場で生まれるものを大事にされる方なんだなという印象です。
──例えばどんな演出があったか覚えていますか?
(第1話の)橋の上のシーンですね。瑛子が夫・雅也が死んだとされる場所に行って思い出を振り返ったりする場面で、「ちょっと『バカヤロウ!』って叫んでみて」と言われたんです(笑)。あの言葉はもともと台本にはなかったんです。そういうふうに現場で感情が立ち上がって生まれた瞬間はいくつかありました。
中国マフィアは“息抜き”、組長は“本当に怖い人”
──クランクイン前に考えていた瑛子像と、実際に演じる中で新しく見えてきた一面はありましたか?
台本で読んでいた以上に、(瑛子と協力関係にある中国マフィアの)インリー(演:りょう)とリカ(演:藤本ルナ)とのシーンは大事なものになりました。瑛子って裏社会やグレーな立場の人たちと関わるときも基本的にはすごく冷静で。でもインリーとリカに対しては、少し心を許している部分があるのかなと演じながら感じました。
──確かにインリーやリカとの場面では瑛子の表情も少しやわらかく見えました。
ちょっと息抜きみたいな感覚はありましたね。私自身も。
──撮影現場も、女性チームのシーンと上野中央署の男性陣とのシーンでは空気が違いましたか?
自然と空気感は変わっていた気がします。役を通して接することが多かったので、リカたちとはカメラが回っていないときも自然と距離が近かったというか。リラックスできる部分がありました。上野中央署では「瑛子さん、瑛子さん」って慕ってくる後輩もいれば、瑛子のことをよく思っていない人もいる。また全然違う空気感でしたね。
──敵も味方もひと筋縄ではいかない人物ばかりですが、黒木さんご自身が「この人は怖いな」と特に感じたキャラクターはいましたか?
うーん……やっぱり組長役の奥田瑛二さんかなあ。怖いというか「本当に怖い人ってこういう空気なんだろうな」みたいな(笑)。奥田さんご自身はいつもすごく気さくでにこやかな方なんですけど、役として瑛子に向けるちょっとした視線とか間の取り方は背中がゾクゾクする感じがありました。奥田さんとは、きちんと共演するのは3回目なので久しぶりにご一緒できるのを楽しみに現場へ行ったら「おお!」と迎えてくださって、一緒に写真も撮ってくださいました。優しい大先輩です!
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小島健と本気でぶつかり合えたアクション


