特集上映「パフォーマンス・アート:身体と空間をめぐる映画祭」が8月1日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開される。パフォーマンスアートのシーンを創造し、革新してきた先駆者たちのドキュメンタリー5作品をラインナップ。日本初公開および劇場初公開の作品がそろった。
パフォーマンスアートは、アーティストやパフォーマーの身体そのものを表現の核としながら、文学、演劇、戯曲、音楽、建築、詩、映画など、あらゆる表現媒体を横断する不定形のアート。時代の先端にあるメディアやテクノロジーなども積極的に取り込みながら、根源的な生々しい感情や、その時代や社会への問いを表現する。長らく美術界の主流とはみなされていなかったが、近年パフォーマンスアートが芸術祭で表彰される機会も増え、このジャンルに注目が集まっているという。
ラインナップには、ダンスに革命をもたらしたマース・カニングハムの生誕100周年を記念した「カニングハム」、現代の身体芸術やジェンダー表現に多大な影響を与えた
さらに、ドイツ・バウハウスの舞台工房を率いたオスカー・シュレンマーが考案した舞台から彼の思想や影響を再解釈した短編「ピンク・シュレンマー」、“ビデオアートの父”と称されるナム・ジュン・パイクのパフォーマンス映像や手記を紐解きその生涯をたどる「ナム・ジュン・パイク 月は最古のTV」も公開される。各作品の詳細は以下にまとめた。
企画・配給はトレノバが担当。ポスタービジュアルには、さまざまなポーズをとるカニングハムがレイアウトされた。なお、特集の関連作品として、作曲家、歌手、演出家、振付家である現在83歳の
パフォーマンス・アート:身体と空間をめぐる映画祭
2026年8月1日(土)東京都 ユーロスペースほか全国で順次公開
ラインナップ
プログラムA「カニングハム」(原題「Cunningham」)(2019年)※日本劇場初公開
監督・脚本・編集:アラ・コフガン
撮影:ムコ・マルハシアン 音楽:フォルカー・ベルテルマン
出演:マース・カニングハム、キャロリン・ブラウン、
解説・あらすじ:ダンスの概念を根本から再定義した革命家マース・カニングハム。「音楽と振付は独立して存在する」という画期的な哲学や、偶然性を振付に取り入れる手法などにより、ダンスの新領域を切り開くパフォーマンスで世界に衝撃を与えてきた。本作は彼の生誕100周年を記念し、活動の軌跡を追ったドキュメンタリー。未公開のアーカイブ映像を通して、彼の哲学や肉声に触れ、生涯のパートナーであった前衛音楽の巨人ジョン・ケージをはじめ、ロバート・ラウシェンバーグ、
プログラムB「ブレイキング・ザ・フレーム」(原題「Breaking the Frame」)(2012年)※日本劇場初公開
監督・脚本・撮影:マリエル・ニトスラウスカ
編集:モニーク・ダルトン
出演:キャロリー・シュニーマン、ジェームズ・テニー
解説・あらすじ:パフォーマンスアートやフェミニズムアートの先駆者として50年以上にわたり活動し、現代の身体芸術やジェンダー表現に多大な影響を与えたキャロリー・シュニーマン。本作は、その生涯と芸術世界を実験的なアプローチで描いたポートレートドキュメンタリー。抽象画家としてキャリアを開始した彼女は、やがて自らの身体を素材として用い、1975年にフェミニズムアートにおける極めて重要で過激なパフォーマンス「Interior Scroll(体内の巻物)」を発表。女性への身体的抑圧に抵抗した作品群は、男性優位の美術界で女性のセクシュアリティや肉体性を生々しく提示し、世間に大きな衝撃を与えた。タブーに挑み続けたシュニーマンが感じた孤独や怒り、作品にかける情熱が、彼女の作品記録や絵日記、そして彼女の語る言葉によって浮き彫りになる。
プログラムC「ある日、ピナは尋ねた…」(原題「Un jour Pina a demandé...」)(1983年)※日本劇場初公開
監督:シャンタル・アケルマン
撮影:リュック・ベナムー、バーベット・マンゴール 編集:ドミニク・フォルジュ、パトリック・ミモーニ
出演:ピナ・バウシュ、シャンタル・アケルマン、ヤコブ・アナセン、アンヌ=マリー・ベナティ、
解説・あらすじ:ドイツ表現主義舞踊の流れを汲み、ダンスと演劇を融合した“タンツテアター”を現代に確立した、コンテンポラリーダンスの巨匠ピナ・バウシュ。本作は、映画史に名を刻む名匠シャンタル・アケルマンが、バウシュ率いるヴッパタール舞踊団の欧州ツアーに同行して作り上げたドキュメンタリー。説明的な手法を最小限に抑え、アケルマンの特徴である静謐な固定カメラと長回しを中心に構成。「コンタクトホーフ」や「カーネーション」といったバウシュの代表作の断片とともに、リハーサル時のダンサーたちの身体の躍動や息遣い、舞台裏の何気ない時間が切り取られている。タイトルの「Un jour Pina a demandé...(ある日、ピナは尋ねた…)」は、バウシュがダンサーに個人的な質問や課題を与え、そこから動きを引き出していく独自の振付手法に由来する。
プログラムC「ピンク・シュレンマー」(原題「Pink Schlemmer」)(2025年)※日本初公開
監督・撮影・編集・アニメーション:オリバー・フサイン
出演:タンヴィール・アラム
解説・あらすじ:2024年、トロントのゲーテ・インスティトゥートの保管庫から「マン・アンド・マスク:オスカー・シュレンマーとバウハウスの舞台」の古いプリントが発見された。1969年に制作されたこの作品は、1925年頃にバウハウスでオスカー・シュレンマーが試みた前衛的な舞台・ダンス作品を再現し映像として記録した作品で、フィルムは経年劣化で鮮やかなピンクとマゼンタに染まっていた。本作はこの華やかな色調を手がかりとし、パフォーマンスアートの源流の1つとして位置付けられるバウハウスの舞台工房を率いたシュレンマーのダンス、舞台表現、思想、そしてその影響を再解釈する。
プログラムC「ナム・ジュン・パイク 月は最古のTV」(原題「Nam June Paik: Moon Is the Oldest TV」)(2023年)※日本初公開
監督:アマンダ・キム
撮影:ネルソン・ウォーカー 編集:タリン・グールド テーマ音楽:
出演:ナム・ジュン・パイク、
解説・あらすじ:“ビデオアートの父”と称されるナム・ジュン・パイク。彼はアートとテクノロジーの境界を破壊し、インターネット普及のはるか前にデジタル社会の到来を予見した。本作は、彼のパフォーマンス映像や手記(俳優スティーヴン・ユァンによる朗読)などの膨大なアーカイブを紐解きながら、韓国から日本、ドイツ、アメリカへと渡り歩いた彼の生涯と、先駆的な活動やビジョンに迫る。彼が生み出した人々の想像を超えるアートがいかにして当時の大衆文化と交差したかが描かれるとともに、彼の人生を変えたジョン・ケージとの出会い、ヨーゼフ・ボイスやシャーロット・モーマンらとの過激なコラボレーションなど、フルクサスをはじめとした60年代から70年代にかけてのパフォーマンスアートのムーブメントとの深い関わりも浮き彫りとなる。
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「パフォーマンス・アート:身体と空間をめぐる映画祭」
プログラムC「ナム・ジュン・パイク 月は最古のTV」(原題「Nam June Paik: Moon Is the Oldest TV」)(2023年)※日本初公開
テーマ音楽:坂本龍一
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