本作は、骨折した義父の世話をするために田舎町へやって来た主人公・雄太の物語。彼は義父の誠が営む昔ながらの写真館の仕事を手伝いながら、東京にいる妻や娘と、スマートフォンで撮った映像を送り合う。大きな事件は起こらないが、日々のささいな出来事と記憶の連なりに“家族の人生”という長い時間の存在が浮かび上がってくる。柄本が雄太を演じ、穂志もえかが妻・ゆき、イッセー尾形が誠を演じた。
“9.11からの復興”を目的として、
「メモリィズ」は今年のインターナショナル・コンペティション部門に日本映画として唯一出品。長編映画を対象とした最優秀新人監督賞を選ぶ審査員の1人である俳優の
Q&Aでは「留守電の声を聞かせる」という演出を入れ込んだ意図を問う観客も。坂西は「一般的に、また経験上からも、人間の記憶から最初に失われていくのは声であるということを、記憶をめぐる物語の一環として表現に入れました。イメージは強烈な印象として記憶に残りやすいけれど、声はそうではないと感じています」と答える。
また、濱口竜介や小津安二郎の作品との共通性を感じた観客は、両者からの影響についての質問を投げかけた。坂西は「好きな監督なので影響を受けなかったとは言い切れないですが、プロットやセリフ中心の濱口監督の作品とは決定的な作り方の違いがあります」と述べつつ、「戦中の設定でも戦争を描かずに淡々とした日常の積み重ねを描く小津監督には、影響を受けているかもしれません」とも明かした。
「メモリィズ」は6月12日に東京・新宿ピカデリーほか全国で公開。出演者には梅沢昌代、伊佐山ひろ子、成田裕介、占部房子、香椎由宇も名を連ねた。
「メモリィズ」海外レビュー
The Reviews Hub
「メモリィズ」は、まるで初めて記憶の魔法に触れたかのように、私たちに生き生きとした感覚を与えてくれる。
Next Best Picture
この映画は、まるであたたかい抱擁のように、立ち止まってすべてを心に刻み、静かな体験であれ、他者と分かち合う体験であれ、できる限り多くの思い出を大切にしようと私たちに語りかけてくれる。坂西監督は長編デビュー作にして、すでに将来が楽しみな監督としての地位を確立している。
Asian Movie Pulse
穏やかで内省的な作品である本作は、日常の静かな美しさを捉えながら、記憶、距離、そして家族の揺るぎない絆を探求している。
Overly Honest Reviews
私たちは写真を撮ることもあれば、撮られることもある。「メモリィズ」は、その両面に美しさを見出し、家族、記憶、そして静かに消え去っていく人生にしがみつこうとする儚い願望について、深く人間的な考察を紡ぎ出す。
Filmhounds Magazine
濱口竜介やエドワード・ヤンを彷彿とさせる演出スタイルの坂西監督は、観客に感情や意図を押し付けることなく、それぞれの瞬間をじっくりと味わわせる。映像そのものが雄弁に語りかけ、坂西監督は映画監督としての抑制を利かせ、物語の親密で愛らしい本質を前面に押し出している。
映画「メモリィズ」本予告
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柄本佑主演「メモリィズ」が米ニューヨークで上映、監督・坂西未郁は記憶と“声”の関連語る
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