米澤穂信の同名小説を原作とする本作は、織田信長に反旗を翻した武将・荒木村重の籠城作戦を背景に、城内で次々と起きる怪事件を描く戦国系心理ミステリー。家臣たちが疑心暗鬼に陥る中、村重は地下牢に幽閉した敵方の天才軍師・黒田官兵衛とともに事件の謎に迫る。村重を本木、官兵衛を菅田、村重の妻・千代保を吉高由里子が演じた。村重を支える家臣として、郡十右衛門にオダギリ、乾助三郎に宮舘が扮している。
本作は2025年10月にクランクイン。京都・松竹京都撮影所をはじめ、世界遺産の姫路城や、明石城、篠山城、伊賀上野城、彦根城、東福寺、萬福寺などで約1か月半にわたり大規模ロケが実施された。10月1日に行われた本木の撮影初日、松竹京都撮影所では有岡城の一室で村重と千代保が語らうシーンを撮影。穏やかな会話劇も束の間、信長へと寝返った父を持つ少年・自念(演:槙木悠人)の乱入によって静寂が破られるこの重要場面は、台本にして4ページに及ぶ。黒沢は本木と吉高に立ち位置や動線を細やかに指示し、2台のカメラを用いた長回し撮影で緊張感を作り上げた。
黒沢は「近年読んだ小説の中でもっとも面白く、自分の手で映画化したいと思いました」と原作への思いを明かしつつ、撮影初日は内心に不安も抱えていたそうで、「どの現場でも初日はいつもそうです。事前に考えた演出プランが本当に成立しているのか、俳優が生身の人間として心身ともに演じることが可能なのか、それはできないと言われたりしないか、自分は俳優ではないのでいつも不安なのです」と胸中を吐露する。
11月には菅田が撮影に合流。松竹京都撮影所の地面が土のまま残る第6スタジオに建てられた地下牢セットでは、村重と官兵衛が対峙する場面が撮影された。順撮りで行われたこのシーンでは、本音と建前が入り混じる膨大なセリフの応酬が展開。長回しで繰り広げられる緊迫の会話劇について、黒沢は「本木さんと菅田さんの丁々発止のやり取り、楽しかったです。物語上の村重と官兵衛の関係と同じように、どちらかが圧倒したり、反撃したり。お二人の演技合戦は見ものだと思います」と自信をうかがわせた。
本作は11月半ばにクランクアップ。撮影を終え、本木は「振り返ったら、あの体験は奇跡だったんじゃないかと思うような、京都の地、そして黒沢さんの元でしか生まれ得ない貴重な時間を過ごさせていただきました」と感慨深げに回想する。黒沢は「初めてのことが多く、何が正しいのかを追求しながらの撮影は、日々大変でしたが新鮮でした。この年齢になりましたけれどもデビュー作のような緊張と興奮と目新しさがありました」と充実した表情を見せ、濃厚な撮影の日々を締めくくった。
映画「黒牢城」は6月19日より全国ロードショー。
映画「黒牢城」本予告
リンク
関連記事

映画ナタリー @eiga_natalie
本木雅弘「奇跡だった」、黒沢清との「黒牢城」撮影回想
菅田将暉・宮舘涼太・オダギリジョーの姿も(メイキング写真8点)
https://t.co/w8X4PFq3M6
#黒牢城 https://t.co/S5X5CMLKAP