NHKドラマ「手塚治虫の戦争」に高良健吾、原田琥之佑が出演 取材会で“マンガの神様”語る

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NHK大阪放送局が制作する特集ドラマ「手塚治虫の戦争」の制作発表取材会が5月7日に兵庫・宝塚市立手塚治虫記念館で行われ、キャストの高良健吾原田琥之佑、プロデューサーの田島彰洋が参加した。

NHK大阪放送局が制作する特集ドラマ「手塚治虫の戦争」に出演する高良健吾(左)と原田琥之佑(右)

NHK大阪放送局が制作する特集ドラマ「手塚治虫の戦争」に出演する高良健吾(左)と原田琥之佑(右)

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原作となるのは手塚治虫のマンガ「紙の砦」「ゴッドファーザーの息子」。1970年代の東京、マンガ家としてどん底にあった手塚は、自身の戦争体験をもとにしたマンガ「紙の砦」を描き始める。その頃手塚は少年誌の連載を打ち切られ、会社も倒産してすべてを失いかけていた。ドラマでは1970年代の手塚と、戦時下を生きる彼の分身“大寒鉄郎(おおさむてつろう)”の2人の物語が紡がれる。

「手塚治虫の戦争」あらすじ

1973年、東京。“マンガの神様”手塚治虫は、会社の倒産と少年誌の連載打ち切りによって、どん底へと転落する。多額の借金と、世間からの「終わった」という評価に追い詰められ、創作への自信すら失いかけていた。そんな彼の脳裏に、マンガを描くことすら許されなかった戦時中、少年時代のことがよみがえる。

1945年、大阪。中学生の大寒鉄郎は、軍事訓練と統制に縛られた日常の中で、ただ1人、マンガを描くことに心を燃やしていた。教師や同級生から「非国民」と蔑まれ、原稿を奪われてもなお、鉄郎の手が止まることはない。マンガ家への夢に向かってまっすぐに生きる鉄郎。ふとしたきっかけで彼のマンガに触れた同級生・明石健司や女学生・岡本京子との出会いは、鉄郎の日常に小さな変化をもたらしていく。仲間との青春の日々の中、戦火の足音はかけがえのない日常をゆっくりと浸食していくことになる。

過去の記憶に触れながらも、それを描くべきか迷い続ける手塚。戦争を描くことの意味、そして今の自分に何が描けるのか。交錯する2つの時代の中で、手塚の本能が目を覚ます。

1970年代の手塚治虫と、マンガ世界を行き来するドラマ

制作発表会で田島は「1970年代の手塚さんパートと、マンガ作品の世界のパートを行き来するドラマ」「原田くんのパートから撮影しているところです」と説明する。高良は「このドラマでは手塚治虫さんの(株式会社)虫プロダクション倒産など不遇の時代も描かれます。手塚さんの苦しみは、愛するものを突き詰めるが故に生まれる苦しみ。その苦しみを乗り越えるのも自分が愛するマンガへの信念、闘争心だと思います。それをドラマの中で演じきりたいですし、皆さんが知らない手塚治虫さんの一面を描けたらと思っています。この作品に携わることで知っていく、手塚さんのいろんな面にとても惹かれています」と挨拶。原田も「鉄郎は周りの空気を読まず、人に媚びない。でもなぜか人を集めてしまう、人から好かれやすい人。やりたいからやる、描きたいから描く。ある種の衝動的なマンガ欲、純粋な少年の遊び心を表現できたらと思っています。また、3年前に出演した特集ドラマ『軍港の子~よこすかクリーニング1946~』では、田島さんが監督を務めていました。そのとき僕は13歳で、表現したいものがあまりできず、悔しいものがあったのでそのリベンジができたらと思っています」と意気込みを述べる。

手塚に感じる“闘争心”

「手塚治虫に対してもともと持っていたイメージは?」と聞かれると、高良は「穏やかでクールな、マンガの神様というイメージ。自分が手塚さんに出会ったのは、小学校の図書室にあった『ブラック・ジャック』『火の鳥』だったと思います。このドラマに携わってからは、“闘争心”という言葉が手塚さんのイメージとして僕の中にあって。その中に色褪せないピュアさもあると感じています」と回答。原田は「穏やかだけど気難しい人だと思っていました。でも実際に調べてみて、少年心を忘れなかった偉大な人だと。マンガの神様というイメージ通りの方であり、すごくかわいらしい人柄だと思います」と続けた。

描きたいものがあふれてくる、そのハングリー精神がとても魅力的

2人は役の魅力にも触れる。高良が「自分の連載がだんだんなくなっていき、自分の会社が倒産していく時期にも手塚さんはマンガへの探究心を忘れず、いつまでも満足しない。最後の1秒まであきらめないマンガへの信念が魅力だと思います。亡くなる寸前までその信念はなくならなかっただろうなと」と尊敬の念を込めて話すと、原田は「(この役では)理由なく、描きたいから描くという部分が一番大切だと思っています。大金持ちになろう、みんなを驚かせてやろうじゃなく、ただ自分が満足するために描く。描いても描いても描き足らず、描きたいものがあふれてくる。そのハングリー精神がとても魅力的だと感じました」と語る。

役作りについて尋ねられると、高良は「資料を読んでいます。また当時虫プロで働いていた方に話を聞いて学んでいるところです」と答え、原田は「戦時中の人を演じるのが初めてなのでその訓練をしたり、手塚さんの少し独特なペンの持ち方でマンガを描いたり。また丸からできている(円を発想にしている)キャラクターが多いので、丸をいっぱい描いています」と述べる。

戦争に対する思い

「今回のテーマでもある戦争についての考えは?」という質問も。田島は「3年前に終戦ドラマをやらせていただきましたが、戦争に関しては“伝える”ということが一番のことだと思っています。どうしても遠くの出来事、他人事のようになってしまいがちですが、等身大の近くのものとして感じてほしいんです」「戦争は怖いもので、かけがえのないものを奪うものだと肌で感じてもらう作品作りを常に目指しています。2度と戦争を起こしたくないと思ってもらえる作品になれば」と真摯な思いを口にした。祖父から多くの戦争体験を聞かされてきたという高良は「祖父がよく言っていたのは『繰り返してはいけない』ということ。祖父からは言葉や生き方を通して、戦争についていろんなことを教えてもらいましたが、そういうふうに残してくださる方も少なくなってきている。だからこそ役を演じることで戦争の悲惨さなどを伝えられる仕事は、やりがいがあります」と述懐。原田は「実際に戦争の経験談を話してもらえる機会はあまりなく、教科書や授業などで習ったものしか知らないのですが、戦争を繰り返してはいけないし、誰もが忘れてはいけないものだと思っています。そして子供たちがどれだけ強く生きていたか、どれだけ『絶対に生き延びてやる』という気持ちがあったのかということも」と伝えた。

半自伝的作品「紙の砦」を読んで

原作の1つである「紙の砦」は手塚の半自伝的作品であり、主人公・鉄郎は手塚自身を表したもの。同作を読んだ感想を高良は「(戦時中から)終戦の日までマンガを描き続けて、戦争が終わったというときに『マンガ家になれる』と思ったというのはなかなかすごい発想だと感じました。戦争が終わった瞬間、それぞれいろんな思いがあると思いますが、彼は希望を持ったんです。手塚さんがいろいろなものを得て失った時期に、あの戦争体験で抱いたマンガへの思いをこの作品に描きたかったんじゃないかと。手塚さんの原点のようなものだと思いますし、向き合わなくてはいけなかったんだと思います」と表現する。原田も「やりたいものを持っているということが素晴らしいと感じたし、うらやましいです。そして原点となるような話をコミカルさも交えて描けるのはすごいなと思いました」と話した。

「手塚治虫の戦争」は8月放送予定。脚本は桑原亮子、演出は鈴木航が担当する。桑原、鈴木らのコメントは以下の通り。

特集ドラマ「手塚治虫の戦争」番組情報

放送日時

2026年8月放送予定

スタッフ・キャスト

原作:手塚治虫「紙の砦」「ゴッドファーザーの息子」
作:桑原亮子
制作統括:福岡利武
プロデューサー:田島彰洋
演出:鈴木航
出演:高良健吾 / 原田琥之佑ほか

桑原亮子(作)コメント

ベレー帽をかぶってニコニコしている、漫画の神様──皆さんが「手塚治虫」と聞いて思い浮かべるのは、このような像ではないでしょうか。
けれどもこのドラマは、そんなイメージの奥の、生身の人間・手塚治虫を追いかけます。人知れず悩み、苦しみながら、それでも生涯をかけて漫画で子どもたちを楽しませたいと願った人。その彼が、自身の戦争体験を元に凄絶な漫画を描きました。そこに込められた、時を超えたメッセージを感じ取っていただけると幸いです。

鈴木航(企画・演出)コメント

手塚治虫さんの「紙の砦」という短編を知ったのは20年以上前のことです。忘れられない印象的なタイトル、漫画が大好きな少年が見た戦争、それが手塚節のユーモアで描かれますが、ユーモアで包み切れない痛切さが胸に刺さりました。戦争の中でも漫画を描くことを手放さない少年の姿は、決して遠い時代の話ではなく、巨大な暴力の中で私たち一人一人がどうやって正気を保つのか、心に“砦”を築くのかという問いを突きつけてきます。
手塚治虫さんが漫画家人生の苦境の時期に、あえてこの特別な作品を描いたことにも、私は強い意思を感じます。ご本人にとっても描かなければならなかったテーマなのではないでしょうか。
このドラマは「紙の砦」の執筆に挑む手塚治虫さんの姿と、手塚さんが戦時中の少年少女たちの物語を通じて、描き残したメッセージに迫ります。すばらしい脚本を手に、魅力的なキャストの皆さんと「手塚治虫」という高い山に挑めることをうれしく思います。今も戦争が止むことのない世の中ですが、そんな時だからこそ、多くの方にこのドラマが届くよう力を尽くします。

田島彰洋(プロデューサー)コメント

戦後81年。時代がどれだけ進んでも、世界から戦争はなくなっていません。手塚治虫先生が「紙の砦」を描いたのも、遠い国で戦火が続いていた時代でした。
少年時代、大阪で空襲に遭い、その光景を「これは漫画だと思った」と語った言葉に、私は強い衝撃を受けました。
現実があまりにも過酷なとき、人はそれを物語として受け止めるしかないのかもしれません。
二度と同じ光景を繰り返してはならない──。子どもたちが大人になったとき、自らの意思で戦争を拒むことができるように。その思いを胸に、手塚先生は漫画を通して戦争と向き合い続けました。
その願いは、終戦ドラマという形でこの作品に向き合う私たちにも重なっています。このドラマが多くの方に届き、戦争が奪ってしまうかけがえのない日常の尊さに、少しでも思いを巡らせるきっかけとなれば幸いです。

※手塚治虫、宝塚市立手塚治虫記念館の塚は旧字体が正式表記

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てれびのスキマ/戸部田 誠 @u5u

NHKドラマ「手塚治虫の戦争」に高良健吾、原田琥之佑が出演 取材会で“マンガの神様”語る - 映画ナタリー https://t.co/H7la4NTveu

“ドラマでは1970年代の手塚と、戦時下を生きる彼の分身“大寒鉄郎(おおさむてつろう)”の2人の物語が紡がれる”

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