映画「
太平洋戦争開戦前夜の上海を舞台とする本作。世界各国の諜報員が暗躍していた時代、人気女優とスパイの2つの顔を持つ主人公ユー・ジンを主軸に、実在する上海の劇場・蘭心劇場で巻き起こる愛と謀略の物語をモノクロで描き出す。実写映画「ムーラン」などで知られるコン・リーがユー・ジン、オダギリが日本軍の暗号通信の専門家・古谷三郎に扮した。
4年ぶりの来日となったロウ・イエは「久しぶりに日本に来ることができて、とてもうれしいです」と挨拶。劇場の外で出番を待っていたオダギリは「映画の上映が終わったときに皆さんの拍手が聞こえました。なかなか映画館で拍手が沸き起こることはないと思うので、とてもうれしく思っています」と語った。
本作の題材を選んだきっかけについて問われたロウ・イエは「原作に惹かれた」と述べ、「上海は私にとって特別な場所なので、またいつか映画を撮りたいと思っていました」と明かす。さらに「映画の中にも登場する蘭心劇場には、両親の仕事の関係で幼い頃からよく出入りしていました」と自身との結び付きにも言及した。
主演のコン・リーをはじめ、マーク・チャオやパスカル・グレゴリー、トム・ヴラシアなど世界各国の俳優陣が出演する本作。オダギリの起用についてロウ・イエは「最初から決めていました。原作に出てくる役とは少し設定が違うのですが、原作を読んでオダギリさんにお願いしたいと考えていました」と当初からの強い意志だったと伝えた。中島に関しては、「物語を作っていくうちに、バイオレンスを担うキャラクターが欲しくなり、中島さんが演じた梶原を新たに追加しました」と説明する。しかしオンラインでの初対面時、中島の見た目があまりに“文学少年”だったため不安になったと言うロウ・イエ。彼が「本人が『やれます』と言ってくれたので任せることにしました」と話すと、中島は「そう言うしかないですよね(笑)。ロウ・イエ監督のファンでしたし、絶対出演したかったので無理やり信じてもらいました」と笑っていた。
上海での撮影に話が及ぶと、オダギリは「最初にキャストのみんなで集まったのは、(劇中に登場する)催眠術についての講義でした。先生が来て、実際に術をかけていくんです。国際的に活躍しているベテランの俳優みんな『本当に……? これで大丈夫なの……?』という気持ちが思いっきり顔に出ていて(笑)。同じように戸惑っていたので、不安を共有して仲良くなれました」と述懐。その現場に途中から参加したと言う中島は「入ったらその気まずい状況で『一体何が起きているんだ?』と。シュールな状況で、すごく怖かったです(笑)」と口にする。また、ロウ・イエの現場についてオダギリは「1つのシーンを何度も何度も繰り返し撮影するんです。リアルを追求する監督のこだわりが、画面に表れていると思います」とアピールした。
最後にオダギリは「モノクロの映画を映画館で観られるというのは贅沢な体験だと思いますし、音楽もほとんど排除されていて、すごく洗練された映画になっています。この贅沢な体験をぜひ劇場で楽しんでいただければ」とコメントし、イベントは幕を閉じた。
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