河瀬直美、なら国際映画祭を通して若い世代に「思いの継承」願う

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なら国際映画祭2020のエグゼクティブディレクターを務める河瀬直美が、現地で取材に応じた。

河瀬直美

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河瀬が2010年に立ち上げた、なら国際映画祭。今年は9月18日に奈良・東大寺大仏殿でのレッドカーペットをもって開幕を果たし、22日まで市内各所でイベントが実施される。コロナ禍での開催を決めた理由について、河瀬は「各地でお祭りがなくなったり、カンヌ映画祭が(通常通りの開催は)なくなったり、私が生まれてからこんな状況は初めてです。そんな中、しんどい気持ちになってしまう人や、自殺してしまう人も増えています。映画の光を届けることで、少しでも人々が前向きな気持ちになれないかと思い開催を決めました」と話す。「一生懸命準備してきて、大仏様に迎えていただいて感無量です」と、奈良の大仏の“お膝元”で行われたレッドカーペットに手応えを感じた様子だった。

なら国際映画祭2020は、中川龍太郎が講師を務める映画制作ワークショップや、「静かな雨」の上映を企画する配給・宣伝のインターン、ベルリン国際映画祭やショートショート フィルムフェスティバル&アジア推薦の作品を審査する企画といった、“観る・創る・魅せる”ことを軸にしたユース向けプログラムに力を入れている。若い世代に向けた思いについて、河瀬は「私はもう51歳になりました。20代は自分が何者であるかをがむしゃらに模索し、30代はそれを飛躍させ、40代は『2つ目の窓』『あん』『光』『Vision』といった自分の作品を年に1本ほど企画してきました。50歳を迎えたときに『次の世代が元気でいてくれないと、私が死んでしまったらそれ限りで“終わってしまう”んだ』と気付いたんです。でも大仏様のように、作った人が亡くなっても、その意志を継ぐ人がいれば1000年先にも継承されていく。奈良という場所で、そんな思いを余計に強く感じました。育成と言うとおこがましいですが、次の世代のための場所を作ることで、1000年継承されてきたモノが映画を通してまた新しいカタチでも継承されていくんだと思ったのです」と述べた。

映画祭スタッフの子供(左)と河瀬直美(右)。

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「コロナ禍を経て、未来の映画作りはどう変わるか?」という質問に、河瀬は「(変わるのは)届け方ですね。コロナで映画館に行けなくなったとき、斎藤工くんは『映像配信によって救われた』と言っていました。ユース企画には映画好きの子たちが応募してくれるのですが、どうやって映画を観るのかと聞くと『ネフリ(Netflix)かAmazon(Prime Video)』と言うんですよ。その子たちが大人になったら、映画館に行くこと自体がスペシャルな体験になると思う」と答える。ネット上での活動を発端にブレイクしたアーティスト・米津玄師の例を挙げ、河瀬は「そんなケースが映画界にも出てくるんじゃないかと思っています。配給など関係なく、若い世代が自分の才能を世界に発揮していく。そんな子が日本語だけでなく英語まで獲得していたら、世界に直接届けられるという意味で最強ですよね。そんな時代が、もうそこまで来ていると感じます」と続けた。

※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記

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