2022年4月に第1期が放送され、2026年7月4日から第2期が放送中のTVアニメ「骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中」。MMORPGのプレイ中に、見た目は鎧・中身は骸骨という“骸骨騎士”のアークとして異世界へ放り出された主人公が、そのお人好しな性格から行く先々で目の前の悪事を見過ごせずに成敗を繰り広げる、爽快かつ痛快な世直し異世界ファンタジーだ。
第2期は、呪いを解く泉があるという風龍山脈をアーク一行が目指すところからスタート。物語が進むにつれて、アークの仲間となった獣人族の忍者・チヨメのバックグラウンド、そして彼女が捜し続けている“兄様”的存在・サスケとの関係性に迫るエピソードが展開される。コミックナタリーでは第2期で重要なポジションを担う、チヨメ役の富田美憂に話を聞いた。第1期の振り返りはもちろん、より遊び心が加わったという第2期の見どころ、サスケ役・小野賢章とのアフレコ秘話、1人の忍びとしてチヨメが遂げた“内面的な成長”まで、たっぷりと語ってもらった。
取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 星野耕作
TVアニメ「骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中Ⅱ」新PV
がい……こつ……?
──まず第1期の振り返りから始めたいんですが、「骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中」という作品の第一印象はどんな感じでしたか?
オーディションのときに初めて読ませていただいたんですけど、まずは主人公のインパクトのデカさ! 「がい……こつ……?」って。
──(笑)。
当時、確かアーク、アリアン、ポンタ、チヨメのオーディションが一斉にあって、その時点ではアークが一番声のイメージがつかなかったので、「どなたになるんだろう?」とワクワクしたのを覚えています。あとは、第1期のときのイベントか何かでアーク役の前野(智昭)さんもおっしゃってたんですけど、いわゆる「水戸黄門」的なスッキリ感、アークがちゃんと悪を成敗してくれる気持ちよさがこの作品の魅力なのかなと読んでいてすごく思いましたね。
──いわゆる“股旅もの”としての面白さですよね。
そうなんです。スカッとできるところがやっぱり一番の魅力なんですよ。いわゆる異世界転生ものと言われる作品が世の中にたくさんあふれている中でも、かなり突出して特徴的な部分なのかなと思います。
──それはやはり、アークが旅の目的を持っているようで持っていないという大前提が大きく影響している気がします。
たぶんアーク本人的には、お気楽な旅ではあるんですよね。前野さんのお芝居の感じもそうなんですけど、敵と相対したときのシリアス度合いの塩梅がすごく絶妙で。もちろん強敵が出てきたときはすごく真剣になるんですけど、どこか戦いの中でもコミカルな声色を使っていらっしゃったりすることが多いんです。
──「ファンタジー来たー!」みたいな。
そうそう(笑)。アークがもともと異世界や忍者の世界などに憧れを持っていて、好奇心で動いているところがあるので。アークがそんなふうにいてくれることで、作品全体の雰囲気が重くなりすぎないから、観ていて疲れないというのはあると思います。第2期は特になんですけど、ちょっとパロディを思わせるようなクスッと笑えるセリフ回しもあったりして。
──「これにて一件落着」と見得を切ったりするアレですね。
「どっかで聞いたことあるぞ」みたいな(笑)。それをかなりいい感じに前野さんが表現してくださっているのも、すごく絶妙なスパイスになっていると思います。
──実際、視聴者としての印象でも……すごく変な感想なんですけど、街ブラ番組を観ているかのような感覚がありまして。
あー、でもそれはすごくわかります。
──アーク以外の人たちが大きな使命や野望などを抱えていたりする中で、そういうものがまったく何もないアークの視点から描かれることで、いい意味で行き当たりばったり感があるというか。
そういうゆるさは、確かにありますよね。
チヨメと自分はあまり違わない
──そんな物語にチヨメ役として出演されている富田さんですが、チヨメというキャラクターをどんな人物だと捉えていますか?
“ボクっ子”というのもあって、ひと目見ただけでは女の子か男の子かわからない、ちょっと中性的な印象のあるキャラクターだなと思いました。そこは、自分の素の声質に少年成分が若干あるかなというふうに自己分析しているので、性別バランスはさほど意識せずに演じさせていただいたんですけど……アークたち一行とリラックスしてしゃべっているときと、敵を前にして忍び然とするときのキリッと具合のギャップはすごく意識して作りました。音響監督の本山(哲)さんからも「ぜひそこは強調してほしい」というお話があったので。
──なるほど。その中でチヨメは、おっしゃったようにボクっ子だったり、さらにケモ耳だったり、忍者だったりと……。
要素が多い(笑)。
──要素が渋滞しているにもかかわらず、すごく自然なキャラクターに見えるのが不思議だなと思っていまして。
まあ主人公が骸骨だし(笑)、エルフとかいろんな種族が出てくるお話なので、獣人族だからといって特段「こう作ろう」とか「キャラっぽくやろう」みたいな意識はしていなくて。いい意味で獣人であることを自覚しすぎずに演じたことが、ナチュラルなお芝居につながったのかなとは思いますね。
──その一方で言葉遣いが特殊だったりして、ともするとキャラクターっぽくなりやすい役柄でもあるように思うんですが。
「アーク殿!」みたいな言葉遣いは難しかったです。メインキャラの中では一番かしこまったセリフ回しをするキャラクターなので、己の滑舌を問われるなと思いながら、第1期はかなりそこに苦戦した記憶がありますね。ただ、本当に要素をいっぱい持っている子ではあるんですけど、コテコテにしすぎるのもちょっと違うなと思ったので、あまり作り込みすぎずに「年相応に演じる」ということにフォーカスして演じさせていただきました。
──チヨメとご自身に共通点を感じる部分はありますか?
チヨメはたぶん、ビジュアルだけを見るとちょっとクールな印象を持たれると思うんですね。第1期で初登場したときも忍び然として出てきたので、クールな子なのかなと思いきや、美味しいごはんも好きだし、アリアンの妹的なポジションの見え方もするようになっていく。実は年相応にちゃんとはしゃげる子だなと思っていて……私も現場にいるとすごくクールな人に思われることが多いんですけど、実際は全然そんなことないので、そこはちょっと似てるのかなと思います。
──逆に、「ここは自分と違うな」と感じる部分は?
ええー、違う部分かあ。なんだろう……あんまり違わないと思います。台本を読んでいても、「いや、この考えは私にはないな」と感じることが、チヨメに関してはあまりないので。
──立ち位置的にはいかがですか? 最初の登場時は敵か味方かわからないところから徐々に仲間になっていく、いわゆる追加戦士的なポジションでしたが。
アフレコに入るときがまさにそんな感じだったというか。何せ中盤からの登場だったので、もう現場の空気もできあがっていて。しかも第1期はコロナ禍での収録だったので、すごく人数を絞ってやっていたんですよ。それもあって、すごく緊張しながら行ったのを覚えています。でも本当に演じるキャラクターそのままに、みんな明るい人たちばかりの座組だったので、安心して輪の中に入っていけた感じはしますね。
第2期はチヨメの話になる
──ということは、第2期で初めて皆さんで一斉に録れた?
そうです! 第2期の初回収録で「そういえば全員で録るのって初めてだよね」という話をした記憶がありますね。それまでは本当にアーク、アリアン、ポンタの声しか生では聴けていなかったので、「あー、みんないるー!」と思って、すごく感慨深かったです。
──そんな第2期に入るにあたって、台本を受け取って読んだときはどんな感想を持ちましたか?
パロディ要素がすごく増えてるなって感じたんですけど、実際に初回アフレコのときに小野(勝巳)監督も「今回はあえてそっちに寄せている」とおっしゃっていて。第1期よりもそういう遊び心が加わった台本だなと感じました。
──お話の流れとしては、形式上の目的とされている「アークを人の姿に戻す」という核心にも近づいていきます。
そうだった、忘れてた(笑)。
──核心であるはずのところをみんなが忘れがち、というのもこの作品っぽさですよね。
そうですね。アーク的にもちゃんと「人の姿に戻らねば」という気持ちはありつつ、たぶんこの外見でいることにちょっと楽しみを見出しちゃっているのかな、とは思います。
──実際、戻ろうが戻らなかろうが何も変わらない感じすらありますし。
ふふふふ(笑)。
──そこから後半の展開では、チヨメのバックグラウンドに迫る物語が描かれていきますね。
第1期の頃からチヨメに兄的な存在がいることはほのめかされていたんですけど、第2期のアフレコが始まる前に、原作コミック担当のサワノ(アキラ)先生からも「第2期はチヨメの話になる」と伺っていたので、「おお、がんばらねば!」って気合が入りました。やっぱり「サスケの声が誰になるんだろう?」というのが一番気になってはいて、アフレコが始まる前にオーディションが行われていることも知っていたので、ワクワク!みたいな。私も実際にサスケが登場する回の台本を開くまで、どなたになるのかを知らなかったので……。
──あ、そうだったんですね。そこで初めて「小野賢章さんだー!」と?
はい(笑)。賢章さんとは以前にも別作品でご一緒させていただいて、取材やら舞台挨拶やらでずっと行動をともにしていた経験があったので、「賢章さんが兄様をやってくださるんだ」という安心感がすごくありました。とても面倒見のいい方なので、本当に兄のように頼れる存在です。
女子2人のわちゃわちゃにも注目
──そんな小野さんとのアフレコはいかがでしたか?
「こういうふうにやろう」みたいな示し合わせはとくにしていなかったんですけど、すっごく会話しやすくて。初めてのサスケとのやり取りとは思えないほど自然になじんでいたのは、賢章さんの力によるところが大きかったように感じます。アニメだけを観ているとサスケはそこで初めて出てきたキャラクターではあるんですけど、ちゃんとチヨメとのバックボーンが見えるというか。その密度をすごく感じました。
──なぜそんなことが可能なんでしょう? なぜと聞かれても困ると思いますが。
なんでなんだろう? なんですかね……先輩ってすごいですね(笑)。
──(笑)。同じようなことが、ほかのキャストさんとの間にもあったりするんですか?
たとえばツボネも第2期から登場するキャラクターなんですけど、「ツボネは普段からチヨメのことをめちゃくちゃかわいがっているんだろうな」というのを(上田)瞳ちゃんのお芝居からすごく感じました。そもそもツボネと瞳ちゃん自体にちょっと似ているところがあって、どの現場で会っても私のことを「んー、かわいいねー!」ってやってくれるんですよ(笑)。そのお姉ちゃん気質なところが、ツボネのキャラクター性と共通してるなと思います。
──やはり実際の関係性がお芝居にうまく生きることがあるんですね。
多々ありますね。アリアン役のファイちゃん(ファイルーズあい)とかも、みんなの中心になって現場の明るい空気を作ってくれていました。先輩方にもいい意味で物おじせず、「どうなんですか、前野さーん!」みたいなイジり方をしてくれたりもするので(笑)、あまり現場がしーんとなる瞬間がないくらい、かなり和気あいあいとしたアフレコでしたね。
──それもちょっとアリアンっぽいというか。
これはちょっとネタバレになっちゃうかもしれないんですけど、第2期の中でチヨメがアリアンの乙女な相談に乗る回があるんですよ。ただ、いかんせんチヨメも恋愛うんぬんに関しては極論しか持ってないから、どんどんおかしな方向へ行くみたいな(笑)。そのちょっと女子会っぽいノリがすごく楽しかったので、ぜひ楽しみにしていただければと。
──意外とチヨメも前のめりなんですよね。
ノリノリでした(笑)。「意外とそういうとこあるんだ?」みたいなチヨメが見られるので、女子2人のわちゃわちゃにも注目していただきたいなと思います。
次のページ »
本当の意味で仲間になれた

