IRIAMはライバーが自分で創ったキャラクターになって配信したり、リスナーがVライバーとの交流を楽しめるVライブコミュニケーションアプリ。IRIAMでは日々たくさんのVライバーたちが雑談をしたり、歌ったりと自分を表現しており、リスナーはそれを応援する、コメントで一緒に雑談するなど、さまざまなスタイルで配信を楽しんでいる。
そんなIRIAMで、「快感♥フレーズ」などで知られる新條まゆが2025年12月にVtuberデビュー。Vライバー事務所・46UPLiveとの専属契約のもと、イケメンのアバターをまとって雑談などの配信を行っている。コミックナタリーでは新條にインタビューを実施し、IRIAMでVtuberデビューしたきっかけや、視聴者とのコミュニケーションについて語ってもらった。
取材・文 / 岸野恵加撮影 / 玉越信裕
IRIAMとは
IRIAMは、ラグのないリアルタイムなコミュニケーションが楽しめるVライブコミュニケーションアプリ。自分で創ったキャラクターを動かして配信することや、リスナーとして配信に参加し、Vライバーとの交流を楽しむことができる。コミュニケーションの密度が高い配信が多く、“たまり場”のような感覚で視聴できる配信が多いのが特徴のアプリだ。
生歌披露やプライベートもチラリ、距離感の近いリスナーとの交流
──新條先生はマンガ家としてはもちろん、インテリア会社の経営、コンテンツプロデュースなど幅広い分野で活躍されていますが、最近はどのような割合でお仕事をされていますか?
マンガに関しては、Instagramにピン留めした投稿にも書いた通り「漫画家を副業にしたい漫画家」を目指しています。引きこもってマンガを描いていると、毎日スウェット姿で「最後にメイクしたのは何日前だったっけ……?」という状況になってしまうんですけど、私はそれが嫌で。締め切りに追われたくないし、マンガを描くことは、趣味のように楽しみたい。そして、自分のやりたいことには全部挑戦していきたくて。インテリアプロデュースも引き続き行っていますし、アドバイザーとして携わっているエンタメ企業では最新の流行やAIについての情報共有をしたり、人材を紹介したり。今後はアイドルのプロデュースにも関わる予定で、自分も歌や演技に挑戦してみたいし……。
──歌や演技までも! ライブ配信でも新條先生の聴き取りやすく素敵な声が印象的なので、どんな歌声なのか気になります。
本当ですか? 声を褒められるの、すごくうれしいです! 実は過去に声優のディレクションを担当したときに、ベテランの声優さんに「まゆちゃん、声優になればいいのに!」と言っていただいたことがありました(笑)。マンガ家は表に出ない方が多いと思いますが、私はどんどん表に出ていきたいんです。ファッションやメイクに関しても「それどこで買ったんですか?」とよく聞かれるので、自分が愛用しているアイテムについても積極的に発信しています。……そうだ、あとは5月から、銀座のクラブで働きます!
──ええ!?
軽井沢でも、年齢や素性を隠して1年半くらい会員制のパブで働いていたことがあったんです(笑)。そこでお客さんに銀座で働くことを勧められたんですよ。東京で住む部屋も借りまして、実は今日が鍵の引き渡しでした(※取材は4月の中旬に行った)。すごく小さい部屋だけど、今後はそこからも配信をすることで、皆さんに新條まゆを身近な存在として感じてもらいたいと思っています。
──新條先生はさまざまなSNSを活用して発信されていますが、どんな思いが“発信したい”と考える原動力になっていますか?
やっぱり、褒められることですかね。配信をすることで、ファンの方々から「話が面白い」「声がいい」と言ってもらえると、すごくうれしいんです。自分の中で、周囲から褒めていただける部分をどんどん伸ばしていきたいです。あと、私は常に最先端のものを扱っていないと不安になってしまうんです。ガジェットや音楽も常に新しいものを知っていたいし、マンガの感想でも「絵が古い」と言われるのが一番嫌いなので、最近もめちゃくちゃ絵を描いて研究しています。
──ライバーとして活動を開始したのも、そうした思いからだったのでしょうか。新條先生がVライバー事務所・46UPLiveと専属マネジメント契約を締結することが昨年12月に発表されると、大きな反響がありましたね。
ライバーはずっとやってみたいと思っていたんです。でも自分に需要があるかわからなかったし、1から自分でやるのは大変だなと思っていて。そんなときに友人の紹介で、ライバー事務所の社長さんと会うことになったんです。「ついに私もライバーデビューしちゃうのか!」と思い込んでいたけど、いざ打ち合わせをしてみたら「絵を描いてほしい」という依頼で(笑)。でも「ライバーとしてじゃダメですか?」と聞いてみたら、「え、やってくれるんですか!?」と驚かれて、勘違いからデビューすることになりました(笑)。
──渡りに船だったと(笑)。新條先生はTikTokでもライブ配信を行っていますよね。TikTokは顔出し、IRIAMはアバターという違いがありますが、それぞれどのように使い分けているのでしょうか?
単純に、メイクをしているときはTikTok、していないときはIRIAMという感じです(笑)。TikTokライブはたくさんの人にパーソナルな面を褒めていただけることがモチベーションになるんですけど、IRIAMはコミュニティの中で交流している雰囲気なので、ラフに話せる感覚が大きいですね。
──IRIAMには「自分でいるより、自由になれる。」というキャッチコピーがあるのですが、まさにその感覚に近いかもしれないですね。IRIAMはアーカイブが残らないので、それが自由に話しやすい雰囲気を作っている部分も大きいと思います。先日、新條先生はIRIAMの配信で「この作品のこのシーン、実はこうだったんです!」というように、著作のディープな裏話を披露していましたよね。
はい(笑)。基本的にネガティブな話をすることは嫌いなのですが、ポロッと話してしまうことも多いです。オペラ歌手みたいな生歌を披露したこともありました(笑)。IRIAMは距離感が近くて、アットホームな感覚があります。でも私は、別の作業と並行して“ながら”で配信することができないんですよね。アバターだからメイクをしていなくても気軽に配信できるはずなのに、誰のコメントも見逃したくないし、集中して臨みたい性分で。だから、忙しくなってしまうと配信する時間をなかなか確保できないのが悩みです。本当はもっと頻繁に配信したいんですけど……。
──IRIAMの視聴者にはどんな印象がありますか?
荒れることが全然なく、皆さんとても優しいですよね。以前、「お風呂に入っている時間に配信したいな」と思いついて、そのことを配信で話したんですけど、お風呂からの配信はIRIAMではしないルールのようで。皆さんが「それはやめたほうがいいですよ」と、優しく教えてくれました(笑)。
──IRIAMの配信で、一番魅力だと感じるのは?
リアルタイムでファンの方々とコミュニケーションできることです。そういう機会はなかなかないから、本当に楽しいですね。TikTok配信は顔出しなので、やはりお互いに身構えるような感覚があって。TikTokでは背筋を伸ばして「今、新條まゆがしゃべっています!」というモードで臨んでいるけど、IRIAMはこたつでみかんを食べながら「今、みかん食べてるんだよねー」くらいのゆるゆるで話すこともある(笑)。視聴者の皆さんをとても身近に感じます。
IRIAMは新條まゆのファン世代も楽しめる
──新條先生がIRIAMで使っているアバターは、新條まゆ作品を象徴するようなイケメン男子のイラストです。あのアバターはどのように誕生したのでしょうか。
もとはAIの動画素材として描いたイラストなんです。アドバイザーを務めている企業で、「イラストがこんなふうに動きます」とイメージを伝えるために作ったものを、IRIAMで使うことになりました。本当は、1週間に1回くらいのペースでアバターを変えたかったんです。でもなかなか余裕がなくて……。今後増やしていけるといいなと。最初の頃は、アバターはイケメンなのに、しゃべると私の声だから「違和感がすごい」というツッコミを視聴者さんからよくもらっていました(笑)。
──マンガ家さんがご自身の描いた絵に合わせてしゃべる機会はなかなかないので、個人的にはそのミスマッチ感がクセになっています(笑)。
本当ですか?(笑) 女の子のアバターにしようかと考えたこともあったんです。でも、イケメンの絵なら新條まゆだと一目でわかるけど、私が描く女の子はあまり特徴がなくて。自画像ということにしても、自分をかわいく描いたらイタいかな?と思っちゃうし。イラストを動かすにあたっては、私の男性キャラクターがあまりにも切れ長の目をしていて、前髪が目にかかっているので、うまく目を認識してくれなくてちょっと苦労しました(笑)。ほかの配信者の方のアバターを見ていると、完璧に動いているからうらやましくて。もっとしっかり動くように、研究して描きたいです。
──新條先生のファンの方々は、ライバー文化にあまりなじみがない方も多いと思います。そういう方にIRIAMの魅力を伝えるとしたら、どういう部分をアピールしたいですか?
そうですね……若い世代の方は飽きやすいから、メディアにせよプラットフォームにせよ、いろんなところを転々とするじゃないですか。でも私のファンの主な年代である30、40代の方々は、楽しそうだと思ったら毎週聴いてくれたり、配信に来てくれたり、どっしりと腰を据えて向き合ってくれる印象があって。だからこそ、そういう世代の方々にIRIAMはすごく向いていると思います。コメントで会話に参加することもできますし、ライバーに直接質問することもできますよ。
──好きなマンガ家の先生に気軽に質問できる機会なんて、貴重ですよね。
ええ。YouTubeなどで質問返しや人生相談をされている人も多いけど、リアルタイムではないから、質問しても答えてもらえなかったり、タイムラグがあったりしますもんね。でもIRIAMのような配信では、その場で気軽に相談することができる。家事や何かをしながら、ラジオ感覚で“ながら聴き”をしても楽しいと思います。私自身は“ながら配信”ができないんですけど(笑)。
──今後、IRIAMでやってみたいことはありますか?
少し考えていたのは、自分とは違う第三者として配信をしてみたいなって。完全に声色も変えて、自分じゃない人物をプロデュースしてみたいです。IRIAMならイラストで自由にアバターの雰囲気も変えられるし、キャラクターを考えることは得意なので。
──インタビューの最初に「演技に挑戦してみたい」とおっしゃっていたので、そうした意欲も叶えられそうですね。
確かに! あとは、今の私はIRIAMさんのプラットフォームにただ乗っからせてもらっている身ですが、どちらかというと親身になって考えたいタイプなので、もう一段階食い込んで、サービス全体にメリットをもたらせるように私にできることはないか、一緒に考えていきたいですね。
新作は“金融BL”とほのぼの1話完結型
──最後に、今後の執筆活動についても教えてください。今年は2本の連載をスタートさせる予定だと以前に予告されていましたが、どんな作品を準備中か、お話できる範囲で教えていただけますか?
はい! 1つは金融BLです。私、金融が大好きなんですよね。ハーバード大を卒業したプライベートバンカーと、彼が大学で出会った証券会社のヘッジファンドを描くんですが、ヘッジファンドが実は悪の組織で、その資金洗浄に巻き込まれていきます。UBSというスイス銀行がモデルです。その連載は夏頃を目処にスタートさせる予定で、私のSNSで直接読めるような形式にする予定です。ドラマ化も同時に進行してもいいかなと考えていますね。
──実験的な形式なんですね。
個人的には、現代のマンガのデジタル配信の形ってナンセンスだと思っていて。デジタルでも紙と同じようなコマ割りで視線誘導をさせる必要はないと思うんです。自分がプラットフォームとなって、縦読みも横読みにも対応できて、Instagramのリールなどショート動画でも流せるような規格を作ってしまおうと思っています。その際、万人に面白いと思ってもらえる作品にしたいので、金融はぴったりな題材かなと。BL界の池井戸潤を目指しています(笑)。もう1作品は、まだ言えない部分が多いんですが、ほんわかした1話完結型の作品を考えています。自分が飼っていた犬と猫が20歳の頃に亡くなってしまった女性が、42歳になった頃、犬と猫が若いイケメンになって戻ってきて、共同生活をするというお話です。
──新條先生のほのぼのした作品は新鮮です。
私もわんこを飼っているんですが、すごくイケメンなんです。「この子が若い男の子に生まれ変わったら、さぞ素敵だろうな」とイメージしました(笑)。わんことニャンコのあるあるネタをたくさん描きたいですね。もうドロドロした物語は描きたくないし、私はカッコいい男の子が描ければそれで満足なので、ひたすらイケメンを描いていきたいです。
──4月から5月にかけては、新條先生の画業30周年を記念した展覧会「新條まゆ30th展 -快♡感♡男♡子 (KAI-DAN)-」が行われますね。
まさに、その準備で多忙な日々でした……。ただのイラスト展ではなく、博物館のような内容にしたくて。私の軽井沢の家の仕事部屋を再現した一角があったり、LDHさんに協力いただいてアーティストさんのイラストを描いたりするなど、今の新條まゆを体験できる内容になっています。そして見どころはなんといっても、プレミアムチケットに付いてくる同人誌! 「快感♡フレーズ」のラルフが攻め、咲也が受けのBLで、本編でラルフが咲也をクスリ漬けにしたシーンの延長線上の話を描いています。すごい展開ばかり準備しているので、ぜひチェックしていただきたいです! でも本当に、展覧会の準備のために過去を振り返るのがつらくて……。もう、これを最後の展覧会にしようという思いですね。
──ええ! 40周年でも50周年でも、ぜひ実施してほしいですが……。
過去のイラストを見つけ出したスタッフから「先生、これはどうですか?」と聞かれるたび、本当に下手くそで恥ずかしいんです!(笑) 昔のイラストを展示することはもう一生ないので、ファンの方は絶対に今回のイベントへ来てください!
プロフィール
新條まゆ(シンジョウマユ)
1973年1月26日、長崎県生まれ。1994年、少女コミック増刊(小学館)にて「あなたの色に染まりたい」でデビュー。「快感♥フレーズ」が1000万部を超える大ヒットとなり、海外13カ国でも翻訳出版される。その後「覇王愛人」や「ラブセレブ」などヒット作を生み出し、デビュー14年目に小学館より独立。多くのマンガ誌で精力的に作品を発表し、現在は各マンガ配信アプリにて「虹色の龍は女神を抱く」を連載している。また住宅総合プロデュース会社・Maison de Coconの代表も務めるなど活動の幅を広げており、2025年12月にはVライバー事務所・46UPLiveと専属契約を結びVtuberデビューも果たした。2026年5月17日までは、「新條まゆ30th展 -快♡感♡男♡子 (KAI-DAN)-」が東京・GoFaで開催されている。
新條まゆ (@shinjo.mayu) | Instagram




