たつもとみお「しもべの王子様」が実写ドラマ化され、7月3日にTOKYO MXほかでスタートする。同作は、社長令息で文武両道、かつて校内ヒエラルキーのトップだった直也と、彼から日常的にパシリにされていた底辺陰キャの高明を軸に描く“立場逆転BL”。コミックシーモアのオリジナルコミックレーベル・Ficus(フィカス)にて先行配信されており、累計ダウンロード数は200万を突破している。
コミックナタリーではドラマ化を記念し、ダブル主演を務める直也役の小川史記(BUDDiiS)と高明役の瀬戸利樹にインタビューを実施した。性格や価値観は正反対。でも、相性抜群の2人の関係性を撮影現場のエピソードとともにたっぷり楽しんでほしい。
取材・文 / 横川良明撮影 / 曽我美芽
「しもべの王子様」あらすじ
社長令息である直也は、高校のクラスの頂点に君臨する“王子様”。そんな彼にパシリのように扱われる高明は、まるで“しもべ”そのものだった。
それから10年。会社経営に失敗した直也は無職となり、地位も自信もすべて失っていた。一方の高明は、ベンチャー企業の若き社長として成功を収め、2人の立場が完全に逆転したにもかかわらず、今でも直也に“しもべ”のように従い続けていて……。そんないびつな主従関係で結ばれた2人の10年越しのラブストーリーが描かれる。
無表情に徹することで、逆に高明のかわいげが伝われば
──まずは原作を読んで、どんなところに魅力を感じたか聞かせてください。
小川史記 やっぱり直也と高明の関係性ですよね。ただただお互いのことが好きだという2人の純愛にほっこりしました。
瀬戸利樹 僕も純愛だなと思いました。すごくキャラクターに人間味があるんですよね。特に直也はどん底にいるからこそ、人間らしいところがよく出ていて。同じように挫折を味わったことがある人は共感できると思うし、そんな中でも高明みたいに手を差し伸べてくれる人がいるというのは素敵だなと思いました。
小川 わかる。人間味があるよね。2人の前に乗り越えなきゃいけないいろんな壁が立ちはだかるんだけど、一緒に立ち向かっていく直也と高明のストーリーに、ただキラキラキュンキュンだけじゃないものを感じました。
──直也は、“王子様”だった高校時代から一転、父の会社を継ぐも倒産。職を失い、ただ無気力に日々を過ごしているという人物です。難しい役だと思いますが、どうアプローチしていきましたか?
小川 僕は決して器用な人間ではなくて。脳のキャパシティが人より狭いんですよ(笑)。だから、共通点を探して自分と重ねる、みたいな難しいことは全然できなくて。とにかく“その人になろう”と決めて、自分を洗脳じゃないですけど、まず、直也は今こういう気持ちだからって思い込む。そうして、シーンごとに周りの情景を見ながら、直也に感情移入するみたいな感じで気持ちを作っていきました。
瀬戸 ふみくんはすごい感覚派なんですよ。役を作り上げていくタイプの役者さんって、割と自分を消す方が多いんですけど、ふみくんは小川史記の部分を残しつつ、直也を作っている感じがして。一緒にお芝居をするのは今回が初めてですけど、すごくやりやすかったです。
小川 今回、僕が終着地点として置いたのは、高明のことがいとおしくて仕方ないという気持ちでした。そこをゴールに決めて向かっていく中で、高明と立場が逆転してしまった劣等感とか、それでも高明の前では強がりたい気持ちとか、いろんな感情が生まれてきたという感じでしたね。
──そんな直也の“しもべ”として高明はずっとそばにいるわけですが、第1話の段階では終始無表情で、何を考えているのか読み取ることができません。瀬戸さんは、高明の直也への気持ちをどう表現していこうと考えましたか?
瀬戸 高明は、回を重ねていく中で少しずつ心の声が漏れ出てくるようになるんです。そのギャップを作るためにも、第1話ではあえて無表情に徹していました。そうすることで、逆に高明のかわいげが伝わればいいなと。
小川 僕は、そんな高明の「わかった」というセリフが大好物でした(笑)。それこそ第1話では「わかった」の裏にある気持ちがなかなかわからないんですけど、話が進むにつれて、「わかった」と言う前のちょっとした手の動きとかで高明の気持ちがこぼれてきちゃって。途中からは高明の「わかった」を聞きたくて命令しているも同然の状態でした(笑)。
瀬戸 あと、実は台本上ではいろんなところで「ズキュン!」ってト書きが書いてあったんですよね。
小川 あったね(笑)。
瀬戸 打ち上げのときに脚本の金杉(弘子)さんと話したら、「それをどう演じるのか楽しみにしていた」とおっしゃっていて。監督とも現場で「その前のシーン次第だね」という話をしまして。前のシーンがコミカルだったらけっこう出してもいいよねとか、シリアスなシーンの後だったら抑え気味にしようとか細かく調節したので、ぜひお話か進んだタイミングでまた第1話を観返してほしい! 無表情の中にも「あ、今ここでズキュンとしたんだ」というところを見つけて楽しんでいただけたら。
後半から“スーパー直也タイム”がどんどん増えていきます
──そんな第1話の見どころとなるのが、ラストです。高明からまっすぐ気持ちをぶつけられた直也の目には涙が溢れていましたが、あのシーンは2人でどんなふうに作り上げてていったんでしょうか。
小川 今回、お芝居についてはほとんど話をしてなくて。
瀬戸 話さなくてもお互い意図を理解できたというか、同じ方向を向いてお芝居できていた感覚があったよね。
小川 うん。第1話のラストもいざカメラが回ってやってみたら、利樹くんの高明からすごい温かみを感じて、自然と涙が出たんです。事前に話し合わなかったからこそ、その瞬間瞬間に生まれた感情を丁寧に受け取れた気がしました。
瀬戸 わかる。だから、2人のリアクションもすごく新鮮なものが撮れていると思うし。特別に何かすり合わせしなくてもあのシーンを一緒に作れたのは、ふみくんとの相性がよかったからかなと思っています。
──山場となるシーンだったと思いますが、本番前はどうでしたか。ちょっと特別な緊張感があったとか、すごく相手が集中しているなという感じはありましたか。
瀬戸 あんまりなかったよね。
小川 僕は、自然体でいられたというか。それはもう、利樹くんが演じる高明が素晴らしかったからにほかならないんですけど。
瀬戸 何を言うてんの(笑)。でも本当に自然体っていう感じで。そんなふみくんの様子を見て、すごいなと思った。だって、出演作としてはまだ3作目でしょ?
小川 僕の場合、集中しようと思うとダメなんですよ。自分でも単純だなって思うんですけど(笑)、「集中すること」に集中しすぎちゃって、逆に何も入ってこなくなっちゃう。
瀬戸 なるほどね。
小川 だから大事なシーンだけど、いつも通りにいこうって。高明の優しさに感動して、ただ一緒にいてほしいという気持ちだけを大切に演じました。
──オープニングのタイトルバックでは、直也が高明に飛びついて抱っこされるカットがインサートされていました。あのあたりは第1話の温度感とまた全然違って、すごくかわいらしかったです。
小川 お話が進むにつれて、どんどんそういうシーンが増えてきます。あの抱っこのところとかは“スーパー直也タイム”でした。第1話の直也からは想像できないくらい、甘えん坊タイムが止まらなくなります。
瀬戸 気持ちがダダ漏れだったよね。もう早く観てほしい。皆さんに微笑んでいただける自信しかないです。
小川 ずっとイチャイチャしてたもんね。「もうお腹いっぱいだ!」というくらいかわいいシーンが襲いかかってくるので覚悟しておいてください(笑)。
次のページ »
ジェットコースターに100分は並べないです

