ステージナタリー Power Push - ドラマ「弱虫ペダル」特集

小越勇輝(小野田坂道役)×郷本直也(金城真護役)×馬場良馬(巻島裕介役)座談会

ペダステ初演時の記憶から、高回転(ハイケイデンス)で回すドラマ版の裏側まで

原作のコマを映像で具現化している

  • 舞台版の金城真護。
  • ドラマ版の金城真護。

──ドラマ化にあたって、舞台版からはキャラクタービジュアルが若干変わっているのも気になるポイントでした。

郷本 僕はあんまり変わらないですけどね(笑)。初演の頃は坊主の設定だったんで、お団子を見えないように隠してたんだけど、ドラマでは結んでることにしてます。隠した結び目がポコって出てたら、映像で見ると違和感しかないよね、って監督と話して。そのほうが自然だということで。

  • 舞台版の小野田坂道。
  • ドラマ版の小野田坂道。

──映像ではやはり自然に見えることを重視されてるんですね。小越さんの坂道は、舞台と比べると髪の毛が長くて、前髪なんて目に入りそうなくらいです。

小越 見比べてみると確かになんだか違いますね。でも舞台でも、僕が出た2回だけでも坂道(のビジュアル)って若干違ったんですよ。みんな少し変わってくんですよね。だから今回もあんまり気にしてなかったかな。

──巻島は一番変化が大きいキャラですね。髪の毛の緑色がとても薄いトーンに。

  • 舞台版の巻島裕介。
  • ドラマ版の巻島裕介。

馬場 この作品をドラマでやるってなったときに、僕も緑の髪の毛ってできるのかなって思って。現実世界に寄せて茶髪でやるとかアッシュにするとか、いろんな案が出てたんですよ。舞台はすごく照明が強いので、ステージに映える緑だと、鮮やかな色になるんですって。それを現実の日の光に合わせてメイクさんや監督が調整した結果、こういう薄めの緑になりました。

郷本 でも俺、今見て思ったけど、ドラマの巻島のほうがより原作のニュアンスに近い気がする。ピンクのメッシュのところとか。

馬場 色が抜けた感じがかな。僕の最初のビジュアルが出たときに、ファンの方からは「これ、地毛?」っていう反応が多かったんですって。そういう意味では、話し合った結果この髪型になったのは正解だったと思いました。

郷本 髪が長いと大変なんだよね。カットとカットのつなぎ目で髪の先っぽが背中側にあったり胸の側にあったりすると映像で繋がらないから。ちゃんと意識してて、スタッフさんすげえなと思った。

原作マンガ「弱虫ペダル」より、巻島が後方の坂道を見上げるシーン。©渡辺航(週刊少年チャンピオン)

馬場 大変ですよ、ホントに! でもビジュアルだけじゃなくて、マンガのコマを再現したいっていう意図で撮ったシーンもたくさんあるんです。前を走る巻島が、振り返りつつ後ろの坂道を見上げて話しかけるアングルとか……。撮影中も、監督が「このコマみたいなカメラアングル探れないかな」ってカメラマンさんとよく話してますし、今回のドラマは、原作を具現化するところに重きを置いてるなと感じますね。

小越 感じますよね。

郷本 小越は自転車に乗るシーンも一番多いよね。どう?

小越 各キャラのロードレーサー、ちゃんと原作通りですよね。坂道のママチャリも、ギアが小さいっていう原作の設定に合わせてあったり、特殊に作っていただいてるんです。そのせいで、激坂を登るのはキツかったけど。

一同 (笑)。

ドラマ「弱虫ペダル」第1話より。

小越 「坂道、これでよう登るわ」と(笑)。立ち漕ぎもできないし、ギアちっちゃいし、サドルも低いし……。ママチャリだと一生懸命引かないとあの坂は登れないので、手に力が入ってマメができました。

郷本 ドラマのために自転車乗ってみてわかったけど、坂道って本当にバケモノだよね。

小越 ホントにそう感じます。マンガで読むのと違って、実際にやってみると「いやいや、どうなってんの?」と。だから初めてロードレーサーに乗ったときは、「なんだこの乗り物。全然違う!」って、坂道みたいに感心しました。

馬場 今回自転車の監修でY's ROADさんってお店が入ってるんですけど、そこのスタッフさんが撮影中、坂道くんがママチャリで激坂を登る姿を見て「すごい」って言ってたんですよ。大変な撮影だけど、それを飄々とこなしてる小越勇輝すげえわっていうのは、撮影一緒にやってて思いましたね。

小越 いやいや、いろいろ教えてもらいながらだし、僕が乗ってるのはカメラが回ってる一瞬だけなんで、到底坂道には届かないですよ。原作の合宿シーンのモデルになったサイクルスポーツセンターってところでも実際に撮影したんですけど、アップダウンがすごくて結構大変なんです。そこで1000km走るなんて、想像してもしきれない。めちゃくちゃ過酷なんだろうなと。

──馬場さんも、左右に激しく体を動かす巻島のダンシングを人力で再現したとか。

原作マンガ「弱虫ペダル」より、通りがかった総北自転車競技部に圧倒される坂道。©渡辺航(週刊少年チャンピオン)

馬場 衣装合わせのとき「CGかワイヤーでやるんですかね」とか言ってたんですよ。クランクインしてからも「ダンシングどうすんだろうな、何も言われてないから、なんとかしてくれるんだろうな。21世紀の技術で」って悠長に構えてて。撮影日になって初めて、実際に乗ってやるって知って。坂で知らぬ間に体力奪われるし、あんまり練習はできなかったですけど、監督が「(ダンシング)やってるように見えてるから大丈夫」っておだててくださったので、なんとか形になりました。もっとちゃんと練習したかったなっていう気持ちもありますけど、その場でやるって決まったからこそアドレナリンが出たところもあるかもしれない。

共演者を役そのものに錯覚する瞬間がある

──「弱ペダ」は現在、原作、舞台、アニメではどれもストーリーがだいぶ先まで進んでいますが、ドラマは物語の冒頭から描かれるということで、改めてその魅力に浸る方も多いのではと思います。私も原作を最初から読み返して、チーム総北の絆が素敵だなと感じました。巻島が坂道にタイミングよく助言をしてあげたり、金城さんが坂道に「お前が倒れたら俺が支える」って言ったり。

郷本 いいエピソードですよね。「ペダル」はどこも面白いんですけど、この冒頭のほうって、すごいアツいよなって思います。

原作マンガ「弱虫ペダル」より、田所がゴールした手嶋と青八木を抱えるシーン。©渡辺航(週刊少年チャンピオン)

小越 事前特番を見て、合宿で田所さんがゴールした2年生2人を抱えるところ、原作通りにできてるなあ、いいシーンだな、と思った。

郷本 あそこ、夜中に撮ったんだけど泣いたよ。ホントは1回で成功させたかったのに、友常(勇気)も熱いやつだから思いが強くなりすぎちゃって、セリフが出てこなくて。それに2年生2人がずっと「大丈夫ですよ」とか言ってて。見ていて、映像を撮ってるのか、リアルなのかがわからなくなる瞬間がありました。

馬場 うん。この作品は撮影してて、すごく嘘が少ないって感じる。みんながホントに坂道であり、今泉であり、鳴子でありって錯覚する瞬間がすごく多いんです。実際に走るシーンは実写ならではの表現だと思うので、ウェルカムレースだったり合宿所の1000kmレースだったりが映像としてどう表現されているか、すごく楽しみですね。自分はそんなに走ってないですけど、みんなががんばってる姿を見てるので、仲間としても楽しみだし、いちファンとしても。

郷本 舞台版でできなかったシーン、言えなかったセリフがめちゃくちゃあったので、それがドラマでやれることもすごくうれしかった。

左から郷本直也、小越勇輝、馬場良馬。

馬場 舞台の初演時と比べたら原作の話がだいぶ進んで、回想で描かれたエピソードもたくさんあって、キャラクターをより深く知ることができているから演じ甲斐があります。メインの坂道ももちろんそうだけれども、支えてる俺たちにもいろいろなエピソードがある。それを踏まえて最初から表現できるっていうのは、すごく大きいなと。

小越 うんうん。僕も物語の最初からできるのがうれしいです。坂道が今泉くんやロードレーサーに出会って成長していったり、周りに仲間が増えていくのが楽しくて、それが全部つながって映像になったときにどう完成するんだろうなって、ドキドキ、ワクワクしております!

  • 郷本直也
  • 小越勇輝
  • 馬場良馬
  • 左から郷本直也、小越勇輝、馬場良馬。
  • 左から郷本直也、小越勇輝。
  • 左から郷本直也、小越勇輝、馬場良馬。
  • 左から郷本直也、小越勇輝、馬場良馬。
  • 左から郷本直也、小越勇輝、馬場良馬。

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Contents Index
ステージナタリー 小越勇輝×郷本直也×馬場良馬 座談会
コミックナタリー 小越勇輝×山下大輝 対談
ドラマ「弱虫ペダル」

BSスカパー!オリジナル連続ドラマ「弱虫ペダル」

2016年8月26日(金)
21:00~ 放送スタート 〈全7話〉
※第1話無料放送

あらすじ

アキバをこよなく愛するオタク高校生の小野田坂道。
運動が大の苦手で高校に入ったらアニメ研究部に入ろうと心に決めていたが、入学と同時に部員不足でアニ研は事実上の廃部状態に!
5人の部員を集めれば部を復活させられる事を知った坂道は、必死に部員集めに奔走する。
そんな中、ひょんなことから出会った今泉俊輔に自転車勝負を申し込まれてしまう。
尻込みする坂道だったが、勝てば今泉もアニ研に入部すると聞きレースに挑む事になる。

原作:渡辺航(秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載中)
監督:棚澤孝義
脚本:吹原幸太 ほか

キャスト

小野田坂道:小越勇輝
今泉俊輔:木村達成
鳴子章吉:深澤大河
金城真護:郷本直也
田所迅:友常勇気
巻島裕介:馬場良馬
手嶋純太:鯨井康介
青八木一:八島諒
古賀公貴:輝馬
杉元照文:平井浩基
寒咲通司:安里勇哉

寒咲幹:桜井美南
橘綾:野口真緒
福富寿一:滝川英治
荒北靖友:鈴木拡樹
東堂尽八:北村諒
新開隼人:宮崎秋人
泉田塔一郎:青木空夢
黒田雪成:秋元龍太朗
真波山岳:植田圭輔
御堂筋翔:林野健志

「舞台『弱虫ペダル』~箱根学園(ハコガク)新世代、始動~」

2016年9月30日(金)~10月2日(日)
東京都 TOKYO DOME CITY HALL

2016年10月7日(金)~10日(月・祝)
大阪府 オリックス劇場

原作:渡辺航(「弱虫ペダル」秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
演出・脚本:西田シャトナー
音楽:manzo

チケット発売:2016年8月27日(土)10:00~

キャスト

葦木場拓斗:東啓介
泉田塔一郎:河原田巧也
黒田雪成:秋元龍太朗
真波山岳:谷水力
銅橋正清:兼崎健太郎
新開悠人:飯山裕太
福富寿一:前田剛史
荒北靖友:木戸邑弥
東堂尽八:佐藤祐吾

手嶋純太:鯨井康介
青八木一:八島諒

新開隼人:宮崎秋人

パズルライダー:
一瀬悠、掛川僚太、河野智平、村上渉

小越勇輝(オゴエユウキ)

1994年4月8日生まれ。東京都出身。2010年よりミュージカル「テニスの王子様」2ndシーズンにて、主人公・越前リョーマ役を4年にわたり務める。そのほか出演作に「仮面ライダーキバ」「ロック☆オペラ『サイケデリック・ペイン』」、舞台「東京喰種トーキョーグール」、舞台「弱虫ペダル」など。2016年9月からは「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~幕末天狼傳~」にて堀川国広役を演じる。

郷本直也(ゴウモトナオヤ)

1980年4月25日生まれ。大阪府出身。主な出演作にミュージカル「テニスの王子様」、ミュージカル「薄桜鬼」、月刊「根本宗子」第9号「夢も希望もなく。」、「Messiah メサイア」、舞台「弱虫ペダル」など。2016年9月からは「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~幕末天狼傳~」にて近藤勇役を務める。

馬場良馬(ババリョウマ)

1984年12月15日生まれ。千葉県出身。2008年、ドラマ「東京ゴーストトリップ」にて本格的に俳優デビュー。2012年2月からスーパー戦隊シリーズ「特命戦隊ゴーバスターズ」にてブルーバスター/岩崎リュウジ役を務める。2016年は舞台「俺たち賞金稼ぎ団」、「『ROCK MUSICAL BLEACH』~もうひとつの地上~」 、映画「U-31」、映画「第九条」などに出演。


2016年8月25日更新